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HIVの感染経路を正しく理解しよう

看護師国家試験 第105回 午前 第81問 / 人体の構造・機能 / 生体の防御機構

国試問題にチャレンジ

105回 午前 第81問

ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉の感染経路で正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 1.感染者の嘔吐物との接触
  2. 2.感染者の咳による曝露
  3. 3.感染者の糞便との接触
  4. 4.感染者からの輸血
  5. 5.感染者との性行為

対話形式の解説

博士 博士

今日はHIVの感染経路について学ぼう。HIVはCD4陽性Tリンパ球に感染して免疫を壊してしまうレトロウイルスじゃ。

サクラ サクラ

感染経路って大きく3つあるって習いましたが、具体的にはどんな場面ですか?

博士 博士

そうじゃな。性感染・血液感染・母子感染の3つに分けられる。感染成立にはウイルスを十分量含む体液が粘膜や血液に触れる必要があるんじゃ。

サクラ サクラ

今回は輸血と性行為が正解ですね。

博士 博士

その通り。選択肢4の輸血は血液を介するので典型的な血液感染、5の性行為は精液や腟分泌液が粘膜に触れるので感染が成立する。

サクラ サクラ

嘔吐物や咳、糞便では感染しないんですか?

博士 博士

嘔吐物や唾液、便、汗、尿にもウイルスは含まれるが、感染に必要なウイルス量に満たないので通常の接触では感染せん。くしゃみや咳による空気・飛沫感染もないんじゃ。

サクラ サクラ

じゃあ感染者と普通に生活する分には心配いらないんですね。

博士 博士

握手・抱擁・食器の共用・トイレの共用では感染せん。偏見を持たずに接することが大切じゃ。

サクラ サクラ

針刺し事故が起きたらどうすればいいですか?

博士 博士

すぐに流水で洗い流し、曝露後予防内服いわゆるPEPを72時間以内に開始して4週間続ける。これで感染リスクを大きく減らせる。

サクラ サクラ

妊婦さんの場合は?

博士 博士

抗ウイルス療法・選択的帝王切開・断乳・児への予防投与を組み合わせれば母子感染率は1%未満に抑えられるぞ。

サクラ サクラ

感染源となる体液は血液・精液・腟分泌液・母乳の4つですね、覚えました!

博士 博士

その4体液と3経路をセットで押さえておけば試験でも臨床でも迷わんぞ。

POINT

HIVは血液・精液・腟分泌液・母乳に感染成立量のウイルスを含み、性感染・血液感染・母子感染の3経路で伝播する。嘔吐物・糞便・咳・唾液では通常感染せず、空気感染や飛沫感染もしない。標準予防策と針刺し後のPEP、母子感染予防を理解することが臨床で重要である。

解答・解説

正解は 4 5 です

問題文:ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉の感染経路で正しいのはどれか。2つ選べ。

解説:正解は 4 と 5 です。HIV(ヒト免疫不全ウイルス)はレトロウイルス科に属するRNAウイルスで、CD4陽性Tリンパ球などに感染し細胞性免疫を低下させます。感染成立には十分量のウイルスを含む体液が粘膜や血液に直接接触する必要があり、実際に感染源となる体液は血液・精液・腟分泌液・母乳に限られます。感染経路は性感染・血液感染(輸血、注射針の共用など)・母子感染(経胎盤、産道、母乳)の三つに大別されます。

選択肢考察

  1. × 1.  感染者の嘔吐物との接触

    嘔吐物や唾液には感染を成立させるだけのウイルス量が含まれず、通常の接触で感染は成立しません。

  2. × 2.  感染者の咳による曝露

    HIVは空気感染・飛沫感染しません。咳やくしゃみで伝播することはありません。

  3. × 3.  感染者の糞便との接触

    糞便中のウイルス量はわずかで、感染源とはなりません(ただし血便がある場合の血液曝露には注意が必要)。

  4. 4.  感染者からの輸血

    血液中には感染成立に十分なウイルスが含まれるため、輸血や針刺し事故は血液感染の典型例です。

  5. 5.  感染者との性行為

    精液・腟分泌液を介した粘膜接触による性感染はHIVの主要な感染経路の一つです。

HIV感染者の体液を扱う際の標準予防策(スタンダードプリコーション)では手袋・ゴーグル着用が基本です。針刺し事故時はただちに流水で洗い、曝露後予防内服(PEP、抗レトロウイルス薬の2〜3剤併用を原則72時間以内開始、4週間継続)を検討します。妊婦のHIV感染では抗ウイルス療法・選択的帝王切開・断乳・児への予防投与により母子感染率を1%未満に抑制できます。覚え方は『血液・精液・腟分泌液・母乳』の4つの体液と『性・血液・母子』の3経路です。

HIVの主要感染経路(性・血液・母子)を理解し、唾液・汗・涙・便などでは感染が成立しないことを区別できるかが問われている。