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母児同室スタートの心得 ―自律授乳とコット移動で安全に

看護師国家試験 第109回 午前 第110問 / 母性看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

109回 午前 第110問

次の文を読み以下の問いに答えよ。 在胎 39 週 4 日で、正常分娩で出生した児。出生体重 3,000 g 、身長 48.0 cm 。出生直後、児に付着していた羊水をふき取り、インファントラジアントウォーマーの下で観察を行った。体温 37.5 ℃、呼吸数 56 /分、心拍数 150 /分、呼吸音は異常なし。 看護師は観察を終え、温めておいたベビー服を着衣させ、同様に温めておいた寝具を用いて準備をしたコットに児を寝かせた。コットは壁際や窓辺を避け、空調の排気口からの風が当たらない場所に配置した。 生後 1 日。児の状態は、体温 37.0 ℃、呼吸数 48 /分、心拍数 120 /分、呼吸音は異常なし。体重 2,850 g 。出生後から現在までの状態は安定していた。母親も分娩時の疲労から回復し、産後の状態も安定しているため、母児同室を開始することとなった。この施設では、自律授乳を行っている。 母親へのオリエンテーションの内容で適切なのはどれか。

  1. 1.「新生室へ行く時は、赤ちゃんをコットに寝かせて移動してください」
  2. 2.「沐浴の時は、赤ちゃんのネームバンドを外しましょう」
  3. 3.「赤ちゃんの体温は 1 時間おきに測ってください」
  4. 4.「授乳は 3 時間ごとにしてください」

対話形式の解説

博士 博士

生後1日目、いよいよ母児同室開始じゃ。母親へのオリエンテーション内容を問う問題じゃよ。

アユム アユム

母児同室って最近増えてますよね。どんなメリットが?

博士 博士

母子関係形成の促進、母乳育児の確立、母親が児の特徴を理解できる、などじゃ。WHO/ユニセフの「母乳育児成功のための10のステップ」にも入っておる。

アユム アユム

まず安全面が大事そうですね。1の「コットに寝かせて移動」が正解ですか?

博士 博士

その通り!産褥早期は母親もまだ体力が戻っていない。めまいや産後貧血で転倒することもあるから、児を抱いたまま歩くのは危険じゃ。コットで移動するのが安全の基本じゃ。

アユム アユム

2の「沐浴時にネームバンドを外す」はダメですよね、取り違え防止ですから。

博士 博士

その通り!ネームバンドは入院中は常時装着が原則じゃ。防水性があるから沐浴中も問題ない。新生児取り違えは取り返しのつかない事故じゃからな。

アユム アユム

3の「1時間ごとに体温測定」は多すぎですね。

博士 博士

うむ、状態が安定している新生児なら1日2〜4回で十分じゃ。1時間ごとの測定は児・母親の休息を奪い、母親の不安を高めてむしろ逆効果じゃ。

アユム アユム

4の「3時間ごと授乳」は自律授乳と矛盾しますね。

博士 博士

正解!自律授乳(オンデマンド授乳)は児が欲しがる時に欲しがるだけ飲ませる方式じゃ。時間を決めないのが原則。1日8〜12回以上になることが多い。

アユム アユム

自律授乳のメリットは?

博士 博士

①母乳分泌の確立(プロラクチンとオキシトシンの分泌リズムが整う)、②児の空腹サインへの母親の感受性向上、③児の満足感、④体重増加の安定などじゃ。

アユム アユム

でも1日10回以上って、母親は大変じゃないですか?

博士 博士

確かに初期は大変じゃ。だから①哺乳前の覚醒サイン(pre-feeding cues:口をもぐもぐ、手を口に、目をキョロキョロ、など)を見逃さず泣く前に授乳、②楽な授乳姿勢の習得、③夜間はスタッフと連携して母親の睡眠も確保、④乳頭ケア、などサポートが必要じゃ。

アユム アユム

体重が3,000gから2,850gに減っていますが、これは大丈夫ですか?

博士 博士

生理的体重減少じゃな。出生体重の10%以内なら正常。今回は5%で範囲内じゃ。生後3〜5日で最低値、10〜14日で出生時体重に戻るのが目安じゃ。

アユム アユム

オリエンテーションって他にどんなことを伝えるんですか?

博士 博士

①移動はコット、②ネームバンド常時装着、③自律授乳の方法、④臍部ケア、⑤排泄観察(胎便→移行便→黄色便)、⑥異常サイン(皮膚色・呼吸・哺乳・発熱・嘔吐)、⑦疑問あれば即相談、などじゃ。

アユム アユム

母親の不安を受け止めながら、安全と母乳育児を支援していくんですね。

博士 博士

その通り。母児同室は「放っておく」のではなく「寄り添いながら自立を支える」ケアじゃ。看護師の存在は母親の安心の土台じゃよ。

POINT

生後1日目の母児同室開始時、母親への最も適切なオリエンテーションは「新生児室へ行く時はコットに寝かせて移動してください」です。産褥早期の母親は体力が十分回復しておらず、児を抱いての移動は転倒・落下のリスクがあるためコット使用が安全確保の基本となります。ネームバンドは取り違え防止のため沐浴中も常時装着が原則、体温測定は安定児なら1日2〜4回で十分、自律授乳採用施設では時間ではなく児の欲求に応じた授乳が方針です。母児同室は母子関係形成と母乳育児確立を促進するWHO推奨のケアで、看護師は安全・取り違え防止・自律授乳支援・異常の早期発見を柱にオリエンテーションを行います。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:次の文を読み以下の問いに答えよ。 在胎 39 週 4 日で、正常分娩で出生した児。出生体重 3,000 g 、身長 48.0 cm 。出生直後、児に付着していた羊水をふき取り、インファントラジアントウォーマーの下で観察を行った。体温 37.5 ℃、呼吸数 56 /分、心拍数 150 /分、呼吸音は異常なし。 看護師は観察を終え、温めておいたベビー服を着衣させ、同様に温めておいた寝具を用いて準備をしたコットに児を寝かせた。コットは壁際や窓辺を避け、空調の排気口からの風が当たらない場所に配置した。 生後 1 日。児の状態は、体温 37.0 ℃、呼吸数 48 /分、心拍数 120 /分、呼吸音は異常なし。体重 2,850 g 。出生後から現在までの状態は安定していた。母親も分娩時の疲労から回復し、産後の状態も安定しているため、母児同室を開始することとなった。この施設では、自律授乳を行っている。 母親へのオリエンテーションの内容で適切なのはどれか。

解説:正解は 1 です。母児同室中は母親が児の世話を行うため、移動時の安全確保が重要です。新生児を抱いたまま移動すると転倒や落下のリスクがあり、コットに寝かせて移動することで安全に搬送できます。産褥早期の母親はまだ体力が十分回復しておらず、めまい・貧血の可能性もあるため、コット使用は母児双方の安全を守る基本事項です。

選択肢考察

  1. 1.  「新生室へ行く時は、赤ちゃんをコットに寝かせて移動してください」

    母親の転倒・新生児の落下を防ぐ安全確保の基本。産褥早期の母親はまだ体力が戻っていないため、抱いて移動するより確実に安全。

  2. × 2.  「沐浴の時は、赤ちゃんのネームバンドを外しましょう」

    ネームバンドは取り違え防止の重要な手段で、沐浴中も装着したままが原則。防水性があり外す必要はない。

  3. × 3.  「赤ちゃんの体温は 1 時間おきに測ってください」

    状態が安定している新生児の体温測定は通常1日2〜4回程度。1時間ごとの測定は児・母親ともに休息を妨げ非現実的で、かえって母親の不安を高める可能性もある。

  4. × 4.  「授乳は 3 時間ごとにしてください」

    自律授乳(オンデマンド授乳)を採用している施設では、児が欲しがる時に欲しがるだけ授乳する方針であり、時間を決めない。3時間ごとの固定は方針と矛盾する。

母児同室(rooming-in)は母子関係形成と母乳育児確立に有効とされWHO/ユニセフの「母乳育児成功のための10のステップ」にも含まれる。オリエンテーション内容は①児の移動はコット使用(安全確保)、②ネームバンド常時装着(取り違え防止)、③自律授乳の方法と頻度(通常1日8〜12回以上)、④授乳姿勢・乳房ケア、⑤臍部ケア、⑥排泄観察(胎便→移行便→黄色便、排尿回数)、⑦異常のサイン(皮膚色変化、呼吸困難、哺乳不良、発熱、嘔吐など)の見方、⑧疑問があればいつでも看護師に相談、など。自律授乳は児の欲求に応じるためpre-feeding cues(覚醒・口をもぐもぐ・手を口に、など)を見逃さないことも指導する。夜間はスタッフと連携し母親の睡眠も確保するバランスが重要。

母児同室開始時のオリエンテーション内容として適切なものを選ぶ問題。安全確保・取り違え防止・自律授乳の原則が鍵。