StudyNurse

立ち上がりのふらつきへの対応

看護師国家試験 第110回 午後 第98問 / 老年看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

110回 午後 第98問

Aさん( 75歳、女性)は、1人暮らし。高血圧症( hypertension )内服治療をしているが、その他に既往歴はない。認知機能は問題ない。軽度の円背があるが、日常生活動作<ADL>は自立している。簡単な家事は自分で行っており、家の中で過ごすことが多かった。近所に住む長女が時々、Aさんの様子を見に来ていた。 ある日、Aさんは自宅の階段を踏み外して転落し、横向きになったまま動けなくなったところを訪問してきた長女に発見され、救急車で病院に運ばれ、右大腿骨頸部骨折( femoral neck fracture )診断された。そのまま入院し、緊急手術を行うことになった。 手術後14日。Aさんは、回復期リハビリテーション病棟のトイレ付きの個室に移動した。Aさんは歩行訓練を行っているが、立ち上がるときにバランスを崩しやすく「夜トイレに行こうとしてベッドから立ち上がるときに、ふらふらする。また転んでしまうのが怖い」と言っている。 このときの看護師の対応で最も適切なのはどれか。

  1. 1.ポータブルトイレを置く。
  2. 2.ベッドに移動介助バーを付ける。
  3. 3.ベッドの頭部側を45度挙上する。
  4. 4.夜間はヒッププロテクターを装着する。

対話形式の解説

博士 博士

Aさんは「立ち上がるときにふらふらする」と訴えとる。対応は何が適切かのう。

アユム アユム

安全そうなのでポータブルトイレを置いてはどうですか。

博士 博士

一見楽そうじゃが、それはADL拡大の機会を奪うことになるぞ。

アユム アユム

自尊心にも影響しますね。

博士 博士

そうじゃ。本人も歩行訓練中でトイレ付き個室におる。ここはトイレまで歩ける環境を活かしたい。

アユム アユム

ではベッドに移動介助バーを付けるのはどうでしょう。

博士 博士

それが最適じゃ。立ち上がりの瞬間に掴まれる支えがあれば、バランスを保ちやすい。

アユム アユム

ベッドの頭部側を45度挙上するのは?

博士 博士

起き上がりは楽になるが、立位移行時のふらつきには効かん。訴えの解決にならん。

アユム アユム

ヒッププロテクターはどうですか。

博士 博士

あれは転んだ後の衝撃緩衝で、転倒そのものを防ぐものではないぞ。

アユム アユム

回復期では廃用を防ぎつつ安全を保つ工夫が大切なのですね。

博士 博士

うむ、福祉用具と環境整備、履物、照明を総合的に整える。

アユム アユム

夜間は暗さも転倒要因になりますね。

博士 博士

足元灯や動線確保も同時に考えるのじゃ。

POINT

立ち上がり時のふらつきに対しては、動作の瞬間に掴まれる移動介助バーが最適な対応です。ポータブルトイレはADLを後退させ、ベッドの挙上は起き上がりの支援、ヒッププロテクターは転倒後の骨折軽減であり、いずれも「ふらつき」への直接解決にはなりません。回復期では廃用予防と自立支援のバランスを保ち、環境調整で転倒リスクを減らすことが看護のポイントです。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:Aさん( 75歳、女性)は、1人暮らし。高血圧症( hypertension )内服治療をしているが、その他に既往歴はない。認知機能は問題ない。軽度の円背があるが、日常生活動作<ADL>は自立している。簡単な家事は自分で行っており、家の中で過ごすことが多かった。近所に住む長女が時々、Aさんの様子を見に来ていた。 ある日、Aさんは自宅の階段を踏み外して転落し、横向きになったまま動けなくなったところを訪問してきた長女に発見され、救急車で病院に運ばれ、右大腿骨頸部骨折( femoral neck fracture )診断された。そのまま入院し、緊急手術を行うことになった。 手術後14日。Aさんは、回復期リハビリテーション病棟のトイレ付きの個室に移動した。Aさんは歩行訓練を行っているが、立ち上がるときにバランスを崩しやすく「夜トイレに行こうとしてベッドから立ち上がるときに、ふらふらする。また転んでしまうのが怖い」と言っている。 このときの看護師の対応で最も適切なのはどれか。

解説:正解は2です。Aさんが訴えているのは「立ち上がる時にふらつく」という具体的な動作場面の不安です。ベッドに移動介助バーを取り付ければ、立ち上がりの際に手で支えとなり、バランスを保ちやすくなり転倒予防につながります。

選択肢考察

  1. × 1.  ポータブルトイレを置く。

    トイレ付き個室で本人もトイレ歩行を望んでいます。ポータブルトイレ設置はADL拡大の機会を奪い、自立を阻害するため不適切です。

  2. 2.  ベッドに移動介助バーを付ける。

    立ち上がりの瞬間に掴まって支えられる手すりがあれば、バランスを保ちやすく転倒予防に直結します。訴えに最も合致した対応です。

  3. × 3.  ベッドの頭部側を45度挙上する。

    起き上がりを楽にする工夫ですが、立位移行時のふらつきには直接結びつきません。訴えの根本的解決になりません。

  4. × 4.  夜間はヒッププロテクターを装着する。

    ヒッププロテクターは転倒時の大腿骨骨折を軽減する装具で、「転ばないようにする」ための予防策ではありません。根本的な対応とはいえません。

回復期リハでは、廃用予防と自立支援のバランスが重要です。転倒リスクの高い患者には、身体能力に応じた福祉用具の導入、夜間の照明、段差解消、動線整備、履物の工夫などを組み合わせます。ADL制限ではなく能力を最大化する環境調整が目標となります。

患者の訴えに応じた具体的環境調整を選べるか、そしてADL拡大を阻害しない視点を問う問題です。