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体位で変わる呼吸と循環!起立性低血圧のメカニズムを理解する

看護師国家試験 第106回 午前 第42問 / 基礎看護学 / 日常生活援助技術

国試問題にチャレンジ

106回 午前 第42問

体位が身体に与える影響について正しいのはどれか。

  1. 1.座位から仰臥位になると楽に呼吸ができる。
  2. 2.立位と比較して座位の方が収縮期血圧は低い。
  3. 3.仰臥位から急に立位になると脈拍が速くなる。
  4. 4.立位からTrendelenburg〈トレンデレンブルグ〉位になると収縮期血圧が下降する。

対話形式の解説

博士 博士

今回は体位と生理機能の関係じゃ。呼吸、血圧、脈拍、すべて体位で変化するのを知っておるか?

アユム アユム

血圧が立つと下がるのはなんとなく知ってます…。

博士 博士

その通り!鍵は「重力」と「静脈還流」じゃ。立位になると下肢に血液が500〜800mLも貯まる。心臓に戻ってくる血液量が減るから、心拍出量が落ちて血圧も下がる。

アユム アユム

じゃあ体はどうやってその血圧低下を防ぐんですか?

博士 博士

ここで登場するのが圧受容器反射(バロレフレックス)じゃ。頸動脈洞や大動脈弓の圧受容器が血圧低下を感知し、延髄を介して交感神経を活性化。心拍数アップと末梢血管収縮を起こして血圧を保つのじゃ。

アユム アユム

なるほど!だから選択肢3の「仰臥位から急に立位で脈拍が速くなる」が正解なんですね。

博士 博士

その通り。では選択肢1の「座位から仰臥位で楽に呼吸」はどうじゃ?

アユム アユム

うーん…寝たほうが楽そうな気もするけど…

博士 博士

逆じゃよ。仰臥位では腹部臓器が横隔膜を押し上げ、肺が広がりにくくなる。だから心不全の患者さんは上体を起こして呼吸したがる「起座呼吸」を呈するのじゃ。

アユム アユム

あ、起座呼吸って心不全の重要サインですよね。座位の方が呼吸は楽なんですね。

博士 博士

選択肢2「立位より座位の方が収縮期血圧が低い」はどうじゃ?

アユム アユム

さっきの話だと逆ですね。立位の方が血圧は低いはず。

博士 博士

正解!収縮期血圧は立位<座位<臥位の順で高くなる。

アユム アユム

では選択肢4のトレンデレンブルグ位って、どういう体位でしたっけ?

博士 博士

頭を下げて骨盤を高くする体位じゃ。下肢と骨盤が高くなると、下肢に貯まっていた血液が心臓へ還りやすくなる。

アユム アユム

つまり心拍出量が増えて、血圧は上がる方向ですね!

博士 博士

その通り。昔はショック体位として推奨されたが、今は下肢のみを挙上する受動的下肢挙上の方が使われることが多いぞ。

アユム アユム

臨床で大事なのは、寝たきりの患者さんを起こすときのコツですよね?

博士 博士

鋭い!段階的離床が原則じゃ。仰臥位→ギャッジアップ→端座位→立位と段階を踏まないと、高齢者では起立性低血圧で転倒する危険がある。

アユム アユム

体位の生理学って、日々のケアに直結するんですね。

POINT

体位と身体への影響を理解するカギは「重力」と「静脈還流」、そして「圧受容器反射」です。仰臥位から急に立位になると下肢に血液が貯留し、心臓への還流量が減って心拍出量が低下します。これを代償するために交感神経が活性化し、心拍数が増加して脈拍が速くなります。これは起立性低血圧の背景にある正常な生理反応でもあり、長期臥床患者や高齢者では段階的離床が転倒予防に不可欠です。呼吸については、仰臥位では腹部臓器が横隔膜を押し上げて呼吸仕事量が増えるため、起座位の方が楽に呼吸できます。看護師はこれらの体位による生理的変化を理解して、安楽で安全な姿勢援助を行う必要があります。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:体位が身体に与える影響について正しいのはどれか。

解説:正解は 3 です。仰臥位から急に立位になると、重力によって体液(血液)が下肢に貯留し、静脈還流量が一過性に減少する。その結果、心拍出量と脳への血流が低下し、これを代償するために圧受容器反射(バロレフレックス)を介して交感神経が興奮し、心拍数が増加して脈拍が速くなる。これが急な立ち上がりで一過性にふらつきが起こる起立性低血圧の病態生理でもある。

選択肢考察

  1. × 1.  座位から仰臥位になると楽に呼吸ができる。

    仰臥位では腹部臓器の重みで横隔膜が頭側へ押し上げられ、肺のコンプライアンスが低下する。座位の方が横隔膜が下がり胸郭も広がりやすく、呼吸はむしろ楽になる。起座呼吸を呈する心不全患者が上体を起こしたがるのもこのためである。

  2. × 2.  立位と比較して座位の方が収縮期血圧は低い。

    立位では下肢への血液貯留により静脈還流・心拍出量が減少し、収縮期血圧は低下する。一般に収縮期血圧は立位<座位<臥位の順で高くなる傾向がある。

  3. 3.  仰臥位から急に立位になると脈拍が速くなる。

    急な立位で下肢に血液が貯留し、静脈還流と脳血流が減少する。これを代償するために圧受容器反射で交感神経が活性化し、心拍数が増加する。起立性低血圧の生理的反応としても重要。

  4. × 4.  立位からTrendelenburg〈トレンデレンブルグ〉位になると収縮期血圧が下降する。

    トレンデレンブルグ位(骨盤高位)は頭部を低く下肢・骨盤を高くする体位。下肢に貯留していた血液が心臓へ還流しやすくなり、心拍出量が増加して収縮期血圧は上昇する方向に働く。

体位と循環の関係は、「重力による静脈還流の変化」と「圧受容器反射」で多くが説明できる。立位では下肢に約500〜800mLの血液が貯留するとされ、これを補うため心拍数増加・末梢血管収縮が起こる。高齢者や長期臥床後の患者ではこの調節機構が鈍くなり起立性低血圧を起こしやすいので、ベッドから起こす際は段階的離床(仰臥位→ヘッドアップ→端座位→立位)が原則。トレンデレンブルグ位は以前ショック体位として推奨されたが、近年は有効性が再評価され、下肢挙上(受動的下肢拳上テスト)が用いられることが多い。

体位変換に伴う呼吸・循環動態の変化を、重力と静脈還流・圧受容器反射の視点から整理できるかを問う問題。