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レムとノンレム、夢と筋弛緩の不思議な関係

看護師国家試験 第109回 午前 第35問 / 基礎看護学 / 日常生活援助技術

国試問題にチャレンジ

109回 午前 第35問

成人の睡眠で正しいのはどれか。

  1. 1.レム睡眠中は骨格筋が弛緩する。
  2. 2.入眠前の喫煙は睡眠導入時間を短くする。
  3. 3.ノンレム睡眠中はエネルギー代謝が亢進する。
  4. 4.睡眠周期は 90 分のレム睡眠と数分のノンレム睡眠を繰り返す。

対話形式の解説

博士 博士

今日は睡眠の生理学じゃ。看護では休息援助や夜勤業務、不眠患者のケアに直結する重要テーマじゃぞ。

サクラ サクラ

睡眠はレムとノンレムに分かれるんですよね。違いを整理して教えてください。

博士 博士

よかろう。レム睡眠はRapid Eye Movement、つまり急速眼球運動を伴う浅い睡眠。脳は覚醒時に近いほど活発じゃが、骨格筋は弛緩しておる。夢を見るのは主にこの時期じゃ。

サクラ サクラ

逆にノンレム睡眠は脳が休んでいる深い眠り、ですね。

博士 博士

その通り。ノンレム睡眠では副交感神経が優位になり、心拍・呼吸・血圧・体温・代謝がすべて低下する。成長ホルモンも主にこの時期に分泌される。

サクラ サクラ

じゃあ選択肢3の『ノンレム睡眠中はエネルギー代謝が亢進する』は逆なんですね。

博士 博士

そう、逆。ノンレムは省エネモードで身体を修復する時間じゃ。

サクラ サクラ

レム睡眠で骨格筋が弛緩するのはなぜですか?

博士 博士

脳幹のREM-on/off機構が働き、運動ニューロンを強く抑制するからじゃ。もしこれが壊れるとレム睡眠行動障害(RBD)となり、夢に沿って暴れる症状が出る。パーキンソン病などの前駆症状として重要じゃ。

サクラ サクラ

なるほど、臨床にもつながる知識ですね。

博士 博士

そうじゃ。夢と現実の乖離を保つための安全装置と言える。

サクラ サクラ

睡眠周期の長さも覚えておくべきですよね。

博士 博士

成人の1サイクルは約90〜120分。ノンレム(60〜80分)→レム(10〜30分)で1セット、これを一晩に4〜5回繰り返す。選択肢4の『90分のレム睡眠』は誤りで、レムはそんなに長く続かない。

サクラ サクラ

前半と後半でサイクルの内容が違うんですよね。

博士 博士

前半は深いノンレム、特に徐波睡眠が多く、後半はレム睡眠の割合が増える。だから朝方は夢を覚えていることが多いのじゃ。

サクラ サクラ

喫煙と睡眠はどう関係しますか?

博士 博士

ニコチンは中枢刺激薬でアドレナリン分泌を促し、交感神経を優位にする。入眠を妨げ、睡眠導入時間を延長し、睡眠の質を下げる。『寝る前の一服でリラックス』は逆効果じゃ。

サクラ サクラ

カフェインやアルコールも影響しますよね。

博士 博士

カフェインは半減期5〜6時間で入眠を妨げる。アルコールは入眠を早めるが睡眠後半でレムを乱し、中途覚醒を招く。どちらも看護指導で押さえておきたいポイントじゃ。

サクラ サクラ

高齢者の睡眠の特徴も教えてください。

博士 博士

高齢者では深いノンレムが減り、中途覚醒が増え、全体として浅くなる。早朝覚醒や日中の仮眠も増える。病棟では夜間の不穏対策としても重要じゃ。

サクラ サクラ

不眠患者への看護では、睡眠衛生の指導が基本ですね。

博士 博士

就床時刻の一定化、日中の適度な活動、寝室環境、カフェイン・ニコチン・アルコールの制限、ブルーライト対策などじゃ。薬に頼る前に非薬物的アプローチを検討する。

サクラ サクラ

睡眠の生理、改めて奥が深いです!

POINT

成人の睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠が約90〜120分周期で繰り返される構造を持ち、レム睡眠では脳が活発な一方で骨格筋が著しく弛緩する点が最大の特徴です。ノンレム睡眠では副交感神経優位となり心拍・呼吸・代謝が低下し、身体の修復や成長ホルモン分泌が進みます。ニコチンやカフェイン、アルコールは睡眠の質に悪影響を与え、特に入眠前の喫煙は睡眠導入を遅らせます。看護師は生理学的基盤を理解したうえで睡眠衛生指導や療養環境の調整を行い、対象者の休息を支える役割を担います。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:成人の睡眠で正しいのはどれか。

解説:正解は 1 です。レム睡眠(Rapid Eye Movement sleep)は急速眼球運動を伴う浅い睡眠で、脳は覚醒に近い活動を示す一方、抗重力筋を中心とした骨格筋の緊張が著しく低下し、筋は弛緩する。この筋弛緩により、夢で体験している動作が実際の運動として表れないよう抑制されている。自律神経面では交感神経活動が不規則に亢進し、心拍・呼吸・血圧が変動するが、体性運動系は抑制されているのが特徴である。

選択肢考察

  1. 1.  レム睡眠中は骨格筋が弛緩する。

    レム睡眠中は脳幹の抑制系の働きで骨格筋の緊張が著しく低下し、筋は弛緩する。夢の内容と行動の乖離を保つ重要な仕組みである。

  2. × 2.  入眠前の喫煙は睡眠導入時間を短くする。

    タバコに含まれるニコチンは中枢神経刺激作用を持ち交感神経を賦活するため、入眠を妨げ睡眠導入時間を延長させる。

  3. × 3.  ノンレム睡眠中はエネルギー代謝が亢進する。

    ノンレム睡眠では副交感神経が優位となり、心拍数・呼吸数・体温・基礎代謝は低下する。エネルギー代謝は亢進ではなく減弱する。

  4. × 4.  睡眠周期は 90 分のレム睡眠と数分のノンレム睡眠を繰り返す。

    1サイクルは約90〜120分で、ノンレム睡眠(約60〜80分)→レム睡眠(約10〜30分)の組合せ。レムが90分ということはない。

成人の一晩の睡眠は4〜5サイクルで構成され、前半はノンレム睡眠(特に徐波睡眠=深睡眠)が多く、後半にかけてレム睡眠の時間が長くなる。ノンレム睡眠は成長ホルモン分泌・免疫増強・記憶の固定に関与し、レム睡眠は記憶の再構成や情動処理に関わるとされる。高齢者では深睡眠が減少し、中途覚醒が増える。レム睡眠行動障害(RBD)は筋弛緩の異常によって夢に沿った行動をとる疾患で、パーキンソン病などαシヌクレイン関連疾患の前駆症状として知られる。

レム睡眠とノンレム睡眠の生理学的特徴、および睡眠周期の長さを区別できるかを問う基本問題。