清潔と不潔の境界線!無菌操作の基本ルール
看護師国家試験 第109回 午前 第18問 / 必修問題 / 患者の安全・安楽を守る看護技術
国試問題にチャレンジ
滅菌物の取り扱いで正しいのはどれか。
- 1.鉗子の先端は水平より高く保つ。
- 2.鑷子の先端を閉じた状態で取り出す。
- 3.滅菌パックはハサミを用いて開封する。
- 4.滅菌包みは布の内側の端を手でつまんで開く。
対話形式の解説
博士
今日は無菌操作について学ぶぞ。滅菌物の取り扱いは看護技術の基本じゃが、細かいルールが多くて混乱しやすいのう。
アユム
滅菌物を触るときって、何に気をつければいいんですか?
博士
大原則は『清潔領域と不潔領域を厳密に区別する』ことじゃ。一度でも不潔領域に触れたら、それはもう滅菌物として使えなくなる。
アユム
鑷子を滅菌パックから取り出すとき、先端はどうすればいいんですか?
博士
先端を閉じた状態で取り出すのが正解じゃ。先端を開いていると、パックの内壁や外装、周囲の不潔な部分に触れる可能性があるからの。
アユム
鉗子の先端は水平より上に保つべきですか?下ですか?
博士
下じゃ。先端を水平より下に向けて保つ。もし上に向けると、柄側の水分や汚染物が重力で先端に流れ落ちてしまう。
アユム
なるほど、水の流れる方向まで考えるんですね。
博士
そうじゃ。だから洗浄後の鉗子も先端を下にして乾燥させるし、滅菌後の保持も同じ原則が適用される。
アユム
滅菌パックはハサミで切ってもいいんですか?
博士
ダメじゃ。ハサミ自体が滅菌されていないから、中の滅菌物を汚染してしまう。正しい開封方法は、両手でパックの端を持って、外側にめくるように開くのじゃ。
アユム
滅菌包み(布で包まれたもの)はどうですか?
博士
布の外側は不潔、内側は清潔領域じゃ。だから素手で触れるのは外側の端だけ。内側には絶対に触れてはならん。
アユム
操作する高さにも決まりがあると聞きました。
博士
腰より高い位置で操作するのが原則じゃ。腰より下は視野に入りにくく、不潔になりやすい領域とみなされる。また、滅菌物の上を手や物が横切らないように動くのも大切じゃ。
アユム
滅菌手袋の装着にもルールがありますよね。
博士
うむ。装着した手で素手の部分に触れない、カフ部分のみ素手で扱う、装着後は両手を腰より上、視野内に保つ、という細かいルールがある。術野では『胸~腰の前面』が清潔領域とみなされるのじゃ。
アユム
感染予防の観点からも重要ですね。
博士
その通り。医療関連感染、特に手術部位感染や血流感染の予防には無菌操作の徹底が不可欠じゃ。CDCガイドラインでも標準予防策と無菌操作は看護の基本として強調されておるぞ。
アユム
細かいルールの一つ一つに、感染予防の根拠があるんですね。
POINT
滅菌物の取り扱いでは、鑷子の先端を閉じて取り出す、鉗子の先端を水平より下向きに保つ、滅菌パックはハサミを使わず両手で外側にめくるように開封する、滅菌包みの内側は素手で触れず外側をつまんで開く、といった基本ルールがあります。これらはすべて『清潔と不潔を厳密に区別する』『重力で汚染物が清潔部位に流れないようにする』という無菌操作の原理に基づいています。無菌操作の徹底は医療関連感染予防の根幹であり、処置の細かな動作一つ一つに根拠を持って取り組む姿勢が看護師には求められます。日々の実践で正しい手技を身につけることが、患者の安全を守る第一歩となります。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:滅菌物の取り扱いで正しいのはどれか。
解説:正解は 2 です。鑷子(せっし)を滅菌パックや鑷子立てから取り出す際は、先端を閉じた状態で取り出すのが正解です。先端を開いて取り出すと、パック外装や周囲の不潔領域に先端が触れる可能性があり、清潔性が損なわれます。また鑷子や鉗子を持つ際は先端を水平より下向きに保ち、水分や汚染物が先端から柄(把持部)側に流れないようにします。滅菌物の取り扱いでは『清潔領域と不潔領域を厳密に区別する』『一度不潔になった物品は滅菌物として扱わない』『操作は視野内で行う』という無菌操作の三原則を徹底します。
選択肢考察
-
× 1. 鉗子の先端は水平より高く保つ。
鉗子の先端は水平より下に向けて保つのが原則。先端を高く上げると、不潔な柄側の水分が重力で滅菌部位である先端に流れ落ち、汚染される危険がある。
-
○ 2. 鑷子の先端を閉じた状態で取り出す。
先端を閉じて取り出すことで、パック内壁や周囲の不潔領域に接触するリスクを最小化できる。取り出し後の清潔性を保つ基本動作である。
-
× 3. 滅菌パックはハサミを用いて開封する。
ハサミ自体が滅菌されていないため、使用するとパック内の滅菌物を汚染する恐れがある。両手でパックの端をつまみ、外側にめくるように開封するのが正しい方法。
-
× 4. 滅菌包みは布の内側の端を手でつまんで開く。
布の内側は滅菌された清潔領域であり、素手で触れると汚染される。必ず外側をつまんで開き、内側には触れないようにする。
無菌操作の基本原則は、①滅菌物は滅菌物としか接触させない、②清潔領域と不潔領域を視覚的に明確に区別する、③腰より高い位置で操作する、④視野内で操作する、⑤滅菌物の上を手や物が横切らない、など。鑷子立てから鑷子を取り出すときは先端を閉じ、2/3以上抜いた状態で持ち替える。滅菌手袋を装着する際は、装着した手で素手の部分に触れず、カフ部分のみ素手で触るなど細かなルールがある。医療関連感染予防のため、無菌操作の徹底は看護師の基本技術として極めて重要である。
滅菌物取り扱いの基本原則(鑷子の先端を閉じて取り出す・先端を下向きに保つ・ハサミを使わず手で開封・内側に触れない)を問う必修問題。
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