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子育て中の労働者を守る法律

看護師国家試験 第107回 午前 第79問 / 健康支援と社会保障制度 / 社会・家族機能と生活基盤

国試問題にチャレンジ

107回 午前 第79問

Aさん( 28歳、女性 )は、2歳の子どもを養育しながら働いている。 Aさんが所定労働時間の短縮を希望した場合、事業主にその措置を義務付けているのはどれか。

  1. 1.児童福祉法
  2. 2.労働基準法
  3. 3.男女共同参画社会基本法
  4. 4.雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律< 男女雇用機会均等法 >
  5. 5.育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律< 育児・介護休業法 >

対話形式の解説

博士 博士

今回は育児中の労働時間短縮に関する法律の問題じゃ。

サクラ サクラ

Aさんは28歳で2歳の子を育てながら働いているんですね。

博士 博士

そう、育児中の女性労働者の事例じゃ。時短勤務を事業主に義務付けている法律を選ぶ問題じゃな。

サクラ サクラ

選択肢を1つずつ見ていきましょう。児童福祉法はどんな法律でしたっけ。

博士 博士

1947年制定で、児童の福祉を保障するための法律じゃ。児童相談所や保育所、児童養護施設、障害児支援などを規定しておる。

サクラ サクラ

労働者の時短義務は児童福祉法にはないですね。

博士 博士

その通り。次に労働基準法じゃが、これは労働条件の最低基準を定めた法律じゃ。労働時間や賃金、休憩、産前6週産後8週の休業などを定めておる。

サクラ サクラ

産前産後休業はあっても、育児のための時短義務はないんですね。

博士 博士

そうじゃ。労働基準法は「そもそもの労働条件」を守る法律で、育児特化の規定は薄いのじゃ。

サクラ サクラ

男女共同参画社会基本法はどうですか。

博士 博士

これは基本法といって、国の基本理念や方針を示す法律じゃ。男女が共に責任を担う社会の形成を目指す理念法で、具体的な義務規定は少ない。

サクラ サクラ

基本法は「方針を示すもの」なんですね。

博士 博士

その通り。次に男女雇用機会均等法。こちらは性別を理由とする雇用差別の禁止、妊娠・出産による不利益取扱い禁止、セクハラ・マタハラ防止などを定めておる強い法律じゃ。

サクラ サクラ

妊娠・出産の保護はありますが、時短義務は別の法律なんですね。

博士 博士

その通り。時短義務を定めているのが育児・介護休業法じゃ。1991年に育児休業法として制定され、1995年に介護休業も加わって現在の形になったのじゃ。

サクラ サクラ

具体的にどんなことが定められていますか。

博士 博士

大きく分けて、(1)育児休業(原則1歳、最長2歳)、(2)3歳未満児の短時間勤務・所定外労働制限、(3)子の看護休暇、(4)介護休業・介護休暇、(5)時間外・深夜業制限などじゃ。

サクラ サクラ

Aさんの子は2歳なので3歳未満の条件に合致し、時短勤務を申し出れば事業主は義務としてこれに応じる必要があるんですね。

博士 博士

その通り。原則1日6時間勤務が基本じゃ。

サクラ サクラ

最近は男性の育児休業取得促進も進んでいますよね。

博士 博士

そうじゃ。2022年から産後パパ育休(出生時育児休業)も導入され、父親が出生後8週以内に4週まで分割取得可能になっておる。

サクラ サクラ

育児と仕事の両立支援が手厚くなっていますね。

博士 博士

その通り。法律の名称と具体的規定内容をセットで覚えておくのが国試のコツじゃ。

サクラ サクラ

育児関連の義務=育児・介護休業法と押さえます。

POINT

育児・介護休業法は育児や介護を行う労働者の仕事と家庭の両立を支援する法律で、3歳未満の子を養育する労働者が申し出た場合に事業主に所定労働時間の短縮(短時間勤務制度、原則1日6時間)を義務付けています。育児休業・子の看護休暇・所定外労働制限なども本法に規定されています。児童福祉法は児童の福祉保障、労働基準法は労働条件の最低基準、男女共同参画社会基本法は理念法、男女雇用機会均等法は性別による雇用差別禁止を定める法律で、時短義務は育児・介護休業法に固有のものと押さえておきましょう。

解答・解説

正解は 5 です

問題文:Aさん( 28歳、女性 )は、2歳の子どもを養育しながら働いている。 Aさんが所定労働時間の短縮を希望した場合、事業主にその措置を義務付けているのはどれか。

解説:正解は5です。育児・介護休業法(正式名称:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)は、育児や介護を行う労働者が仕事と家庭を両立できるよう支援する法律です。この法律では、3歳未満の子を養育する労働者が申し出た場合、事業主は所定労働時間の短縮措置(短時間勤務制度、原則1日6時間)を講じなければならないと定めており、これは事業主の義務となっています。設問のAさんの子は2歳で3歳未満の条件を満たすため、本法に基づき短時間勤務制度の適用対象となります。そのほか、育児休業(原則1歳まで、条件により2歳まで延長可)、子の看護休暇(年5日、小学校就学前の子がいる場合)、所定外労働・時間外労働・深夜業の制限、転勤への配慮なども規定されています。

選択肢考察

  1. × 1.  児童福祉法

    児童の健全育成・権利保障を目的とし、児童相談所・保育所・障害児支援などを規定する法律で、労働時間短縮の定めはありません。

  2. × 2.  労働基準法

    労働条件の最低基準を定める法律で、産前産後休業などは規定されますが、育児のための時短措置の義務は含まれていません。

  3. × 3.  男女共同参画社会基本法

    男女共同参画社会形成の基本理念を示す基本法で、具体的な労働時間短縮措置の義務規定は含まれません。

  4. × 4.  雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律< 男女雇用機会均等法 >

    性別による雇用差別禁止、妊娠・出産による不利益取扱い禁止、セクハラ防止などを定める法律で、時短義務は規定されていません。

  5. 5.  育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律< 育児・介護休業法 >

    3歳未満の子を養育する労働者が希望した場合、事業主に所定労働時間の短縮(短時間勤務制度)を義務付けています。

育児・介護休業法では、(1)育児休業(原則1歳、最長2歳)、(2)3歳未満児の短時間勤務・所定外労働制限、(3)小学校就学前の子の看護休暇・時間外労働制限・深夜業制限、(4)介護休業(93日、3回まで分割可)、(5)介護休暇(年5日)などが規定されています。近年は男性の育児休業取得促進(産後パパ育休など)も進められています。

育児支援に関する法律の体系を問う問題。各法律の目的と規定内容を整理し、所定労働時間短縮の義務は育児・介護休業法にあることを押さえます。