児童相談所の業務を押さえよう
看護師国家試験 第105回 午後 第82問 / 健康支援と社会保障制度 / 社会福祉の基本
国試問題にチャレンジ
児童相談所の業務はどれか。2つ選べ。
- 1.児童の一時保護
- 2.自立支援給付の決定
- 3.不登校に関する相談
- 4.身体障害者手帳の交付
- 5.放課後児童健全育成事業の実施
対話形式の解説
博士
第105回午後201は児童相談所の業務を2つ選ぶ問題じゃ。児童福祉法第12条に基づき都道府県と指定都市に必置の機関なんじゃよ。
アユム
博士、児童相談所って虐待対応だけのイメージでした。
博士
実は大きく5つの相談、養護・保健・障害・非行・育成に応じておる。育成相談には不登校や性格行動の相談も含まれるんじゃ。
アユム
正解は何番ですか。
博士
正解は1と3じゃ。1の一時保護は児童福祉法第33条で所長の権限として定められ、原則2か月以内で子どもを保護者から分離できる。
アユム
3の不登校相談は育成相談の代表例なのですね。
博士
その通り。児童心理司が心理判定を行い、助言指導や関係機関への紹介も行うのじゃ。
アユム
では2の自立支援給付の決定はなぜ誤りですか。
博士
障害者総合支援法の自立支援給付は市町村が支給決定するもので、児童相談所の業務ではないんじゃ。
アユム
4の身体障害者手帳の交付はどうでしょう。
博士
身体障害者手帳は都道府県知事などが交付する。ただし18歳未満の知的障害児の療育手帳判定は児童相談所が行う点と混同せぬようにな。
アユム
5の放課後児童健全育成事業は。
博士
学童保育のことで、市町村や社会福祉法人などが実施主体じゃ。児童相談所は実施機関ではない。
アユム
よくわかりました。
博士
2022年改正で一時保護開始時の司法審査が導入されたことも押さえておくと万全じゃ。
POINT
児童相談所は都道府県・指定都市に必置の行政機関で、養護・保健・障害・非行・育成の5区分の相談に応じ、一時保護・措置・判定を担います。自立支援給付の決定や身体障害者手帳の交付は市町村・都道府県の事務で、放課後児童健全育成事業は市町村等が実施主体となります。業務範囲を他機関と区別して覚えることが大切です。
解答・解説
正解は 1 ・ 3 です
問題文:児童相談所の業務はどれか。2つ選べ。
解説:正解は 1 と 3 です。児童相談所は児童福祉法第12条に基づき都道府県・指定都市に設置が義務付けられている行政機関で、18歳未満の子どもに関する相談・判定・指導・措置・一時保護を一貫して担います。所長のもとに児童福祉司、児童心理司、医師、保健師、児童指導員などが配置され、養護・障害・非行・育成(不登校や性格行動など)・保健の5種類の相談に対応します。虐待通告への対応や一時保護所の運営、里親委託や児童福祉施設への入所措置など、要保護児童の権利擁護を強力に担保する点が特徴です。
選択肢考察
-
○ 1. 児童の一時保護
児童福祉法第33条により、児童相談所長は必要に応じて子どもを保護者から分離し一時保護する権限を有します。虐待や保護者の疾病・死亡などで家庭での養育が困難な場合に、原則2か月以内で一時保護所や委託先で保護します。
-
× 2. 自立支援給付の決定
障害者総合支援法に基づく自立支援給付(介護給付費・訓練等給付費など)の支給決定は市町村が行います。児童相談所の業務ではありません。
-
○ 3. 不登校に関する相談
不登校は育成相談に分類され、児童相談所の相談業務の一つです。性格・行動面の問題や家庭内のしつけ、進路選択の悩みなども含まれ、児童心理司による心理判定や助言指導が行われます。
-
× 4. 身体障害者手帳の交付
身体障害者手帳は身体障害者福祉法に基づき、指定医の診断書を添えて都道府県知事(または指定都市・中核市の市長)が交付します。児童相談所は交付事務を行いません。なお18歳未満の知的障害児の療育手帳判定は児童相談所が担当する点と混同しないよう注意が必要です。
-
× 5. 放課後児童健全育成事業の実施
いわゆる学童保育で、児童福祉法第6条の3に規定されます。実施主体は市町村・社会福祉法人・父母会などであり、児童相談所は実施機関ではありません。
児童相談所が受ける相談は、養護・保健・障害・非行・育成の5区分で整理すると覚えやすいです。虐待通告件数の増加を受け2016年の児童福祉法改正で体制強化が進み、2022年改正では一時保護開始時の司法審査(一時保護状)制度が導入されました。市町村の子ども家庭総合支援拠点や要保護児童対策地域協議会との役割分担も整理しておきましょう。
児童相談所の業務範囲と、市町村・都道府県など他機関の業務との違いを理解しているかを問う設問です。
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