嚥下障害の食事開始はゼリーから
看護師国家試験 第105回 午後 第40問 / 基礎看護学 / 日常生活援助技術
国試問題にチャレンジ
嚥下障害のある患者の食事の開始に適しているのはどれか。
- 1.白湯
- 2.味噌汁
- 3.ゼリー
- 4.煮魚
対話形式の解説
博士
今日は105回午後159問、嚥下障害のある患者の食事開始について考えよう。
アユム
博士、なぜ嚥下訓練はゼリーから始めるんですか?
博士
嚥下障害患者では誤嚥リスクが最小の食品から段階的に食形態を上げていくのが原則じゃ。ゼリーは密度が均一で変形しやすく、口腔・咽頭をまとまって通過するから誤嚥しにくい。
アユム
正解は3のゼリーですね。
博士
その通り。学会分類2021ではコード0j『嚥下訓練食ゼリー』が最も低侵襲とされておる。
アユム
選択肢1の白湯はどうですか?
博士
水分はサラサラ流れて咽頭通過速度が速い。嚥下反射のタイミングが合わないと気道に流入して誤嚥する。特に高齢者や嚥下反射低下例では危険じゃ。
アユム
水分はとろみをつけるんですよね。
博士
そう。キサンタンガム系のとろみ剤を使い、薄い・中間・濃いの3段階で調整する。フレンチドレッシング状、中濃ソース状、ケチャップ状と例えられるな。
アユム
選択肢2の味噌汁は?
博士
味噌汁は液体と具材が混在する『二相性』じゃ。液体が先に咽頭に流れ込むと嚥下反射と合わずに誤嚥する。嚥下障害開始食としては不適切じゃ。
アユム
選択肢4の煮魚はどうですか?
博士
魚は繊維質で口腔内でほぐれ、まとまりにくい。パサつき系の食品も誤嚥リスクが高い。開始食としては到底扱えない硬さじゃ。
アユム
誤嚥しやすい食品の特徴を整理してください。
博士
『液体(サラサラ)』『パサパサ(パン・カステラ)』『ベタつき(餅・のり)』『繊維質(魚・肉・繊維野菜)』『二相性(みそ汁・お茶漬け)』が要注意じゃ。
アユム
嚥下機能の評価はどう行いますか?
博士
RSST(反復唾液嚥下テスト)、MWST(改訂水飲みテスト)、フードテスト、VE(嚥下内視鏡)、VF(嚥下造影)が代表的じゃ。
アユム
学会分類の段階はどうなっていますか?
博士
0j(嚥下訓練食ゼリー)、0t(とろみ水)、1j(嚥下調整食ゼリー)、2-1、2-2(ペースト、ミキサー食)、3(舌で潰せる)、4(歯茎で潰せる)と進む。
アユム
姿勢や一口量も大事ですね。
博士
うむ。頸部軽度前屈(顎引き)、30度ギャッジアップ、少量ずつスプーンで、空嚥下で咽頭クリアランス確認、食後は口腔ケアと30分程度の座位保持じゃ。
アユム
誤嚥性肺炎予防に包括的ケアが必要ですね。
博士
その通り。食事だけでなく口腔ケア、離床、栄養、薬剤(抗コリン薬など嚥下抑制作用に注意)、多職種連携が重要じゃ。
POINT
嚥下障害患者の食事開始にはゼリーが最適で、密度均一・変形性・形状保持という特性から咽頭をまとまって通過し誤嚥リスクが最低です。学会分類2021ではコード0j相当とされ、段階的に0t・1j・2と進めていきます。白湯・味噌汁は液体や二相性で誤嚥しやすく、煮魚は繊維質でまとまりにくいため開始食に不適です。姿勢調整・一口量・空嚥下・口腔ケアを組み合わせた包括的アプローチで誤嚥性肺炎を予防します。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:嚥下障害のある患者の食事の開始に適しているのはどれか。
解説:正解は 3 です。嚥下障害患者の食事形態は『嚥下ピラミッド』や『学会分類2021』で段階化されており、最も誤嚥リスクが低く訓練開始に適しているのは、密度が均一で変形しやすく口腔・咽頭をまとまって通過する食品です。ゼリーはこの条件を満たす代表的な食品で、口腔内で形状保持し、咽頭通過時にスライスされた形で移動するため誤嚥しにくく、嚥下訓練の第一段階(嚥下開始食・嚥下訓練食品0j・0t)として用いられます。サラサラした液体は咽頭落下速度が速く誤嚥リスクが高いため、水分にはとろみを付けて粘度を上げるのが基本です。
選択肢考察
-
× 1. 白湯
白湯は粘度が低くサラサラ流れるため咽頭通過速度が速く、嚥下反射のタイミングが合わないと誤嚥しやすい形態です。嚥下障害開始時には不適切で、とろみ剤の添加が必要です。
-
× 2. 味噌汁
味噌汁は液体部分と具材(固形物)が混在する二相性食品で、嚥下のタイミングが取りにくく誤嚥リスクが高いため、嚥下障害の開始食として不適切です。
-
○ 3. ゼリー
ゼリーは密度が均一で形状保持性があり、咽頭通過時に変形してまとまって移動するため誤嚥リスクが低く、嚥下訓練開始に最適な食形態です(学会分類コード0j相当)。
-
× 4. 煮魚
煮魚は繊維質でパサつきやすく口腔内でまとまりにくいため、嚥下障害患者には不適切です。食事開始段階では到底扱えない硬さ・形態です。
日本摂食嚥下リハビリテーション学会の『嚥下調整食学会分類2021』では、食事を段階0〜4に区分し、コード0j(嚥下訓練食ゼリー)を最も低侵襲として訓練を開始し、段階的に0t(とろみ水)、1j・2・3・4(移行食)へと進めます。誤嚥リスクの食品特性としては『液体』『サラサラ』『パサパサ』『ベタつき』『繊維質』『二相性(液+固)』が挙げられます。水分にはとろみ剤(キサンタンガム系など)を加え、薄い・中間・濃いの3段階で調整します。嚥下評価にはRSST、MWST、フードテスト、VE、VFなどが用いられます。
嚥下障害患者の食事開始時の適切な食形態選択と、誤嚥しやすい食品の特徴を理解しているかが問われています。
「日常生活援助技術」の関連記事
-
良肢位を覚えてADLを守るポジショニング
良肢位の意義と各関節の具体的な角度、特に肘関節90度屈曲位が基本となることを理解しているかを問う問題です。
113回
-
病室の照度基準はJISで決まっている
JIS照度基準における病室の標準照度(100〜200ルクス)を理解し、療養環境の整備に必要な数値を想起できるかを問う問…
113回
-
右片麻痺患者の移乗介助、車椅子と足はどこに置く?
片麻痺患者の車椅子移乗における車椅子の配置方向と介助者の立ち位置・足位置の基本原則を問う問題です。
113回
-
ベッド上排泄援助の根拠を理解する─工夫一つひとつの意味
ベッド上排泄援助における個々の工夫の『目的』を正しく理解しているかを問う問題。手技だけでなく根拠をセットで学…
112回
-
体位と枕の位置を極める 側臥位は胸腹部にクッションを
各体位における枕やクッションの挿入位置を問う問題。体位の形態と体重のかかる部位・支持が必要な関節を連動させて…
112回