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転倒予防は患者と一緒に原因を考えよう

看護師国家試験 第104回 午前 第55問 / 老年看護学 / 高齢者の生活を支える看護

国試問題にチャレンジ

104回 午前 第55問

Aさん(66歳、男性)は、尿管結石症(ureterolithiasis)で入院し、鎮痛薬の投与と点滴静脈内注射による持続輸液が開始された。日常生活は自立している。輸液開始の1時間後、Aさんの病室で大きな音がしたので看護師が駆けつけると、Aさんはベッドサイドに座り込んでいた。「トイレに行こうとベッドから立ち上がろうとして、点滴のスタンドをつかんだら滑った」と話した。転倒後の診察の結果に異常はなかった。 Aさんが再び転倒しないための対応で最も適切なのはどれか。

  1. 1.床上排泄にする。
  2. 2.誰の過失か明らかにする。
  3. 3.転倒の原因を一緒に考える。
  4. 4.夜間は家族に付き添いを依頼する。

対話形式の解説

博士 博士

Aさんは尿管結石で輸液中、点滴スタンドにつかまろうとして滑り転倒したんじゃ。再転倒予防にどう関わるかね?

サクラ サクラ

まずは原因を一緒に振り返ることが大切だと思います。

博士 博士

その通りじゃ。点滴スタンドはキャスター付きで支えに使うと滑る性質があるんじゃよ。

サクラ サクラ

Aさんも『つかんだら滑った』と話していますし、その特性を理解してもらう必要がありますね。

博士 博士

輸液中の体動制限や夜間の薄暗さもリスク要因じゃ。

サクラ サクラ

鎮痛薬で反応がやや鈍くなっている可能性もありますね。

博士 博士

床上排泄を強いるのはどうかの?

サクラ サクラ

Aさんは自立しているので不適切です。自尊心や活動性を損ねてしまいます。

博士 博士

誰の過失かを追及するのも違う方向じゃ。

サクラ サクラ

責任追及は信頼関係を壊すだけで、予防には結びつきません。

博士 博士

夜間に家族へ付き添いを依頼するのは?

サクラ サクラ

家族の負担が大きく、根本的な解決にはならないと思います。

博士 博士

やはり原因をAさんと共有し、安全な歩き方や呼び方を一緒に決めるのが最良じゃ。

サクラ サクラ

ナースコールでの介助依頼や点滴スタンドの正しい扱い方を伝えます。

博士 博士

患者の主体性を尊重して教育する姿勢が大切なんじゃよ。

POINT

入院中の転倒予防では、行動制限や責任追及ではなく患者と一緒に原因を分析する関わりが基本です。点滴スタンドの特性、輸液中の動きにくさ、薬剤の影響などを共有し、安全な行動を共に考えます。Aさんは自立しているため自尊心を尊重した教育的関わりが必要で、家族への付き添い依頼は負担増加につながり不適切です。患者の主体性を引き出すことが再転倒予防の鍵となります。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:Aさん(66歳、男性)は、尿管結石症(ureterolithiasis)で入院し、鎮痛薬の投与と点滴静脈内注射による持続輸液が開始された。日常生活は自立している。輸液開始の1時間後、Aさんの病室で大きな音がしたので看護師が駆けつけると、Aさんはベッドサイドに座り込んでいた。「トイレに行こうとベッドから立ち上がろうとして、点滴のスタンドをつかんだら滑った」と話した。転倒後の診察の結果に異常はなかった。 Aさんが再び転倒しないための対応で最も適切なのはどれか。

解説:正解は3です。転倒予防では患者自身が転倒の状況や要因を理解し、行動を見直すことが本人の安全意識を高める鍵となります。点滴スタンドの扱い、歩行時の注意点などをAさんと一緒に振り返り、原因を共有することで再発防止につながります。

選択肢考察

  1. × 1.  床上排泄にする。

    Aさんは日常生活が自立しており、床上排泄を強いることは自尊心を傷つけ、廃用性の機能低下や不眠の原因にもなります。安易な行動制限は適切ではありません。

  2. × 2.  誰の過失か明らかにする。

    責任の所在を追及してもAさんの転倒予防にはつながらず、信頼関係を損なう恐れがあります。原因分析は予防のために行うべきで、過失追及は目的が違います。

  3. 3.  転倒の原因を一緒に考える。

    患者自身が状況を振り返り、点滴スタンドが移動式でつかむと滑る性質、輸液中の身体状況などを理解することで、再発予防の意識と具体的な行動変容が期待できます。

  4. × 4.  夜間は家族に付き添いを依頼する。

    自立した患者の夜間排泄のために家族へ付き添いを求めるのは家族の負担を増やし、根本的な転倒予防にもなりません。完全看護の理念にも反します。

入院に伴う環境変化や輸液中の体動制限、夜間の薄暗さ、鎮痛薬による反応の鈍化などは高齢者の転倒リスク要因です。点滴スタンドはキャスター付きで支えに使うと容易に動くため、安全な歩行方法(スタンドを引きながら歩く、ナースコールで介助を依頼するなど)を一緒に確認することが大切です。

転倒予防教育の基本姿勢として、行動制限ではなく患者と協働して原因分析を行う関わり方が問われています。