母子保健統計の分母を完全整理、出生数が分母なのはどれ?
看護師国家試験 第109回 午後 第36問 / 健康支援と社会保障制度 / 健康と公衆衛生
国試問題にチャレンジ
母子保健統計の算出方法で出生数を分母としているのはどれか。
- 1.妊娠満 22 週以後の死産率
- 2.周産期死亡率
- 3.乳児死亡率
- 4.死産率
対話形式の解説
博士
今回は母子保健統計の算出式についてじゃ。似たような指標がたくさん並ぶが、分母の違いで見分けるのがコツじゃぞ。
アユム
乳児死亡率、新生児死亡率、死産率、周産期死亡率……どれも似ていて区別がつきません。
博士
まずは分子分母を整理するのじゃ。乳児死亡率は「生後1年未満の死亡数 ÷ 出生数 × 1000」じゃ。分母は出生数そのものじゃな。
アユム
新生児死亡率と早期新生児死亡率は?
博士
新生児死亡率は生後4週未満、早期新生児死亡率は生後1週未満の死亡を分子にする。いずれも分母は出生数で、千対で表される。
アユム
では死産率はどうなんですか?
博士
死産率は「年間死産数 ÷ 年間出産数 × 1000」で、分母は「出産数=出生数+死産数」じゃ。出生数単独じゃないところがポイント。
アユム
日本では死産の定義はどうなっているんですか?
博士
日本では妊娠満12週以後の死児の出産を死産と定義しておる。人工死産(人工妊娠中絶含む)と自然死産に分けて統計が取られる。
アユム
周産期死亡率は何を指すんですか?
博士
周産期死亡は「妊娠満22週以後の死産」と「生後1週未満の早期新生児死亡」の合計じゃ。分母は「出生数+妊娠満22週以後の死産数」で、出産の機会に関する指標になる。
アユム
妊娠満22週以後の死産率も分母が同じですか?
博士
そうじゃ。分子が「妊娠満22週以後の死産数」、分母が「出生数+妊娠満22週以後の死産数」で、千対で表される。
アユム
整理すると、出生数を単独の分母にするのは乳児死亡率系だけなんですね。
博士
そのとおり。乳児・新生児・早期新生児死亡率は分母が出生数。死産率、周産期死亡率、妊娠満22週以後の死産率は分母が出産数または出生数+死産数、となる。
アユム
妊産婦死亡率はどうなんですか?
博士
妊産婦死亡率は「年間妊産婦死亡数 ÷ 年間出産数 × 10万」じゃ。分子の稀少さを反映して「10万対」で表す点も重要じゃな。
アユム
日本の乳児死亡率って実際どれくらいなんですか?
博士
2022年時点で出生千対1.8前後と、世界で最も低い水準にある。これは周産期医療・母子保健・衛生環境の水準の高さを反映しておる。一方、妊産婦死亡率も10万対3〜4で極めて低い。
アユム
看護師として母子保健統計を学ぶ意義は何ですか?
博士
保健師業務や学校保健、地域保健の現場で、地域ごとのリスク評価や施策評価に用いる基礎データになる。また新生児訪問や乳幼児健診などの看護介入の効果を検証する際にも重要な指標じゃよ。
POINT
母子保健統計では、分母の違いを正確に把握することが鍵となります。乳児死亡率・新生児死亡率・早期新生児死亡率は分母が出生数で千対表示、死産率は出産数(出生数+死産数)、周産期死亡率と妊娠満22週以後の死産率は出生数+妊娠満22週以後の死産数が分母、妊産婦死亡率は出産数を分母に10万対で表されます。このうち出生数を単独で分母とするのは乳児死亡率系のみで、本問では乳児死亡率が正解となります。日本は乳児死亡率・妊産婦死亡率ともに世界最低水準にあり、母子保健政策の成果を示す重要な指標群として、保健師業務や地域保健活動の評価に不可欠な知識です。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:母子保健統計の算出方法で出生数を分母としているのはどれか。
解説:正解は 3 です。乳児死亡率は「年間の乳児死亡数(生後1年未満の死亡数)÷ 年間の出生数 × 1000」で算出され、出生千対で表される。分母が出生数そのものである点が他の母子保健指標と異なる。乳児死亡率はその国の母子保健や公衆衛生水準を反映する代表的指標で、日本は世界で最も低い水準(1.7前後/出生千対)にある。
選択肢考察
-
× 1. 妊娠満 22 週以後の死産率
「年間の妊娠満22週以後の死産数 ÷(出生数 + 妊娠満22週以後の死産数)× 1000」で算出。分母は出生数と死産数の合計(出産数)であり、出生数単独ではない。
-
× 2. 周産期死亡率
「年間の周産期死亡数(妊娠満22週以後の死産 + 早期新生児死亡)÷(出生数 + 妊娠満22週以後の死産数)× 1000」で算出。分母は出生数と死産数の合計。
-
○ 3. 乳児死亡率
「年間の乳児死亡数 ÷ 年間の出生数 × 1000」で算出し、分母は出生数。母子保健水準を示す国際比較の代表指標。
-
× 4. 死産率
「年間の死産数 ÷ 年間の出産数(出生数 + 死産数)× 1000」で算出。分母は出産数(出生数+死産数)であり、出生数単独ではない。
母子保健の関連指標は分母を押さえることが鍵である。乳児死亡率・新生児死亡率(生後4週未満)・早期新生児死亡率(生後1週未満)は分母が出生数、死産率・周産期死亡率・妊娠満22週以後の死産率は分母が出産数または出生数+死産数となる。妊産婦死亡率は「年間妊産婦死亡数 ÷ 年間出産数 × 10万」で、10万対で表す点も特徴的。これらの算式は国試頻出である。
母子保健統計の分母の違いを識別する問題。出生数を分母とするのは乳児死亡率系(乳児・新生児・早期新生児)。
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