緩和ケアは患者も家族も対象!WHOの定義を確認しよう
看護師国家試験 第110回 午前 第16問 / 必修問題 / 徴候と疾患
国試問題にチャレンジ
緩和ケアの説明で適切なのはどれか。
- 1.入院が原則である。
- 2.家族もケアの対象である。
- 3.創の治癒を目的としている。
- 4.患者の意識が混濁した時点から開始する。
対話形式の解説
博士
緩和ケアの対象は誰か、と聞かれたらどう答えるかの?
アユム
患者さん本人ですよね。
博士
それだけでは不十分じゃ。WHOの定義では家族も対象に含まれておる。
アユム
ああ、そうでした!患者さんを支える家族も疲れていたり不安を抱えていますもんね。
博士
その通り。家族も大切なケア対象で、死別後の悲嘆ケア『グリーフケア』まで続くんじゃ。
アユム
いつから緩和ケアを始めるのがいいんですか?終末期からですか?
博士
それが誤解の多いところじゃ。昔は終末期からと思われていたが、今は診断時から治療と並行して早期に始めるのが推奨されておる。
アユム
そうなんですね。進行してからでは遅いってことですか。
博士
うむ。痛みや不安を早くから和らげた方がQOLも治療継続率も良いと研究で示されておる。
アユム
場所は病院に限るんでしょうか?
博士
入院だけでなく外来、在宅、ホスピスなどどこでも受けられる。患者さんの希望する場所が基本じゃ。
アユム
最期は自宅でという希望も叶えられるんですね。
博士
その通り。訪問看護や訪問診療と連携すれば十分可能じゃ。
アユム
緩和ケアは病気を治すのとは違うんですよね?
博士
治癒ではなく苦痛緩和とQOL向上が目的じゃ。身体的痛みだけでなく心理的・社会的・スピリチュアルな苦痛も対象になる。
アユム
スピリチュアルな苦痛って具体的にはどんなものですか?
博士
『なぜ自分が』『生きる意味は』といった存在論的な悩みのことじゃ。傾聴が何より大切になる。
アユム
緩和ケアの幅広さがよく分かりました!
POINT
緩和ケアは、生命を脅かす疾患に直面する患者とその家族を対象に、身体的・心理的・社会的・スピリチュアルな苦痛を早期から評価・緩和してQOLを向上させるアプローチです。WHOの定義により家族もケア対象に含まれ、死別後のグリーフケアまでが範囲となります。開始時期は診断時から治療と並行して早期に、場所は入院・外来・在宅・ホスピスを問わず患者の希望に合わせて提供されます。治癒ではなく苦痛緩和が目的であり、がんだけでなく心不全や神経難病など非がん疾患にも広がっています。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:緩和ケアの説明で適切なのはどれか。
解説:正解は2の家族もケアの対象であることです。WHOの定義によれば、緩和ケアは生命を脅かす疾患に直面する患者とその家族に対し、身体的・心理的・社会的・スピリチュアルな苦痛を早期から評価し予防・緩和することでQOLを向上させるアプローチです。ここで重要なのは、対象が患者本人だけでなく家族を含むこと、疾患の診断時から治療と並行して始めること、療養場所は入院・外来・在宅を問わないこと、そして死別後の遺族ケア(グリーフケア)も含まれることです。
選択肢考察
-
× 1. 入院が原則である。
緩和ケアは入院だけでなく外来通院、在宅医療、ホスピスなど多様な場で提供されます。患者の希望する場所で受けられるよう多職種連携が行われます。
-
○ 2. 家族もケアの対象である。
WHOの定義で明記されている通り、緩和ケアは患者とその家族の双方を対象とし、死別後のグリーフケアまで含みます。
-
× 3. 創の治癒を目的としている。
疾患の根治や創治癒ではなく、苦痛の予防・緩和とQOL向上を目的とするのが緩和ケアの本質です。
-
× 4. 患者の意識が混濁した時点から開始する。
緩和ケアは終末期に限らず、診断時から治療と並行して早期に開始することが推奨されています。意識混濁時からでは介入が遅すぎます。
現代の緩和ケアは『早期緩和ケア(early palliative care)』の概念が主流で、がん診断時から症状マネジメントや意思決定支援(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)を並行して行います。対象もがんに限らず、心不全・COPD・神経難病など非がん疾患にも広がっています。
緩和ケアの対象と時期・場所に関する基本理解を問う問題で、『患者と家族の両方』『診断時から』『場所を問わない』という3原則を押さえているかが鍵です。
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