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エイジズムとは何か

看護師国家試験 第105回 午前 第49問 / 老年看護学 / 高齢者の理解と生活

国試問題にチャレンジ

105回 午前 第49問

エイジズムを示す発言はどれか。

  1. 1.「介護を要する高齢者を社会で支えるべきだ」
  2. 2.「後期高齢者は車の運転免許証を返納するべきだ」
  3. 3.「認知症(dementia)の患者の治療方針は医療従事者が決めるべきだ」
  4. 4.「高齢者が潜在的に持つ力を発揮できるような環境を整えるべきだ」

対話形式の解説

博士 博士

今回は老年看護学の概念問題、エイジズムについてじゃ。聞いたことあるかな?

サクラ サクラ

高齢者差別、という意味は聞いたことがあります。

博士 博士

そうじゃ。1969年にアメリカの老年学者ロバート・バトラーが提唱した概念で、「年齢を理由とした偏見や差別」を意味する。性差別のセクシズム、人種差別のレイシズムと並ぶ重要な社会問題じゃ。

サクラ サクラ

選択肢を見ていきましょう。2番「後期高齢者は運転免許証を返納するべきだ」が怪しいですね。

博士 博士

そうじゃ、正解は2番じゃ。個々人の運転能力や健康状態を一切評価せず、75歳以上という年齢だけで一律に判断しておる。これがエイジズムの典型じゃ。

サクラ サクラ

実際は年齢で一律というより個別評価がされているんですか?

博士 博士

その通り。日本では75歳以上の免許更新時に認知機能検査が義務化され、違反歴のある人には運転技能検査も導入された。年齢ではなく能力で判断する方向に進んでおる。

サクラ サクラ

1番「介護を要する高齢者を社会で支える」はどうですか?

博士 博士

これは地域包括ケアやノーマライゼーションの理念に沿った肯定的な発言で、差別的態度は含まれんな。

サクラ サクラ

3番の「認知症患者の治療方針は医療従事者が決めるべき」は?

博士 博士

これはパターナリズム、つまり「患者のためだから専門家が決める」という態度の問題じゃ。患者の自己決定権を軽視しており、倫理的には問題があるが、年齢による差別ではないのでエイジズムの定義には該当せん。

サクラ サクラ

4番の「高齢者が潜在的に持つ力を発揮できる環境を整える」は?

博士 博士

ストレングス視点やエンパワメントの考え方で、エイジズムとは正反対のポジティブな姿勢じゃ。

サクラ サクラ

医療現場で起きやすいエイジズムはありますか?

博士 博士

よい質問じゃ。高齢患者に敬語を使わない、本人を飛ばして家族とだけ話す、「もう年だから」と治療や検査を省く、こうした微細な差別も立派なエイジズムじゃ。認知症患者では特に陥りやすい。

サクラ サクラ

自分の関わり方を振り返らないといけませんね。

博士 博士

その通り。WHOも2021年にエイジズム対策のグローバルレポートを出しておる。看護師は患者一人ひとりを「高齢者」というカテゴリーでなく「その人」として見ることが基本姿勢じゃ。

サクラ サクラ

年齢で決めつけず個別性を尊重する、看護の原点に戻る視点ですね。

POINT

エイジズムは年齢を理由とした偏見・差別で、特に高齢者を一律に扱う態度が問題となります。年齢のみで運転免許返納を求める発言は典型例で、個別の能力評価を欠く差別的態度といえます。医療現場では微細なエイジズムにも自覚的になり、患者を個別的に尊重するストレングス視点が求められます。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:エイジズムを示す発言はどれか。

解説:正解は 2 です。エイジズム(ageism)は1969年にアメリカの老年学者ロバート・バトラーが提唱した概念で、「年齢を理由とした偏見や差別」を意味します。特に高齢者を一律にひとくくりにして能力を否定したり権利を制限したりする態度が問題視されます。「後期高齢者だから運転免許を返納すべき」という発言は、個々人の運転能力を評価せず年齢のみで判断している点でエイジズムに該当します。

選択肢考察

  1. × 1.  「介護を要する高齢者を社会で支えるべきだ」

    社会連帯や地域包括ケアの理念に基づく発言で、高齢者への差別的態度は含まれません。むしろノーマライゼーションに沿った肯定的な姿勢です。

  2. 2.  「後期高齢者は車の運転免許証を返納するべきだ」

    個人の運転能力や健康状態を評価せず、75歳以上という年齢のみで一律に免許返納を求める態度はエイジズムの典型です。現実には認知機能検査や運転技能検査で個別評価が行われます。

  3. × 3.  「認知症(dementia)の患者の治療方針は医療従事者が決めるべきだ」

    これはパターナリズムや患者の自己決定権軽視の問題で、疾患に基づく偏見はあるものの年齢を基準とした差別ではないためエイジズムの定義には合致しません。

  4. × 4.  「高齢者が潜在的に持つ力を発揮できるような環境を整えるべきだ」

    高齢者のストレングスを尊重しエンパワメントを促す発言で、エイジズムとは対極にあるポジティブな姿勢です。

エイジズムには①制度的エイジズム(定年制、年齢による保険料算定など)②個人的エイジズム(「年寄り扱い」する態度、ケアの質の差別化)③内在化したエイジズム(高齢者自身が「もう年だから」と諦める)があります。医療現場では敬語を使わない、家族とだけ話す、検査や治療を年齢理由で省く、といった微細なエイジズム(micro-ageism)にも注意が必要です。WHOは2021年にエイジズム対策のグローバルレポートを発表しています。

エイジズムの定義(年齢による偏見・差別)を理解し、具体的な発言から識別できるかを問う問題です。