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腹部CTで見る皮下脂肪ー洋梨型と内臓脂肪型はどう違う?

看護師国家試験 第106回 午前 第31問 / 人体の構造・機能 / 代謝系と体温調節

国試問題にチャレンジ

106回 午前 第31問

腹部CTを別に示す。矢印で示す部位について正しいのはどれか。

腹部CTを別に示す。矢印で示す部位について正しいのはどれか。
  1. 1.肥満細胞で構成される。
  2. 2.厚さはBMIの算出に用いられる。
  3. 3.厚い場合は洋梨型の体型の肥満が特徴的である。
  4. 4.厚い場合はメタボリックシンドロームと診断される。

対話形式の解説

博士 博士

今日は腹部CTの画像問題を題材に、脂肪のしくみを整理していくぞ。

サクラ サクラ

はい。矢印で示された部位って、腹壁のいちばん外側の厚い層ですよね。あれって内臓脂肪ですか?

博士 博士

よい質問じゃ。腹壁で皮膚のすぐ下、腹直筋などの筋肉層よりも外側にある脂肪層を「皮下脂肪」と言う。矢印はそこを指しておる。

サクラ サクラ

じゃあ内臓脂肪は腹腔の中、腸の周りとかですか?

博士 博士

そのとおり。腸間膜や大網に蓄積するのが内臓脂肪で、臍高のCTで内臓脂肪面積が100cm²以上だとメタボ診断の必須項目になる。

サクラ サクラ

なるほど。ところで皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満って、体型で違いが出るって聞いたんですが…

博士 博士

うむ。皮下脂肪型は腰やお尻、太ももに脂肪が溜まるから洋梨型と呼ばれる。女性ホルモン(エストロゲン)の影響で女性に多い。

サクラ サクラ

となると、お腹がぽっこり出るのが内臓脂肪型ですね。

博士 博士

そうじゃ。お腹の中心が膨らむ形で「りんご型」と呼ばれる。男性や閉経後女性に多く、インスリン抵抗性や脂質異常症を起こしやすい危険なタイプじゃ。

サクラ サクラ

選択肢1の「肥満細胞で構成される」はひっかけですよね?肥満細胞ってアレルギーの細胞じゃ…

博士 博士

よく気づいた。肥満細胞(mast cell)は漢字は「肥満」でも脂肪とは無関係で、ヒスタミンを放出するアレルギー関連の免疫細胞じゃ。脂肪を構成するのは白色脂肪細胞。名前の罠に注意するのじゃ。

サクラ サクラ

BMIは身長と体重だけで計算しますよね。皮脂厚は使いません。

博士 博士

その通り。BMIは体重(kg)÷身長(m)²。皮下脂肪の厚さは体脂肪率の推定に使うキャリパー法などで使用される別指標じゃ。

サクラ サクラ

メタボの診断には腹囲を測りますが、あれは皮下脂肪じゃなくて内臓脂肪を推定するためですよね?

博士 博士

そのとおり。男性85cm以上・女性90cm以上はCTの内臓脂肪面積100cm²に相当するとされておる。そこへ脂質・血圧・血糖のうち2つが基準を超えるとメタボと診断する。

サクラ サクラ

腹囲測定って、単に太っているかを見ているんじゃなくて「内臓脂肪の代替指標」なんですね。

博士 博士

看護師として患者教育をするときにこの違いを説明できると、生活習慣改善の動機づけがしやすいぞ。

POINT

腹部CTで腹壁の皮膚直下に見える脂肪層は皮下脂肪で、過剰に蓄積すると下半身に脂肪が集まる「洋梨型(皮下脂肪型)肥満」となり、女性に多く比較的代謝リスクは低いとされます。一方、腸間膜周囲に溜まる内臓脂肪が増えると「りんご型(内臓脂肪型)肥満」となり、高血圧・脂質異常症・糖尿病を伴いメタボリックシンドロームの中核病態となります。メタボの診断基準は内臓脂肪面積100cm²以上(腹囲男性85cm・女性90cm以上)が必須項目で、皮下脂肪の厚さでは診断されません。名前に惑わされやすい「肥満細胞」はアレルギー反応に関わる免疫細胞で脂肪とは無関係、BMIは身長と体重だけで算出される点も併せて整理しておきましょう。画像と用語の紐づけは国試で繰り返し問われる重要ポイントです。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:腹部CTを別に示す。矢印で示す部位について正しいのはどれか。

解説:正解は 3 です。腹部CTで体表近く(腹壁の皮膚直下、筋肉層より外側)に見える脂肪層は皮下脂肪であり、これが過剰に蓄積するタイプの肥満を皮下脂肪型肥満と呼びます。下腹部・臀部・大腿部に脂肪がつきやすく、体型が洋梨(西洋梨)に似ることから「洋梨型肥満」と表現されます。エストロゲンの影響を受けやすく女性に多いタイプで、内臓脂肪型(りんご型)と比べると代謝疾患リスクは相対的に低いとされています。

選択肢考察

  1. × 1.  肥満細胞で構成される。

    皮下脂肪を構成しているのは白色脂肪細胞(adipocyte)であって、「肥満細胞」ではない。肥満細胞(mast cell)は名前は似ているがヒスタミンなどを放出してⅠ型アレルギーや炎症に関与する免疫系の細胞で、皮下脂肪組織の主体ではない。

  2. × 2.  厚さはBMIの算出に用いられる。

    BMIは体重(kg)÷身長(m)²で算出され、身長と体重のみで計算される指標。皮下脂肪の厚さ(皮脂厚)は体脂肪率の推定などに用いられることはあるが、BMIの算出には含まれない。

  3. 3.  厚い場合は洋梨型の体型の肥満が特徴的である。

    皮下脂肪型肥満では下半身(腰・臀部・大腿)に脂肪が蓄積し、洋梨のような体型となる。女性に多く、エストロゲンの作用が関与している。

  4. × 4.  厚い場合はメタボリックシンドロームと診断される。

    メタボリックシンドロームの必須項目は内臓脂肪蓄積(臍高CTで内臓脂肪面積100cm²以上に相当、腹囲では男性85cm以上・女性90cm以上)であり、皮下脂肪の厚さでは診断されない。皮下脂肪型肥満はメタボリックシンドロームの診断基準を満たしにくい。

脂肪組織は付着部位によって「皮下脂肪」と「内臓脂肪(腸間膜や大網などに蓄積)」に分けられる。腹部CTでは、腹壁の皮膚と腹筋層の間にあるのが皮下脂肪、腹腔内・腸管周囲にあるのが内臓脂肪。内臓脂肪型肥満(りんご型)はインスリン抵抗性・脂質異常・高血圧を引き起こしやすく、メタボリックシンドロームの中核病態である。皮下脂肪と内臓脂肪を視覚的に区別する問いは国試頻出。

腹部CT画像から皮下脂肪を同定し、その生理学的特徴と肥満のタイプ(洋梨型と内臓脂肪型の区別)を問う問題。