問題焦点型コーピングの促し方
看護師国家試験 第105回 午後 第41問 / 基礎看護学 / 看護の基本となる概念
国試問題にチャレンジ
不安の強い入院患者に対し問題中心の対処を促す方法で適切なのはどれか。
- 1.読書をして気分転換を促す。
- 2.原因に気付くように支援する。
- 3.平常な気持ちを保つように助言する。
- 4.家族に不満を聞いてもらうことを勧める。
対話形式の解説
博士
今日は105回午後160問、不安の強い入院患者への問題中心の対処について考えよう。
サクラ
博士、『問題中心の対処』って具体的にどういう意味ですか?
博士
ストレスコーピング理論の用語じゃ。ラザルスとフォルクマンは、ストレス対処を『問題焦点型』と『情動焦点型』に大別した。問題焦点型はストレッサーそのものに働きかけて解決しようとする対処で、問題中心型とも呼ばれる。
サクラ
情動焦点型との違いは?
博士
情動焦点型はストレッサー自体には手を付けず、感情の方を調整する対処じゃ。気分転換、回避、感情表出、認知的再評価などが含まれる。
サクラ
正解はどれですか?
博士
正解は2の『原因に気付くように支援する』じゃ。原因認識は問題焦点型の第一歩となる。
サクラ
なぜ原因に気付くことが大事なんですか?
博士
何が不安の元なのか分からないと対処のしようがない。原因を特定できれば情報収集・計画立案・解決行動へと展開できる。問題解決のスタートラインじゃ。
サクラ
選択肢1の読書で気分転換はどうですか?
博士
読書は気分を切り替える情動焦点型じゃ。一時的に不安は和らぐが、問題そのものは残る。問題中心の対処とは違う。
サクラ
選択肢3の平常心を保つ助言は?
博士
これは感情を押し殺す抑圧的対処じゃ。感情表出を妨げ、問題解決にもつながらん。むしろ不安の遷延化につながりかねない。
サクラ
選択肢4の家族に聞いてもらうのは?
博士
感情の発散を目的とした情動焦点型じゃ。不安軽減には役立つが、問題そのものの解決ではない。
サクラ
コーピングはどちらが良いとかありますか?
博士
状況次第じゃ。コントロール可能なストレッサーには問題焦点型、コントロール不可能なもの(例:末期がん)には情動焦点型が有効とされる。看護師は柔軟に使い分けを支援する。
サクラ
臨床では両方を組み合わせますね。
博士
その通り。まず不安を受容し感情表出を促す(情動焦点型)、その上で原因分析と解決行動支援へ橋渡しする(問題焦点型)という統合的アプローチが基本じゃ。
サクラ
ストレス理論ではセリエも有名ですよね。
博士
うむ。セリエの汎適応症候群じゃ。警告反応期・抵抗期・疲憊期の3段階で、長期ストレスの心身影響を説明する。
サクラ
認知的再評価というのも聞きます。
博士
ラザルスの概念で、ストレッサーを脅威ではなく挑戦と捉え直す認知的対処じゃ。情動焦点型の中でも前向きで効果的な方法として知られる。
サクラ
看護師の役割は聞き役と分析支援の両方ですね。
博士
そうじゃ。共感的傾聴で感情を受け止め、その後で一緒に原因を整理し解決策を考える。患者のセルフケア能力を引き出すエンパワメント・アプローチと通じる。
POINT
ストレスコーピングは問題焦点型(問題中心)と情動焦点型に大別され、問題焦点型はストレッサーそのものへの働きかけを指します。不安の原因を認識することは情報収集・計画・行動へと展開するための第一歩で、問題中心の対処を促す援助として最も適切です。読書・平常心保持・家族への感情表出は情動焦点型で、問題解決アプローチとは異なります。臨床では両者を統合し、感情受容から原因分析・解決支援へ橋渡しする包括的ケアが重要です。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:不安の強い入院患者に対し問題中心の対処を促す方法で適切なのはどれか。
解説:正解は 2 です。ストレスコーピング理論(ラザルスとフォルクマン)では、ストレス対処を大きく『問題焦点型(問題中心型)コーピング』と『情動焦点型コーピング』の2種類に分類します。問題焦点型コーピングはストレッサーそのものに働きかけて問題を解決しようとする対処で、原因の明確化、情報収集、計画立案、行動実行などが含まれます。不安の原因を認識することは問題焦点型対処の第一歩であり、原因に気付けば具体的な解決行動へとつなげられるため『原因に気付くように支援する』が問題中心の対処を促す援助として最も適切です。
選択肢考察
-
× 1. 読書をして気分転換を促す。
読書による気分転換は一時的に情動を落ち着かせる『情動焦点型コーピング』で、ストレッサー自体には働きかけません。問題中心の対処とは異なります。
-
○ 2. 原因に気付くように支援する。
不安の原因を認識することで、具体的な対処行動(情報収集・計画立案・問題解決)へと発展できます。問題焦点型コーピングの第一歩として適切な援助です。
-
× 3. 平常な気持ちを保つように助言する。
感情を押し殺すことを促すのは感情表出を妨げ、問題解決にもつながりません。情動焦点型の中でも回避的対処に近く、問題中心の対処ではありません。
-
× 4. 家族に不満を聞いてもらうことを勧める。
家族への感情表出は情動発散を目的とする情動焦点型コーピングです。不安軽減には役立ちますが、問題そのものを解決するアプローチではありません。
ラザルスとフォルクマンのコーピング理論では、問題焦点型(情報収集・計画・行動)と情動焦点型(回避・気分転換・感情表出・認知的再評価)に分類されます。状況により使い分けが必要で、コントロール可能なストレッサーには問題焦点型、不可能なものには情動焦点型が有効とされます。看護ではまず不安を受容し感情表出を促した上で、原因分析と解決志向の支援へ橋渡しする統合的アプローチが重要です。ストレス反応の3段階(警告反応期・抵抗期・疲憊期)を提唱したセリエの汎適応症候群も併せて理解しましょう。
ストレスコーピング理論における問題焦点型と情動焦点型の区別を理解し、問題中心の対処を促す具体的援助を選べるかが問われています。
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