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体温に影響するものを体系的に理解しよう

看護師国家試験 第105回 午後 第67問 / 人体の構造・機能 / 代謝系と体温調節

国試問題にチャレンジ

105回 午後 第67問

体温に影響しないのはどれか。

  1. 1.運動
  2. 2.食事
  3. 3.ふるえ
  4. 4.不感蒸泄
  5. 5.精神性発汗

対話形式の解説

博士 博士

今日は体温調節の仕組みを学ぼう。体温は産熱と放熱のバランスで決まることを知っているかな

サクラ サクラ

はい、産熱より放熱が多ければ下がり、逆なら上がるということですね

博士 博士

その通り。選択肢を1つずつ見ていこう。運動はどうじゃ

サクラ サクラ

骨格筋が活動するので熱が発生します。体温は上がりますね

博士 博士

正解。運動は最大の産熱要因の一つじゃ。では食事はどうかな

サクラ サクラ

食べ物を消化するのにエネルギーがかかるから熱が出る、ということですか

博士 博士

その通り。これを食事誘発性熱産生(DIT)と呼ぶ。摂取した栄養素の約10%程度が熱になる。タンパク質は特にDITが大きい

サクラ サクラ

ふるえはどうですか

博士 博士

寒いときに体温を維持するために起こる不随意的な筋収縮じゃ。骨格筋が熱を産生し、体温低下を防ぐ。シバリングサーモジェネシスとも呼ばれる

サクラ サクラ

不感蒸泄は放熱側ですね

博士 博士

その通り。皮膚や呼気から1日約900ml程度の水分が蒸発し、気化熱として熱を奪う。発熱時には増加し、体温を下げる重要な放熱機構じゃ

サクラ サクラ

最後に精神性発汗ですが、これも体温に影響しますか

博士 博士

ここが今回のポイントじゃ。精神性発汗は緊張や情動刺激で手掌・足底・腋窩に出る汗で、体温調節とは無関係なんじゃ

サクラ サクラ

普通の汗と何が違うのですか

博士 博士

発汗には3種類ある。温熱性発汗は体温調節目的で全身性に出る。精神性発汗は情動刺激で限局部位に出る。味覚性発汗は辛いものを食べたとき顔面に出る。体温調節に関わるのは温熱性発汗だけじゃ

サクラ サクラ

なるほど、だから正解は5の精神性発汗なのですね

博士 博士

その通りじゃ。情動性の発汗は大脳皮質や辺縁系が関与しており、視床下部の体温調節中枢を経由しない

サクラ サクラ

体温調節中枢はどこでしたっけ

博士 博士

視床下部の前部にある。ここで設定温度と実際の体温を比較し、産熱や放熱の指令を出すんじゃ

サクラ サクラ

発熱はセットポイントが上がるのですよね

博士 博士

その通り。発熱物質(サイトカインなど)により視床下部のセットポイントが上昇し、悪寒とふるえで体温を上げる。解熱するときは逆に発汗と血管拡張で放熱する

サクラ サクラ

産熱と放熱、そして発汗の種類まで整理できました

POINT

体温は産熱と放熱のバランスで決まり、運動・食事・ふるえは産熱、不感蒸泄は放熱に関与します。発汗には温熱性・精神性・味覚性の3種類があり、体温調節に関わるのは温熱性発汗のみです。精神性発汗は情動刺激による手掌・足底・腋窩の発汗で、大脳皮質・辺縁系を介して起こり体温には影響しません。視床下部の体温調節中枢を介するかどうかが区別のポイントです。

解答・解説

正解は 5 です

問題文:体温に影響しないのはどれか。

解説:正解は 5 です。精神性発汗は緊張や情動変化によって手掌・足底・腋窩に生じる発汗で、体温調節とは無関係に起こります。温熱性発汗(全身性の汗)が体温を下げる目的で生じるのに対し、精神性発汗は交感神経の情動性興奮によるもので、産熱や放熱に寄与しません。他の選択肢はいずれも産熱または放熱を介して体温に影響します。

選択肢考察

  1. × 1.  運動

    運動では骨格筋の収縮により多量の熱が産生され、体温が上昇します。運動は最大の産熱要因の一つです。

  2. × 2.  食事

    食事摂取後、栄養素の消化吸収・代謝に伴い熱が産生されます。これを食事誘発性熱産生(DIT)と呼び、体温上昇に寄与します。

  3. × 3.  ふるえ

    寒冷暴露時、骨格筋の不随意的な細かな収縮(ふるえ)により熱が産生され、体温を維持します。ふるえによる熱産生はシバリングサーモジェネシスとも呼ばれます。

  4. × 4.  不感蒸泄

    不感蒸泄(皮膚と呼気からの水分蒸散)は気化熱として熱を奪い、放熱に寄与します。体温調節に関与する放熱手段の一つです。

  5. 5.  精神性発汗

    精神性発汗は緊張や情動刺激により手掌・足底・腋窩で生じる発汗で、交感神経の情動性興奮によるものです。体温調節を目的としないため、体温への影響はありません。

発汗は大きく温熱性発汗(体温調節目的、全身性、視床下部の体温調節中枢が関与)と精神性発汗(情動刺激、手掌・足底・腋窩限局、大脳皮質・辺縁系が関与)、味覚性発汗(辛い食物摂取時、顔面)に分類されます。体温調節に関わるのは温熱性発汗のみです。

体温調節の産熱・放熱機構と、精神性発汗との区別を問う問題です。