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ペックの老年期3つの危機と発達理論家の整理

看護師国家試験 第111回 午前 第52問 / 老年看護学 / 高齢者の理解と生活

国試問題にチャレンジ

111回 午前 第52問

老年期の発達課題を引退の危機、身体的健康の危機および死の危機の3つの段階で示したのはどれか。

  1. 1.エリクソン(Erikson, E. H.)
  2. 2.レビンソン(Revinson, D. J.)
  3. 3.ペック(Peck, R.)
  4. 4.ユング(Jung, C. G.)

対話形式の解説

博士 博士

今回は老年期の発達課題を「引退の危機」「身体的健康の危機」「死の危機」の3つで示した人物を問う問題じゃ。

アユム アユム

選択肢にはエリクソン、レビンソン、ペック、ユングがいますね。

博士 博士

正解は選択肢3のペックじゃ。ロバート・ペックはエリクソンの弟子筋にあたり、老年期に特化して3つの心理社会的葛藤を整理したんじゃ。

アユム アユム

3つの危機を具体的に教えてください。

博士 博士

まず「引退の危機」では自我の分化 対 仕事役割への固執が問われる。仕事以外の多様な自己を見つけられるかが鍵じゃ。次に「身体的健康の危機」では身体の超越 対 身体への没入、つまり衰える身体に囚われず精神的関係や活動に価値を見出せるかが課題。

アユム アユム

3つ目の「死の危機」は?

博士 博士

自我の超越 対 自我への没入じゃ。自分の死を受け入れ、次世代への貢献や存在の意義へと視野を広げられるかが問われる。

アユム アユム

他の理論家との違いも知りたいです。

博士 博士

選択肢1のエリクソンは人生を8段階に分けた漸成的発達理論で、老年期は「統合性 対 絶望」で徳は「英知」。3段階モデルではないぞ。

アユム アユム

選択肢2のレビンソンは?

博士 博士

レビンソンは人生を四季になぞらえた人生構造論で、児童青年期・成人前期・中年期・老年期の4つの発達期と過渡期を提唱した。特に中年の過渡期の危機が有名じゃな。

アユム アユム

選択肢4のユングはどうですか?

博士 博士

ユングは40歳前後を「人生の正午」と呼び、午後は個性化のプロセスだとした。老年期を3段階に分けたわけではない。

アユム アユム

ハヴィガーストやバルテスも国試に出ますか?

博士 博士

出るぞ。ハヴィガーストは「老年期の6課題」、バルテスは「SOC理論(選択・最適化・補償)」を提唱した。覚え方は「ペックは3つ、引退・身体・死でまっしぐら」じゃ。

アユム アユム

発達理論家と老年期の特徴をセットで覚えます。

POINT

ペックは老年期を「引退の危機(自我の分化)」「身体的健康の危機(身体の超越)」「死の危機(自我の超越)」の3段階に整理し、エリクソンの理論を発展させました。エリクソンは8段階の漸成的発達理論で老年期を「統合性対絶望」、レビンソンは人生を四季にたとえた人生構造論、ユングは40歳を「人生の正午」とする個性化論を提唱しており、それぞれ区別して覚えることが国試対策の要です。老年看護では、こうした発達理論を踏まえて高齢者の心理社会的ニーズを理解し、役割喪失や身体衰退への適応を支援することが求められます。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:老年期の発達課題を引退の危機、身体的健康の危機および死の危機の3つの段階で示したのはどれか。

解説:正解は 3 です。ロバート・ペック(Robert Peck)はエリクソンの漸成的発達理論を発展させ、老年期に特有の心理社会的課題を3つの危機として整理しました。具体的には「引退の危機(自我の分化 対 仕事役割への固執)」「身体的健康の危機(身体の超越 対 身体への没入)」「死の危機(自我の超越 対 自我への没入)」の3段階で、高齢者が役割喪失、身体機能低下、死の自覚という発達危機をいかに乗り越え、より広い自己像や世代継承感を獲得するかを論じました。

選択肢考察

  1. × 1.  エリクソン(Erikson, E. H.)

    エリクソンは人生を8つの発達段階(乳児期〜老年期)に分けた漸成的発達理論の提唱者です。老年期の課題は「統合性 対 絶望」で、徳としては「英知」を獲得するとしました。3段階の危機モデルはペックのものです。

  2. × 2.  レビンソン(Revinson, D. J.)

    レビンソンは人生を四季になぞらえ、児童期・青年期、成人前期、中年期、老年期の4つの発達期と各間の過渡期からなる人生構造論を提唱しました。特に中年の過渡期(40〜45歳)の危機を重視した人物で、老年期を3段階に分けた理論ではありません。

  3. 3.  ペック(Peck, R.)

    ペックは老年期を「引退の危機」「身体的健康の危機」「死の危機」の3つの心理社会的葛藤で整理し、それぞれに対する適応(自我の分化・身体の超越・自我の超越)を示しました。問題文の記述と完全に一致し、本選択肢が正解です。

  4. × 4.  ユング(Jung, C. G.)

    ユングは人生を太陽の運行にたとえ、40歳前後を「人生の正午」と呼び、午後は自己実現(個性化)に向かうとしました。老年期を3段階の危機で区分したわけではなく、該当しません。

老年期の発達課題は頻出テーマです。エリクソン「統合性対絶望」、ペック「3つの危機(引退・身体・死)」、レビンソン「四季・人生構造」、ユング「人生の正午・個性化」、ハヴィガースト「老年期の6課題(退職と収入減少への適応など)」、バルテス「選択最適化補償(SOC)理論」をセットで整理しておくと確実です。覚え方は「ペックは3つ、引退・身体・死で老年まっしぐら」。

老年期を3段階の危機で説明した発達理論家は誰かを問う問題で、主要発達理論家の各学説を区別できるかが焦点です。