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口腔ケアは誤嚥性肺炎予防の要

看護師国家試験 第105回 午前 第19問 / 必修問題 / 日常生活援助技術

国試問題にチャレンジ

105回 午前 第19問

口腔ケアで適切なのはどれか。

  1. 1.歯肉出血がある場合は実施しない。
  2. 2.含嗽ができない患者には禁忌である。
  3. 3.経口摂取の有無に関係なく実施する。
  4. 4.総義歯の場合は義歯を入れた状態で実施する。

対話形式の解説

博士 博士

今日は口腔ケアの話じゃ。一見地味なケアじゃが、誤嚥性肺炎の予防という重大な役割があるんじゃぞ。

サクラ サクラ

誤嚥性肺炎と口腔ケアって、どう関係するんですか?

博士 博士

高齢者は『不顕性誤嚥』といって、寝ている間に気づかずに唾液が気道に入ることが多い。その唾液に細菌が多いと肺炎を起こす。口腔ケアで細菌量を減らせば、肺炎発症率が約40%減るという研究もあるんじゃ。

サクラ サクラ

ということは、食事をしてない人でも口腔ケアは必要なんですね。

博士 博士

その通り。選択肢3が正解じゃ。むしろ禁食中の患者ほど唾液分泌が減って自浄作用が落ち、細菌が繁殖しやすい。経管栄養中・気管挿管中・禁食中こそ口腔ケアが重要なんじゃ。

サクラ サクラ

『歯肉出血があったらやらない』は違う理由は?

博士 博士

歯肉出血は歯肉炎やプラーク蓄積のサインじゃ。ケアをやめるとさらに炎症が悪化する悪循環に入る。毛の柔らかい歯ブラシで丁寧に磨き、低刺激性の洗口剤を使うとよい。1〜2週間続けると出血が改善してくる。

サクラ サクラ

『含嗽できない人には禁忌』はどうですか?

博士 博士

これも誤り。含嗽できない患者には吸引器を併用する、ガーゼやスポンジブラシで清拭する、吸引機能付きブラシを使うなど工夫すればよい。むしろ誤嚥リスクが高い人ほど口腔ケアが大切なんじゃ。

サクラ サクラ

義歯は外すんですね。

博士 博士

そう、総義歯・部分義歯とも外して義歯用ブラシと義歯洗浄剤で洗う。義歯と歯肉の間は細菌の温床じゃから必ず外して洗浄する。外した状態で歯肉・口蓋・舌・頬内側も柔らかいブラシやスポンジで清拭じゃ。

サクラ サクラ

口腔ケアの手順を整理してもらえますか?

博士 博士

良い流れじゃな。(1)体位調整:ファウラー位+頚部前屈で誤嚥予防、(2)吸引準備:誤嚥リスクありなら必須、(3)義歯除去と洗浄、(4)歯と歯肉のブラッシング、(5)舌苔清掃:舌ブラシで奥から手前へ、(6)保湿:乾燥患者には保湿剤塗布、の順じゃ。

サクラ サクラ

舌苔も取ったほうがいいんですね。

博士 博士

舌は細菌が多く付着する場所じゃ。ただし強く擦ると味蕾を傷つけるから、専用ブラシで優しく奥から手前へ数回が基本じゃ。

サクラ サクラ

気管挿管患者のケアはどうしますか?

博士 博士

VAP(人工呼吸器関連肺炎)予防のため、ICUでは口腔ケアが必須のバンドルに含まれておる。クロルヘキシジンを含む洗口剤を使うこともあるし、頭位挙上(30度以上)とセットで行う。

サクラ サクラ

ありがとうございます。『食べていないからこそ口腔ケア』と覚えました。

POINT

口腔ケアは食物残渣の除去だけでなく、誤嚥性肺炎予防・唾液分泌促進・味覚維持・QOL向上など多面的な意義があります。経口摂取をしていない患者ほど自浄作用が低下し細菌が増殖するため、むしろ禁食中こそ口腔ケアが必要です。歯肉出血があっても柔らかいブラシで継続し、含嗽できない場合は吸引併用で対応し、義歯は外して洗浄するのが原則です。高齢者の不顕性誤嚥対策として、体位調整・吸引準備・舌苔清掃・保湿までを含めた丁寧な手順を身につけておきましょう。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:口腔ケアで適切なのはどれか。

解説:正解は 3 です。口腔ケアは食物残渣の除去だけでなく、口腔内細菌の減少による誤嚥性肺炎予防、唾液分泌促進による自浄作用維持、味覚刺激、コミュニケーション機能の維持、QOL向上と多面的な意義を持ちます。特に経口摂取をしていない患者では唾液分泌が減り自浄作用が低下し、口腔内細菌が増殖しやすいため、むしろ積極的な口腔ケアが必要です。したがって『経口摂取の有無に関係なく実施する』が正しい選択となります。

選択肢考察

  1. × 1.  歯肉出血がある場合は実施しない。

    歯肉出血は歯肉炎やプラーク蓄積のサインであり、ケアを中止するとさらに悪化します。毛の柔らかい歯ブラシや低刺激性の洗口液を使い、丁寧にブラッシングを行うことで出血が改善していきます。

  2. × 2.  含嗽ができない患者には禁忌である。

    含嗽困難な患者にも口腔ケアは必要です。吸引器を併用したブラッシング、ガーゼやスポンジブラシによる清拭、吸引機能付きブラシの使用など、誤嚥予防を工夫した方法で安全に実施できます。

  3. 3.  経口摂取の有無に関係なく実施する。

    経口摂取をしていない患者は唾液分泌低下で自浄作用が低下し、口腔内細菌が増殖して誤嚥性肺炎のリスクが高まります。経口摂取の有無にかかわらず、むしろ禁食中こそ重要なケアです。

  4. × 4.  総義歯の場合は義歯を入れた状態で実施する。

    義歯は細菌の温床となりやすいため、必ず外して義歯用ブラシと義歯洗浄剤で清潔にします。外した状態で歯肉・口蓋・舌・頬粘膜を柔らかいブラシや口腔ケア用スポンジで清拭することが基本です。

口腔ケアの臨床的意義で最も重要なのは『誤嚥性肺炎の予防』です。奥田らの研究(1999)で示されたように、要介護高齢者への口腔ケア介入で肺炎発症率が約40%低下しました。不顕性誤嚥(気づかないうちに唾液が気道に入る)は高齢者で頻繁に起こり、口腔内細菌数を減らすことが予防の鍵です。禁食中の患者・経管栄養・気管挿管患者ではむしろ口腔ケアの重要性が増します。手順は、(1)体位調整(ファウラー位、頚部前屈)、(2)含嗽または吸引準備、(3)義歯除去・洗浄、(4)歯・歯肉のブラッシング、(5)舌苔清掃、(6)保湿剤塗布、という流れを押さえておきましょう。

口腔ケアの正しい考え方と、誤嚥性肺炎予防のための適切な実施方法を理解しているかを問う問題です。