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新生児の顔や胸の赤い発疹、心配?「中毒性紅斑」の正体

看護師国家試験 第109回 午後 第108問 / 母性看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

109回 午後 第108問

次の文を読み以下の問いに答えよ。 Aさん( 30 歳、初産婦)は、正常分娩で児を出産した。第 2 度会陰裂傷を認め、会陰縫合術を受けた。分娩 3 時間後に、分娩室から褥室へ帰室した。産褥 1 日のAさんのバイタルサインは、体温 36.8 ℃、脈拍 72 /分、血圧 118 / 70 mmHgであった。子宮底は臍下 1 横指で、子宮は硬く触れ、血性悪露中等量、後陣痛がみられる。会陰縫合部の痛みはあるが発赤はない。乳房緊満( - )、乳管開口数は左右とも 4、5 本。 「昨夜は興奮してなかなか眠れなかった」と言う。 産褥 4 日。母子ともに出産後の経過は順調である。看護師が、Aさんへ退院に向けて育児に関する話をしていたところ「赤ちゃんの顔や胸が赤くなっているのが気になっています」と相談してきた。看護師が新生児の皮膚を観察したところ、児の顔面と胸部に中毒性紅斑が数個散在していた。 この時のAさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。

  1. 1.紅斑を乾燥させるよう説明する。
  2. 2.紅斑をガーゼでよく洗うよう説明する。
  3. 3.自然に消失するため心配はないと説明する。
  4. 4.抗菌薬の軟膏の処方について医師に相談すると伝える。

対話形式の解説

博士 博士

産褥4日目、Aさんが「赤ちゃんの顔や胸が赤い」と相談してきた場面じゃ。診察すると中毒性紅斑が数個散在しておる。

アユム アユム

中毒性紅斑…名前が怖いですけど、どういうものですか?

博士 博士

名前がいかつい割に、実は生理的な皮膚所見じゃ。新生児の約半数に見られる、至ってありふれた現象じゃよ。

アユム アユム

半分も!どんな見た目なんですか?

博士 博士

直径1〜3mmの黄色い丘疹を中心に周囲が紅斑状になるのが典型じゃ。顔、体幹、四肢に散在し、生後2〜3日頃に好発する。

アユム アユム

原因は何なんでしょう?

博士 博士

実は原因不明じゃ。免疫反応や皮膚形成の過程の一現象と考えられておる。

アユム アユム

治療は?

博士 博士

不要じゃ。数日〜2週間で自然に消える。じゃから選択肢3「自然に消失するため心配はない」が正解となる。

アユム アユム

選択肢1の「乾燥させる」は?

博士 博士

真逆じゃ。新生児の皮膚は薄くバリア機能が未熟。乾燥させたら他の皮膚トラブルが出てしまう。むしろ保湿が基本じゃ。

アユム アユム

選択肢2の「ガーゼでよく洗う」は?

博士 博士

過剰な摩擦は新生児の脆弱な皮膚を損傷する。通常の沐浴で十分で、ゴシゴシ洗うのは不適切じゃ。

アユム アユム

選択肢4の抗菌薬軟膏は?

博士 博士

細菌感染ではないから適応がない。不必要な薬剤はアレルギー感作のリスクも生む。

アユム アユム

ほかにも新生児期の生理的皮膚所見ってあるんですか?

博士 博士

いくつもあるぞ。新生児ざ瘡は生後数週に皮脂腺が活性化して出る。稗粒腫は鼻や頬の白い小丘疹、角質が詰まったもの。蒙古斑は仙骨部の青灰色、数年で消える。

アユム アユム

サーモンパッチも聞いたことあります。

博士 博士

前額や瞼にピンクの斑、これも自然消退する。一方でポートワイン血管腫は持続性で、大きくなっても残るので鑑別が必要じゃ。

アユム アユム

逆に病的な皮疹はどう見分けるんですか?

博士 博士

発熱を伴う発疹、膿疱、広範囲の水疱、出血斑などは要注意。感染症やウイルス性発疹を疑って医師に相談する。

アユム アユム

母親への対応としては、正しい知識で安心してもらうのが一番の看護なんですね。

博士 博士

その通り。初産婦は小さな変化に不安を感じる。科学的根拠のある説明で不安を解きほぐすのが看護師の大事な役割じゃ。

POINT

新生児中毒性紅斑は新生児の約半数に認められる生理的な皮膚所見で、生後2〜3日頃に顔面・体幹・四肢に黄色丘疹を中心とした紅斑として現れ、数日〜2週間で自然消退します。原因は不明ですが病的意義はなく、特別な治療・洗浄・乾燥・薬剤塗布は不要で、むしろ過剰な介入は新生児の脆弱な皮膚を傷つけます。看護師の役割は母親に正しい知識を伝えて不安を軽減することです。新生児期には他にも新生児ざ瘡、稗粒腫、蒙古斑、サーモンパッチなど多くの生理的皮膚所見があり、鑑別を押さえて家族に適切な情報提供を行うことが、育児への自信と安心につながります。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:次の文を読み以下の問いに答えよ。 Aさん( 30 歳、初産婦)は、正常分娩で児を出産した。第 2 度会陰裂傷を認め、会陰縫合術を受けた。分娩 3 時間後に、分娩室から褥室へ帰室した。産褥 1 日のAさんのバイタルサインは、体温 36.8 ℃、脈拍 72 /分、血圧 118 / 70 mmHgであった。子宮底は臍下 1 横指で、子宮は硬く触れ、血性悪露中等量、後陣痛がみられる。会陰縫合部の痛みはあるが発赤はない。乳房緊満( - )、乳管開口数は左右とも 4、5 本。 「昨夜は興奮してなかなか眠れなかった」と言う。 産褥 4 日。母子ともに出産後の経過は順調である。看護師が、Aさんへ退院に向けて育児に関する話をしていたところ「赤ちゃんの顔や胸が赤くなっているのが気になっています」と相談してきた。看護師が新生児の皮膚を観察したところ、児の顔面と胸部に中毒性紅斑が数個散在していた。 この時のAさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。

解説:正解は 3 です。新生児中毒性紅斑は生後2〜3日頃を中心に、新生児の約半数に認められる生理的な皮膚所見で、顔面、体幹、四肢などに直径1〜3mmの黄色丘疹を中心とした紅斑として現れる。原因は不明だが病的意義はなく、数日から2週間程度で自然消失する。特別な治療も特別な洗浄も不要で、母親に正しい知識を伝えて安心させることが適切な対応となる。

選択肢考察

  1. × 1.  紅斑を乾燥させるよう説明する。

    新生児の皮膚は薄く皮脂・水分が失われやすい。乾燥させる対応はバリア機能を損ない、他の皮膚トラブルを誘発する恐れがあるため不適切。

  2. × 2.  紅斑をガーゼでよく洗うよう説明する。

    中毒性紅斑は洗浄で改善するものではなく、過度な摩擦は新生児の脆弱な皮膚を傷つける。通常の沐浴で十分で、特別な洗浄は不要。

  3. 3.  自然に消失するため心配はないと説明する。

    新生児中毒性紅斑は生理的所見で、数日〜2週間で自然消退する。特別な治療は不要で、母親の不安を緩和するための正しい情報提供が適切な対応。

  4. × 4.  抗菌薬の軟膏の処方について医師に相談すると伝える。

    中毒性紅斑は細菌感染ではなく、抗菌薬軟膏の適応はない。不必要な薬剤使用は皮膚刺激やアレルギー感作の原因となりうる。

新生児期の皮膚所見は生理的なものが多く、区別が重要である。代表的なものに、中毒性紅斑(生後2〜3日、自然消退)、新生児ざ瘡(生後数週、皮脂腺亢進、自然消退)、稗粒腫(白色小丘疹、鼻や頬に多い)、蒙古斑(仙骨部の青灰色、数年で消退)、サーモンパッチ(前額・瞼のピンク斑、自然消退)、ポートワイン血管腫(持続性、紫紅色)などがある。新生児は皮膚バリアが未熟で乾燥・摩擦に弱く、保湿と愛護的なスキンケアが基本。発熱を伴う発疹、膿疱、広範囲の水疱などは感染や病的皮疹を疑い医師に相談する。

新生児期の生理的皮膚所見を鑑別し、不要な処置をせず母親の不安を適切な情報提供で軽減できるかを問う問題。