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脳梗塞の意外な原因?不整脈と血栓の深い関係

看護師国家試験 第109回 午前 第12問 / 必修問題 / 徴候と疾患

国試問題にチャレンジ

109回 午前 第12問

脳塞栓症( cerebral embolism )を生じやすい不整脈( arrhythmia )はどれか。

  1. 1.心室頻拍(ventricular tachycardia)
  2. 2.心房細動( atrial fibrillation )
  3. 3.心房性期外収縮( atrial premature contraction )
  4. 4.完全房室ブロック( complete atrioventricular block )

対話形式の解説

博士 博士

今回は不整脈と脳塞栓症の関係について学ぶのじゃ。国試必修で頻出の重要テーマじゃぞ。

アユム アユム

脳塞栓症って、どこかでできた血栓が脳の血管に飛んできて詰まる病気ですよね?

博士 博士

その通り。では、血栓が飛んでくる『発信源』はどこじゃと思う?

アユム アユム

心臓ですか?でも心臓でどうして血栓ができるんでしょう。

博士 博士

ヒントは『血液の流れがよどむ場所』じゃ。心臓がリズムよく収縮していれば血液は淀まないが、ある不整脈になると心房が小刻みに震えるだけで、ポンプとして機能しなくなるのじゃ。

アユム アユム

それが心房細動ですか!

博士 博士

大正解じゃ。心房細動では心房が1分間に300~600回も不規則に興奮し、血液が左心房内、特に左心耳という袋状の部分に淀みやすくなる。そこに血栓が形成されるのじゃ。

アユム アユム

その血栓が剥がれて脳に飛ぶと脳塞栓症になるんですね。

博士 博士

まさにそれが心原性脳塞栓症じゃ。通常の脳梗塞よりも広範囲に詰まることが多く、重症化しやすい。『ノックアウト型脳梗塞』と呼ばれることもあるぞ。

アユム アユム

他の選択肢の不整脈では血栓はできないんですか?

博士 博士

心室頻拍は心室由来で、短時間で意識消失や突然死につながる怖い不整脈じゃが、血栓形成のリスクは低い。心房性期外収縮は良性で日常的にもみられるもの、完全房室ブロックは徐脈性で失神を起こすがやはり血栓形成の主原因とはならん。

アユム アユム

心房細動と診断されたら、どんな治療をするんですか?

博士 博士

抗凝固療法が重要じゃ。CHADS2スコアなどでリスクを評価し、ワルファリンやDOAC(直接経口抗凝固薬)を使用する。心拍数コントロールや除細動も行う場合があるぞ。

アユム アユム

心電図ではどんな特徴がありますか?

博士 博士

P波が消失して基線が細かく揺れる『f波』が出現し、R-R間隔が不整になるのじゃ。モニター心電図を見たときにすぐ気づけるようにしておくのじゃぞ。

アユム アユム

看護師として、患者さんには何を指導すればいいでしょう。

博士 博士

抗凝固薬の服薬アドヒアランス、出血症状への注意、そして脳梗塞を疑う症状(片麻痺・構音障害・意識障害)が出たら即受診、じゃな。

POINT

心房細動は、心房が無秩序に震えることで左心房内、特に左心耳に血流のうっ滞を生じ、血栓を形成しやすい不整脈です。この血栓が遊離して脳動脈を閉塞すると、心原性脳塞栓症という重篤な脳梗塞を引き起こします。心房細動は高齢化社会で患者数が増加しており、CHADS2スコアによるリスク評価と抗凝固療法が標準治療として確立されています。看護師は心電図所見(P波消失、f波、R-R間隔不整)を見逃さず、抗凝固薬の服薬管理や脳梗塞の早期発見に貢献することが求められます。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:脳塞栓症( cerebral embolism )を生じやすい不整脈( arrhythmia )はどれか。

解説:正解は 2 です。心房細動は、心房が無秩序かつ小刻みに震える(300~600回/分の異常興奮)ために規則正しい収縮ができなくなる不整脈です。心房内、とくに左心耳で血流がよどむことで血栓が形成されやすくなり、この血栓が遊離して脳動脈を閉塞すると心原性脳塞栓症を発症します。心原性脳塞栓症は発症が突然で、広範な梗塞を生じやすく重症化しやすいのが特徴です。そのため心房細動の患者には、CHADS2スコアなどで塞栓リスクを評価し、直接経口抗凝固薬(DOAC)やワルファリンによる抗凝固療法が行われます。

選択肢考察

  1. × 1.  心室頻拍(ventricular tachycardia)

    心室由来の頻拍(120回/分以上)で、持続すると血圧低下や意識消失を生じ、心室細動へ移行して突然死の原因となる。拍動リズムは比較的規則的で、血栓形成のリスクは低い。

  2. 2.  心房細動( atrial fibrillation )

    心房の不規則な興奮により心房内、特に左心耳で血流がうっ滞し、血栓が形成されやすい。その血栓が剥離して脳動脈へ流れ込むと、心原性脳塞栓症を引き起こす最も重要な原因疾患である。

  3. × 3.  心房性期外収縮( atrial premature contraction )

    洞結節以外の心房内から早期に電気刺激が発生する不整脈で、健常者でもしばしばみられる。基本的には良性で、血流のうっ滞や血栓形成のリスクは低い。

  4. × 4.  完全房室ブロック( complete atrioventricular block )

    心房から心室への伝導が完全に途絶した徐脈性不整脈で、失神やAdams-Stokes発作を起こす。治療にはペースメーカー植込みが必要だが、血栓形成の直接的原因にはなりにくい。

心房細動における脳塞栓症リスクの評価には、CHADS2スコア(うっ血性心不全・高血圧・75歳以上・糖尿病・脳卒中既往)やCHA2DS2-VAScスコアが用いられる。心電図上は、P波の消失、基線の細かな揺れ(f波)、R-R間隔の不整が特徴。心原性脳塞栓症は『ノックアウト型脳梗塞』とも呼ばれ、突然発症し広範囲の脳梗塞を生じやすいため予後不良になりやすい。非弁膜症性心房細動ではDOAC(直接経口抗凝固薬)が第一選択である。

脳塞栓症(心原性脳塞栓症)の最大の原因となる不整脈を問う必修問題。心房内血栓形成のメカニズムと心房細動の結びつきが理解できているかが鍵。