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看護師の特定行為――手順書で広がる実践の新しい地平

看護師国家試験 第109回 午後 第78問 / 健康支援と社会保障制度 / 健康を支える職種に関する法や施策

国試問題にチャレンジ

109回 午後 第78問

看護師の特定行為で正しいのはどれか。

  1. 1.診療の補助である。
  2. 2.医師法に基づいている。
  3. 3.手順書は看護師が作成する。
  4. 4.特定行為を指示する者に歯科医師は含まれない。

対話形式の解説

博士 博士

今日は2015年にスタートした『看護師の特定行為』制度を学ぶぞ。看護師のキャリアと医療提供体制に大きな変化をもたらした重要な制度じゃ。

アユム アユム

特定行為って、具体的にはどんなことをするんですか?

博士 博士

診療の補助のうち、特に高度な判断と専門技能が必要な38行為(21区分)じゃ。例えば気管カニューレの交換、人工呼吸器からの離脱、PICC挿入、脱水に対する輸液補正などじゃな。

アユム アユム

これって、看護師がやっていいんですか?医師の行為では?

博士 博士

もともと診療の補助に属する行為じゃが、通常は医師の具体的指示が必要じゃった。特定行為制度では、指定の研修を修了した看護師が、医師等が事前に作成した『手順書』に基づいて自律的に判断して実施できる仕組みじゃ。

アユム アユム

選択肢1『診療の補助である』が正解なんですね。

博士 博士

その通り。保健師助産師看護師法第37条の2で明確に『診療の補助』と位置づけられておる。

アユム アユム

医師法ではないんですね。

博士 博士

選択肢2の誤りじゃな。根拠法は保助看法(保健師助産師看護師法)。看護師の業務範囲を定める法律じゃ。医師法は医師の独占業務を定めた別の法律。

アユム アユム

手順書は誰が作るんですか?

博士 博士

医師または歯科医師じゃ。選択肢3の誤りじゃな。手順書には対象患者の病状範囲、実施する行為、確認事項、実施後の報告方法などが具体的に記載される。看護師はこの手順書に従って行動する側じゃ。

アユム アユム

歯科医師も指示できるんですね。

博士 博士

そう、選択肢4の誤り。歯科領域の特定行為もあるから歯科医師も指示者に含まれる。

アユム アユム

研修はどんな内容ですか?

博士 博士

共通科目250時間+区分別科目。臨床推論、フィジカルアセスメント、医療安全、特定行為実践などを学ぶ。

アユム アユム

現場でのメリットは?

博士 博士

大きいぞ。例えば在宅で胃瘻カテーテルが外れた時、医師の到着を待たずに研修修了看護師が手順書に基づき交換できる。救急や集中治療では気管カニューレ交換や人工呼吸器離脱を即時対応できる。タイムリーな医療提供が可能になるのじゃ。

アユム アユム

2040年に向けて医療需要が増える中で、重要な制度ですね。

博士 博士

その通り。訪問看護、救急、周術期、慢性期管理で特定行為研修修了者の活躍が期待される。看護師のキャリアパスとして大きな選択肢になっておる。

アユム アユム

看護師の役割が広がると、多職種連携もさらに重要になりますね。

博士 博士

うむ。特定行為は医師不足や偏在が深刻な地域ほど効果を発揮する。タスクシフト/シェアという世界的潮流にも合致しておる。制度の基本を正確に理解しておくことが、看護師としての視野を広げる第一歩じゃ。

POINT

看護師の特定行為制度は2015年に保健師助産師看護師法改正で創設され、診療の補助のうち特に高度な判断と技能を要する38行為(21区分)を対象とします。指定研修を修了した看護師は、医師または歯科医師があらかじめ作成した手順書に基づき、患者状態を確認しながら自律的に特定行為を実施できます。本問のキーポイントは、特定行為が『診療の補助』であること(保助看法に基づく)、手順書は医師・歯科医師が作成すること、指示者に歯科医師も含まれること、の4点です。タイムリーな医療提供を実現し、在宅医療・救急・集中治療等における看護師の役割を拡大する制度として、超高齢社会の医療提供体制を支える重要な仕組みとなっています。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:看護師の特定行為で正しいのはどれか。

解説:正解は 1 です。看護師の特定行為制度は2015年に保健師助産師看護師法(保助看法)改正により創設されました。特定行為は『診療の補助』のうち、実践的な理解力・思考力・判断力と高度かつ専門的な知識・技能を特に必要とする38行為(21区分)と定義されます。所定の特定行為研修を修了した看護師は、医師または歯科医師があらかじめ作成した『手順書』に基づき、対象患者の状態を確認しつつ特定行為を実施できます。これにより、医師の指示を待たずに時機を逃さず医療を提供できる体制が実現しました。

選択肢考察

  1. 1.  診療の補助である。

    特定行為は保助看法第37条の2で『診療の補助』の一部と位置づけられる。看護師の業務独占である『療養上の世話』と『診療の補助』のうち、後者に属する高度な医行為の一部が特定行為として類型化された。

  2. × 2.  医師法に基づいている。

    特定行為の根拠法は保健師助産師看護師法(保助看法)。看護師の業務範囲に関する法律であるため医師法ではない。医師法は医師の業務独占と無資格医業の禁止を定めた法律。

  3. × 3.  手順書は看護師が作成する。

    手順書は医師または歯科医師が作成する。対象患者の病状範囲、実施する特定行為、確認事項、実施後の報告方法などが記載される。看護師はこの手順書に従って行動するのであって、作成側ではない。

  4. × 4.  特定行為を指示する者に歯科医師は含まれない。

    特定行為の指示(手順書作成)は医師または歯科医師が行う。歯科領域の特定行為(口腔内吸引の調整など)もあるため、歯科医師も含まれる。

38の特定行為は21区分に分類される。代表例として、気管カニューレの交換、人工呼吸器からの離脱、中心静脈カテーテルの抜去、末梢留置型中心静脈注射用カテーテル(PICC)の挿入、胃瘻カテーテル・膀胱瘻カテーテル交換、脱水症状に対する輸液による補正、感染徴候のある患者に対する薬剤投与関連など。研修は共通科目(250時間)と区分別科目からなる。目的は医療提供体制の強化と在宅医療の推進で、特に訪問看護や救急・集中治療、周術期、慢性期管理で威力を発揮する。特定行為研修修了者は全国で急増中で、将来の看護師の重要なキャリアパスとなっている。

特定行為制度の基本を問う問題。『診療の補助』『保助看法』『手順書は医師等が作成』『指示者は医師または歯科医師』の4点を正確に。