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『自分とは何者か』を問う時代 ─ エリクソンの青年期危機

看護師国家試験 第109回 午後 第6問 / 必修問題 / 人間の特性とライフサイクル

国試問題にチャレンジ

109回 午後 第6問

エリクソン,E.H.( Erikson,E.H. )の発達理論で青年期に生じる葛藤はどれか。

  1. 1.生殖性 対 停滞
  2. 2.勤勉性 対 劣等感
  3. 3.自主性 対 罪悪感
  4. 4.同一性 対 同一性混乱

対話形式の解説

博士 博士

今日は発達心理学の大家、エリクソンの理論を学ぶぞ。人の一生を8つに区切った理論、聞いたことあるかな?

アユム アユム

心理社会的発達理論ですね。各段階に課題があるんでしたよね。

博士 博士

その通り。各段階で『危機(葛藤)』を乗り越えることで『徳』を得るという考え方じゃ。

アユム アユム

青年期の危機は何でしたか?

博士 博士

『同一性 対 同一性混乱』じゃ。アイデンティティの確立とも呼ばれる。

アユム アユム

アイデンティティって、よく聞きますけど具体的には?

博士 博士

『自分とは何者で、どこに向かうのか』という問いに自分なりの答えを見出すこと。仕事・恋愛・価値観などを模索する時期じゃ。

アユム アユム

上手くいかないとどうなるんですか?

博士 博士

同一性混乱に陥り、進路を決められない、自己像が不安定、役割に馴染めないといった状態になる。モラトリアムが長引くのも特徴じゃ。

アユム アユム

他の選択肢はどの段階ですか?

博士 博士

『勤勉性 対 劣等感』は学童期、『自主性 対 罪悪感』は幼児後期、『生殖性 対 停滞』は壮年期じゃ。

アユム アユム

乳児期と老年期もありましたね。

博士 博士

乳児期は『基本的信頼 対 不信』、老年期は『統合 対 絶望』。成人期は『親密性 対 孤立』と『生殖性 対 停滞』に分かれる。

アユム アユム

8段階全部覚えるのは大変そうです。

博士 博士

ゴロ合わせじゃな。『信・自・自・勤・同・親・生・統』と順に覚える方法がある。キーワードを先に覚えて、年齢と結びつけるとよい。

アユム アユム

臨床でどう活かせばいいですか?

博士 博士

例えば青年期の患者なら、進学や就職、友人関係の悩みが病状に影響することがある。世代の課題を知ることで心理面の支援に厚みが出るのじゃ。

アユム アユム

患者の年齢に応じた発達段階を想定することが大事なんですね。

博士 博士

その通り。小児看護、成人看護、老年看護、どの分野でも発達段階の視点は看護過程の基盤となる。

POINT

エリクソンの心理社会的発達理論では、青年期(おおむね13〜22歳)の中心的危機は『同一性 対 同一性混乱』で、自我同一性の確立により『忠誠性』という徳を獲得します。学童期は『勤勉性 対 劣等感』、幼児後期は『自主性 対 罪悪感』、壮年期は『生殖性 対 停滞』と、8段階それぞれに固有の危機と徳が設定されています。看護師国家試験では各段階と葛藤の対応が繰り返し問われており、キーワードと年齢・獲得される徳をセットで整理することが得点源となります。臨床では患者の年齢層に応じた発達課題を想定することで、心理的支援や療養行動の意味づけに深みをもたせることができます。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:エリクソン,E.H.( Erikson,E.H. )の発達理論で青年期に生じる葛藤はどれか。

解説:正解は 4 の「同一性 対 同一性混乱」です。エリクソンは人間の一生を8つの発達段階に分けた『心理社会的発達理論』を提唱し、各段階に特有の心理社会的危機(葛藤)と、それを克服することで得られる徳(人格的強さ)があるとしました。青年期(おおむね13〜22歳頃)の中心的危機が『同一性(アイデンティティ) 対 同一性混乱』であり、『自分とは何者か』を模索し、自己を受容することで『忠誠性』という徳を獲得します。克服に失敗すると役割混乱や進路選択の困難を招くとされます。

選択肢考察

  1. × 1.  生殖性 対 停滞

    壮年期(中年期、約40〜65歳)の危機。次世代を育てることへの関心が生殖性、それが阻害されると自己陶酔的な停滞に陥る。

  2. × 2.  勤勉性 対 劣等感

    学童期(約6〜12歳)の危機。学習や技能習得を通じて勤勉性を獲得するか、失敗体験が積み重なり劣等感に陥るかの分岐。

  3. × 3.  自主性 対 罪悪感

    幼児後期(約3〜6歳)の危機。自主的な行動を試みる中で、規範を超えた場合に罪悪感を抱く。エリクソンでは『積極性』とも訳される。

  4. 4.  同一性 対 同一性混乱

    青年期の中心課題。自我同一性(アイデンティティ)の確立により自己を受容し、『忠誠性』を獲得する。

エリクソンの8段階は①乳児期(基本的信頼 対 不信/希望)、②幼児前期(自律性 対 恥・疑惑/意志)、③幼児後期(自主性 対 罪悪感/目的)、④学童期(勤勉性 対 劣等感/有能感)、⑤青年期(同一性 対 同一性混乱/忠誠)、⑥初期成人期(親密性 対 孤立/愛)、⑦壮年期(生殖性 対 停滞/世話)、⑧老年期(統合 対 絶望/英知)。各段階の危機と徳をセットで覚えるのが効率的。

エリクソンの発達段階のうち青年期の心理社会的危機を同定する問題。8段階とそれぞれの葛藤の対応を整理しておくことがポイント。