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尿失禁4タイプと骨盤底筋訓練の適応

看護師国家試験 第105回 午前 第18問 / 必修問題 / 日常生活援助技術

国試問題にチャレンジ

105回 午前 第18問

骨盤底筋訓練が最も有効なのはどれか。

  1. 1.溢流性尿失禁(overflow incontinence of urine)
  2. 2.切迫性尿失禁(urge incontinence of urine)
  3. 3.反射性尿失禁(reflex incontinence of urine)
  4. 4.腹圧性尿失禁(stress incontinence of urine)

対話形式の解説

博士 博士

今日は尿失禁と骨盤底筋訓練の話じゃ。尿失禁は原因別に4タイプあって、それぞれ治療が違うから整理が大切じゃ。

アユム アユム

4タイプ、全部覚えきれてない気がします。

博士 博士

では一緒に整理しよう。(1)腹圧性、(2)切迫性、(3)溢流性、(4)反射性じゃ。腹圧性から説明するぞ。

アユム アユム

腹圧性って、くしゃみで漏れるやつですか?

博士 博士

その通り。咳・くしゃみ・笑い・重い物を持ったときなど『腹圧がかかったとき』に少量漏れる。原因は骨盤底筋群の脆弱化じゃ。出産・加齢・閉経・肥満が主なリスク因子で、中高年女性に特に多い。

アユム アユム

だから骨盤底筋訓練で筋力を戻せば治るんですね。

博士 博士

その通り。軽症〜中等症なら3〜6か月の継続で70〜80%改善するとされておる。排便や膣・肛門を締めるイメージで5秒収縮→10秒弛緩を10回、1日3セット程度が目安じゃな。

アユム アユム

切迫性尿失禁はどう違うんですか?

博士 博士

切迫性は『強い尿意を我慢できずに漏れる』タイプじゃ。過活動膀胱が原因で、治療は抗コリン薬やβ3刺激薬といった薬物療法と膀胱訓練(排尿間隔を徐々に延ばす)が中心。骨盤底筋訓練は補助じゃな。

アユム アユム

溢流性はどんな感じですか?

博士 博士

溢流性は『排尿したいのに出ない』タイプ。膀胱が満タンになって、コップから水があふれるように少しずつ漏れる。原因は前立腺肥大症による尿道閉塞や糖尿病性神経障害による排尿筋収縮不全じゃ。治療は原因疾患への対応と間欠導尿じゃな。

アユム アユム

反射性はどうですか?

博士 博士

反射性は脊髄損傷など中枢神経障害で尿意を感じず、膀胱が一定量たまると反射で出てしまうタイプ。導尿や膀胱瘻造設が中心で、筋トレでは治らん。

アユム アユム

なるほど、4タイプがスッキリしました。

博士 博士

混合性尿失禁も頻度が高い。腹圧性と切迫性が合併するパターンで、薬物療法+骨盤底筋訓練の併用が効果的じゃ。

アユム アユム

骨盤底筋訓練の指導のコツは?

博士 博士

『おならを我慢するように肛門を締める』『膣から水を吸い上げるイメージ』と具体的に説明する。仰臥位→座位→立位と徐々に難易度を上げる。排尿中にピタッと止める動作で筋肉を確認してもらうのも有効じゃ。

アユム アユム

男性でも骨盤底筋訓練は役立ちますか?

博士 博士

前立腺全摘後の尿失禁に骨盤底筋訓練が有効で、術前から練習を始めることが推奨されておる。ただし前立腺肥大症そのものの治療にはならないから、あくまで失禁対策としての位置づけじゃ。

アユム アユム

ありがとうございます。タイプ別に治療を選ぶ重要性がよくわかりました。

POINT

骨盤底筋訓練が最も有効なのは骨盤底筋群の脆弱化に起因する腹圧性尿失禁で、出産や加齢、閉経でリスクが上がる中高年女性に多くみられます。切迫性は薬物療法と膀胱訓練、溢流性は原因疾患治療と導尿、反射性は導尿や膀胱瘻が中心で、骨盤底筋訓練の第一選択にはなりません。混合性尿失禁では併用療法が行われ、指導時は収縮と弛緩のイメージを具体的に伝えることが成功の鍵となります。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:骨盤底筋訓練が最も有効なのはどれか。

解説:正解は 4 です。骨盤底筋訓練(ケーゲル体操)は、骨盤底の筋群(肛門挙筋、尾骨筋、尿道括約筋など)を随意的に収縮・弛緩させて筋力を強化する運動療法で、骨盤底筋群の脆弱化が原因で起こる『腹圧性尿失禁』に最も有効です。腹圧性尿失禁は咳・くしゃみ・笑い・重い物を持つなど腹圧がかかったときに少量の尿が漏れるタイプで、中高年の女性(特に多産婦・閉経後)に多くみられます。軽症から中等症では3〜6か月の継続で70〜80%の改善が期待できるとされ、第一選択の保存療法として推奨されています。

選択肢考察

  1. × 1.  溢流性尿失禁(overflow incontinence of urine)

    溢流性尿失禁は前立腺肥大症や糖尿病性神経障害、子宮脱術後などで尿道閉塞・排尿筋収縮不全が生じ、膀胱から尿があふれ出す失禁です。治療は原因疾患への対応と間欠導尿が中心で、骨盤底筋訓練は第一選択になりません。

  2. × 2.  切迫性尿失禁(urge incontinence of urine)

    切迫性尿失禁は過活動膀胱が主因で、強い尿意を我慢できずに漏れるタイプです。治療は抗コリン薬・β3刺激薬などの薬物療法や膀胱訓練(排尿間隔延長)が中心で、骨盤底筋訓練は補助的に併用されます。

  3. × 3.  反射性尿失禁(reflex incontinence of urine)

    反射性尿失禁は脊髄損傷など中枢神経障害で尿意を感じられず、膀胱充満刺激で反射的に排尿が起こるものです。治療は間欠導尿や膀胱瘻造設などで、骨盤底筋訓練の適応ではありません。

  4. 4.  腹圧性尿失禁(stress incontinence of urine)

    腹圧性尿失禁は骨盤底筋群の脆弱化が原因で、腹圧上昇時に尿道閉鎖圧が不足して漏れるものです。骨盤底筋訓練で筋力を強化すれば尿道支持機構が回復し、軽症〜中等症では70〜80%の改善が期待できます。

尿失禁は4タイプに大別されます。(1)腹圧性:咳・くしゃみで漏れる、女性に多い、骨盤底筋訓練が第一選択。(2)切迫性:強い尿意に間に合わない、過活動膀胱、抗コリン薬/β3刺激薬。(3)溢流性:排尿困難で尿があふれる、前立腺肥大・神経障害、原因治療と導尿。(4)反射性:神経障害で無意識に排尿、脊髄損傷、導尿。なお腹圧性と切迫性が合併する『混合性尿失禁』も頻度が高く、両方のアプローチを組み合わせます。骨盤底筋訓練は排便や腟・肛門を締めるイメージで5秒収縮→10秒弛緩を10回、1日3セットが目安です。

尿失禁の4タイプと、それぞれの第一選択治療を整理できるかを問う問題です。