全前置胎盤の帝王切開、術前日の準備
看護師国家試験 第104回 午前 第110問 / 母性看護学 / 分娩期・産褥期の看護
国試問題にチャレンジ
次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(35歳、初産婦)は、夫と2人で暮らしている。妊娠28週2日、妊婦健康診査で胎盤が内子宮口を全部覆っていると指摘された。自覚症状はない。その他の妊娠経過に異常は認められていない。Aさんは、身長155cm、体重56kg(非妊時体重50kg)である。 その後、Aさんの妊娠経過は順調で、妊娠37週0日の午後1時から帝王切開術が予定された。手術前日の対応で最も適切なのはどれか。
- 1.浣腸を実施する。
- 2.夕食を禁食とする。
- 3.輸血の準備を確認する。
- 4.下肢に間欠的空気圧迫装置を使用する。
対話形式の解説
博士
Aさんはいよいよ妊娠37週で帝王切開じゃ。前日に何を一番優先するかが問題じゃのう。
アユム
全前置胎盤は出血量が多いんでしたよね。
博士
そうじゃ。通常の帝王切開でも500〜1000ml程度出血することがあるが、全前置胎盤では2000mlを超えることもまれではない。
アユム
だから3の輸血の準備確認が最優先なんですね。
博士
血液型適合の輸血製剤を確保し、交差適合試験を済ませておくのが鉄則じゃ。
アユム
1の浣腸はどうでしょう?
博士
腸蠕動が子宮収縮を誘発し、胎盤が剥離して出血する危険がある。前置胎盤では浣腸は禁忌じゃ。
アユム
2の夕食を禁食にするのは?
博士
絶飲食は通常手術6〜8時間前からで、前日夕食は摂取可能じゃ。前日夕からの禁食は不要じゃのう。
アユム
4の間欠的空気圧迫装置は術中・術後の臥床期に使うんでしたね。
博士
うむ。歩行可能な前日段階では適応がない。
アユム
術前準備の柱は何でしょう?
博士
絶飲食、皮膚消毒、弾性ストッキング、輸血準備、そして新生児蘇生の準備じゃ。
アユム
全前置胎盤では自己血貯血をする施設もあるんですよね。
博士
そう、母体の安全を最大化するための工夫じゃ。
アユム
術後の弛緩出血や癒着胎盤も警戒しないとですね。
博士
術中から術後まで継続した観察が母児の安全を支えるんじゃ。
POINT
全前置胎盤の帝王切開は大量出血のリスクが極めて高く、術前日には輸血用血液の確保状況を必ず確認します。浣腸は子宮収縮を誘発し禁忌、前日夕食は通常摂取可能、間欠的空気圧迫装置は術中以降に使用するものです。出血に備えた準備が母児の救命に直結します。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(35歳、初産婦)は、夫と2人で暮らしている。妊娠28週2日、妊婦健康診査で胎盤が内子宮口を全部覆っていると指摘された。自覚症状はない。その他の妊娠経過に異常は認められていない。Aさんは、身長155cm、体重56kg(非妊時体重50kg)である。 その後、Aさんの妊娠経過は順調で、妊娠37週0日の午後1時から帝王切開術が予定された。手術前日の対応で最も適切なのはどれか。
解説:正解は3です。全前置胎盤の帝王切開は通常分娩より出血量が多く、大量出血のリスクが高いため、輸血が即時に行えるよう前日に血液製剤の準備状況を再確認することが最も重要です。
選択肢考察
-
× 1. 浣腸を実施する。
浣腸は腸蠕動を介して子宮収縮を誘発する可能性があり、前置胎盤では出血リスクが高まるため術前日には実施しません。
-
× 2. 夕食を禁食とする。
通常、術前日の夕食は摂取可能で、就寝前の指示時刻(21時前後など)から絶飲食となります。前日夕食からの禁食は不要です。
-
○ 3. 輸血の準備を確認する。
全前置胎盤の帝王切開は大量出血のリスクが極めて高いため、血液型適合の血液製剤を事前に確保しておくことが必須です。
-
× 4. 下肢に間欠的空気圧迫装置を使用する。
深部静脈血栓予防の間欠的空気圧迫装置は、術中から術後の臥床期に使用するもので、前日の歩行可能な段階では適応がありません。
帝王切開の術前準備は『絶飲食(手術6〜8時間前から)』『剃毛・皮膚消毒準備』『弾性ストッキング装着』『輸血用血液の確保』『新生児蘇生の準備』が要点です。とくに全前置胎盤は弛緩出血や癒着胎盤の合併で2,000mlを超える出血になることもあり、自己血貯血や複数単位の交差適合試験済み血液の確保が標準となります。
全前置胎盤での帝王切開術前日に出血リスクを見越した準備を選択できるかを問う問題です。
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