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入浴と血液循環の関係を理解しよう

看護師国家試験 第108回 午後 第36問 / 基礎看護学 / 日常生活援助技術

国試問題にチャレンジ

108回 午後 第36問

入浴時に全身の血液循環を促進する作用はどれか。

  1. 1.鎮静作用
  2. 2.浮力作用
  3. 3.抗酸化作用
  4. 4.静水圧作用

対話形式の解説

博士 博士

今日は入浴の作用について学ぶぞ。入浴には3つの物理的作用があるんじゃが、覚えておるか。

アユム アユム

温熱作用・静水圧作用・浮力作用、ですよね。

博士 博士

そのとおり。この中で全身の血液循環を促進するのはどれか、という問題じゃ。答えは4の静水圧作用じゃ。

アユム アユム

静水圧作用が血液循環を促すメカニズムを教えてください。

博士 博士

水中では深さに応じて水圧がかかる。成人が肩まで浸かると全身で約500kg相当の圧がかかるんじゃ。この水圧が皮下の末梢血管を圧迫し、下肢などに滞留しておった血液を心臓に押し戻す。

アユム アユム

つまり静脈還流量が増えるんですね。

博士 博士

そのとおり。心拍出量も増加して全身の血液循環とリンパ循環が促進されるのじゃ。ただし心不全患者では前負荷が増えすぎて負担になる点に注意じゃ。

アユム アユム

1の鎮静作用はどうして誤りでしょう。

博士 博士

40℃以下のぬるめの湯では副交感神経が優位になり心身がリラックスする。これは鎮静作用じゃが、血液循環を促進するものではない。

アユム アユム

2の浮力作用は。

博士 博士

水中では浮力で体重が約1/10になる。関節や筋肉の負担が減るのでリハビリに有用じゃが、循環促進とは別の話じゃ。

アユム アユム

3の抗酸化作用はなぜ違うのですか。

博士 博士

抗酸化作用は活性酸素を除去する作用で、一部の温泉成分には期待されるが通常の入浴では顕著ではない。循環促進の機序でもないのじゃ。

アユム アユム

温熱作用も血液循環に関わりませんか。

博士 博士

よい質問じゃ。温熱作用も血管拡張を起こして局所の血流を増やす。しかし選択肢にないうえ、全身循環を最も強く促進するのは静水圧作用と覚えておけばよい。

アユム アユム

ヒートショックという言葉を聞きますが、これは何ですか。

博士 博士

冬場に暖かい部屋から寒い脱衣所、熱い湯船へと急激な温度変化で血圧が乱高下する現象じゃ。高齢者では心筋梗塞や脳血管障害を誘発しやすい。

アユム アユム

看護としては脱衣所を温めるなどの対策が必要ですね。

博士 博士

そのとおり。また心不全や高血圧患者には半身浴や40℃以下のぬるめの湯を勧め、入浴時間も10分以内が望ましい。

アユム アユム

3つの作用をセットで覚えます。

POINT

入浴の3大作用は温熱・静水圧・浮力で、全身の血液循環を最も促進するのは静水圧作用です。水圧により末梢血管が圧迫され静脈還流が増加し、心拍出量が上がります。心不全患者では負担増に注意が必要で、高齢者ではヒートショック予防も重要です。浮力は関節負担軽減、温熱は自律神経調整といった各作用の違いを整理して理解しましょう。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:入浴時に全身の血液循環を促進する作用はどれか。

解説:正解は 4 です。入浴には温熱作用・静水圧作用・浮力作用の3つの物理的作用があります。このうち静水圧作用は、水中で身体表面にかかる水圧が皮下の血管やリンパ管を圧迫し、末梢に滞留した血液を心臓に押し戻すことで全身の血液循環を促進します。心臓への還流量が増えるため、心機能が低下した患者では負担が大きくなる点にも注意が必要です。

選択肢考察

  1. × 1.  鎮静作用

    ぬるめの湯による副交感神経優位の鎮静作用はリラックス効果をもたらしますが、血液循環促進とは直接結びつきません。

  2. × 2.  浮力作用

    浮力で体重が約1/10になり関節や筋への負担は軽減されますが、全身の血液循環を直接促進する作用ではありません。

  3. × 3.  抗酸化作用

    抗酸化作用は活性酸素を除去する作用で、通常の入浴では期待されず、血液循環促進の機序でもありません。

  4. 4.  静水圧作用

    水圧で末梢血管が圧迫されて静脈還流が増え、心拍出量が増して全身の血液・リンパ循環が促進されます。

入浴の3大作用のまとめ:①温熱作用…42℃以上では交感神経優位で血圧上昇、40℃以下では副交感神経優位でリラックス。②静水圧作用…全身の血液循環促進。肩まで浸かると胸郭にも圧がかかり横隔膜が押し上げられ呼吸が浅くなる。③浮力作用…関節・筋肉の負担軽減、リハビリに有用。心不全や高血圧患者では半身浴・ぬるめの湯が推奨されます。ヒートショック予防のため脱衣所と浴室の温度差を減らすことも重要な看護ポイントです。

入浴の3大作用(温熱・静水圧・浮力)と全身循環への影響を区別して理解しているかを問う問題です。