高齢者の就業事情〜なぜ非正規が多いのか
看護師国家試験 第106回 午後 第45問 / 老年看護学 / 高齢者の理解と生活
国試問題にチャレンジ
平成24年(2012年)の就業構造基本調査における65歳以上75歳未満の高齢者の就業について正しいのはどれか。
- 1.女性では就業している者の割合は40%以上である。
- 2.就業していない者よりも就業している者の割合が多い。
- 3.就業していない者のうち40%以上が就業を希望している。
- 4.就業している者のうち非正規職員・従業員の割合は成人期より多い。
対話形式の解説
博士
今回は平成24年就業構造基本調査から、65〜75歳未満の高齢者の就業について学ぶぞ。
サクラ
就業構造基本調査って何ですか?
博士
総務省が5年ごとに実施する全国調査で、就業・不就業の状態、職業、産業、従業上の地位などを詳しく調べるものじゃ。統計法上の基幹統計じゃな。
サクラ
高齢者の就業率ってどのくらいなんでしょう?
博士
65〜69歳男性は約49%、女性は約30%。70〜74歳男性は約32%、女性は約18%じゃ。男女差と年齢差が明確にあるのじゃ。
サクラ
じゃあ1番の「女性の就業率40%以上」は違いますね。女性は30%以下ですもんね。
博士
その通り。女性の就業率は男性より明らかに低いのじゃ。
サクラ
2番「就業していない者より就業している者が多い」はどうですか?
博士
これも誤りじゃ。男性の就業率でも半数を超えないし、女性を合わせるとさらに下がる。全体としては就業していない者の方が多いのじゃ。
サクラ
3番「就業していない者の40%以上が就業希望」は?
博士
これも過大な数字じゃ。実際は男女ともに10%前後しか就業希望がない。多くは引退生活を選んでおる。
サクラ
では4番「非正規の割合が成人期より多い」が正解ですね。なぜ高齢者は非正規が多いんですか?
博士
日本では多くの企業で60歳定年があり、その後は再雇用や嘱託、パート・アルバイトという形で働き続けるケースが多い。65〜69歳就業者の約78%、70〜74歳の約72%が非正規で、成人期の約35〜38%を大きく上回るのじゃ。
サクラ
定年退職後の働き方なんですね。
博士
そうじゃ。賃金は下がるが、働き方に柔軟性があり、年金+労働収入という形で生活を支える人が多いのじゃ。
サクラ
高齢者の働き方について、法律はどうなっていますか?
博士
高年齢者雇用安定法により、2013年から65歳までの雇用確保が義務化され、2021年からは70歳までの就業機会確保が努力義務化されておる。人生100年時代に対応する政策じゃな。
サクラ
看護師でも定年後も働く人は多いですか?
博士
多いぞ。訪問看護、介護施設、健診センター、学校・園の保健室など、経験豊富な看護師は引く手あまたじゃ。
サクラ
働くことは生きがいや健康維持にもつながるんですね。
博士
うむ、経済的側面だけでなく、社会参加、介護予防、フレイル予防の観点からも高齢者の就労は重要じゃ。
サクラ
統計の数字の裏にある社会構造を理解することが大切なんですね。
POINT
平成24年就業構造基本調査によると、65〜74歳の高齢者の就業率は男性でも半数以下、女性では30%以下で、就業していない者の方が多数です。就業している高齢者のうち非正規雇用(嘱託・パート・アルバイト等)の割合は70%を超え、成人期の35〜38%より顕著に高い値を示します。これは定年退職後に再雇用や短時間勤務で働き続けるライフスタイルを反映しています。高年齢者雇用安定法により70歳までの就業機会確保が努力義務化されるなど、人生100年時代に対応した政策も進展しています。看護師にとっても、働く高齢者の健康管理やフレイル予防、社会参加支援は地域看護実践の重要テーマです。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:平成24年(2012年)の就業構造基本調査における65歳以上75歳未満の高齢者の就業について正しいのはどれか。
解説:正解は 4 です。平成24年(2012年)の就業構造基本調査によると、65〜69歳の就業者に占める非正規職員・従業員の割合は約78%、70〜74歳では約72%と、成人期(15〜64歳の生産年齢人口)の非正規割合(約35〜38%)よりはるかに高い。これは、定年退職後に再雇用・嘱託・パート・アルバイトなど非正規形態で働き続ける高齢者が多いためである。高齢者の就労は経済的理由だけでなく、社会参加、健康維持、生きがいの側面もあり、人生100年時代の重要テーマとなっている。
選択肢考察
-
× 1. 女性では就業している者の割合は40%以上である。
同調査によれば、65〜69歳女性の就業率は約29.8%、70〜74歳女性は約18.0%で、40%には達しない。女性の就業率は男性より低い傾向がある。
-
× 2. 就業していない者よりも就業している者の割合が多い。
65〜74歳全体では、就業していない者の方が多い。65〜69歳男性の就業率は約49%、女性は約30%で、いずれも半数を超えていない。
-
× 3. 就業していない者のうち40%以上が就業を希望している。
就業していない高齢者のうち就業希望者は男女ともに10%前後にとどまり、40%には到底達しない。多くは引退生活を選択している。
-
○ 4. 就業している者のうち非正規職員・従業員の割合は成人期より多い。
65〜69歳の就業者のうち非正規の割合は約78%、70〜74歳では約72%で、成人期(15〜64歳)の約35〜38%より顕著に高い。定年後の再雇用や嘱託・パートが多いためである。
就業構造基本調査は総務省が5年ごとに実施する統計調査。高齢者の就労は、経済的必要性、健康維持、社会参加、生きがい、技能伝承など複合的な意味を持つ。高年齢者雇用安定法により、65歳までの雇用確保が義務化され、2021年からは70歳までの就業機会確保が努力義務化された。看護職も退職後のキャリアとして訪問看護や介護施設で働き続けるケースが増えている。
高齢者の就労実態、特に非正規雇用比率の高さを把握する統計問題。高齢社会の労働構造を理解する基本事項。
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