言語より命を守る――外国人患者のトリアージで優先すべきこと
看護師国家試験 第109回 午後 第118問 / 看護の統合と実践 / 状況設定問題
国試問題にチャレンジ
次の文を読み以下の問いに答えよ。 Aさん( 20 歳、女性、外国籍)は、6 月に来日し、9 月に大学に入学した。入学して 1 週後、Aさんは大学でめまいを起こして座り込み、同じ国から昨年留学生として来日した友人に付き添われ病院の内科外来を受診した。外来では多くの患者が受診を待っており、診察までに時間がかかっていた。Aさんは、日常会話程度の日本語が話せ「身体がだるくて立っていられません」と看護師に伝えた。 外来の看護師の対応で優先するのはどれか。
- 1.外国語が話せる医師を呼びに行く。
- 2.付き添ってきた友人に通訳を依頼する。
- 3.Aさんに外来の処置室で横になってもらう。
- 4.Aさんの母国語で書かれた問診表を取りに行く。
対話形式の解説
博士
事例を見ていこう。Aさん20歳、外国籍の女性が大学でめまいを起こして座り込み、友人に付き添われて内科外来を受診した。
アユム
「身体がだるくて立っていられません」と訴えているんですよね。外来は混雑していて診察まで時間がかかる状況。
博士
そうじゃ。看護師としてまず優先する対応を選ぶ。選択肢は4つある。
アユム
外国語が話せる医師を呼ぶ、友人に通訳を頼む、処置室で横になってもらう、母国語の問診票を取りに行く、ですね。
博士
外国人患者というと、つい言語対応から入りたくなるが、臨床判断の基本を忘れてはいかんぞ。
アユム
あっ、まずは身体症状の緊急度ですよね。ABCDE評価をして、立っていられないほどなら臥位にして転倒を防ぐのが先。
博士
その通り。そもそもAさんは日常会話程度の日本語が話せておる。まずは通じる言葉でやりとりしながら、処置室に誘導して横になってもらうのが正解、3じゃ。
アユム
めまいで座り込んで立てない状態で立位を続けさせたら、失神や転倒で頭部外傷の危険もありますね。
博士
うむ。バイタルサインを測り、意識レベル・血圧・脈拍・SpO2を確認しながら医師に情報を上げる、というトリアージの基本を踏む。
アユム
選択肢1の外国語医師を呼ぶは?
博士
日本語が通じる状況では優先度が下がる。呼びに行っている間に身体状態が悪化する可能性もある。
アユム
選択肢2の友人通訳は?
博士
友人通訳はプライバシーや医療用語の精度の問題がある。医療通訳者の手配は必要時に検討するが、ここでは後回し。
アユム
選択肢4の母国語問診票は、あれば便利ですけど、今の優先事項ではないですね。
博士
うむ。医療通訳体制については覚えておくとよい。電話通訳・映像通訳・多言語問診票など、院内で整備されている仕組みを状況に応じて活用する。
アユム
外国人患者のケアで気を付けるポイントは他にもありますか。
博士
言語だけでなく宗教・食習慣・家族観・医療に対する価値観の違いにも配慮する。例えばラマダン期の服薬、特定食品の禁忌、輸血に関する宗教的立場などは押さえておきたい。
アユム
でも緊急対応の順番は日本人と変わらず、身体安全を最優先する、というのが今日のポイントですね。
博士
その通り。看護師は「外国人だから」と気負いすぎず、臨床判断の基本を外さないことが最も重要じゃ。
POINT
外国人患者のトリアージでは、言語支援よりもまず身体安全の確保を優先します。Aさんはめまいと強い倦怠感で立っていられない状態であり、処置室で臥位をとってバイタル観察を行うことで転倒や失神を防ぎます。日常会話程度の日本語が話せるため、外国語医師の呼び出し・友人通訳の依頼・母国語問診票の取得は状態安定後に行えば十分間に合います。医療通訳は電話・映像通訳や多言語問診票など院内体制を活用し、宗教・食習慣などの文化的背景にも配慮する一方、緊急度判断は日本人と同様の臨床判断軸で行うことが原則です。グローバル化する医療現場で、基本となる看護判断を揺るがせない姿勢こそが外国人患者ケアの土台となります。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:次の文を読み以下の問いに答えよ。 Aさん( 20 歳、女性、外国籍)は、6 月に来日し、9 月に大学に入学した。入学して 1 週後、Aさんは大学でめまいを起こして座り込み、同じ国から昨年留学生として来日した友人に付き添われ病院の内科外来を受診した。外来では多くの患者が受診を待っており、診察までに時間がかかっていた。Aさんは、日常会話程度の日本語が話せ「身体がだるくて立っていられません」と看護師に伝えた。 外来の看護師の対応で優先するのはどれか。
解説:正解は 3 のAさんに外来の処置室で横になってもらうです。Aさんは大学でめまいを起こして座り込み、外来でも「身体がだるくて立っていられません」と訴えており、この時点で優先すべきは身体症状の緩和と転倒・二次的な事故の防止です。外来で待機時間が長くなる中、立位を強いる状況はめまい悪化や失神のリスクを高めます。処置室のベッドに横臥してもらい、バイタルサイン測定と経過観察を行うのがトリアージとして最適です。Aさんは日常会話程度の日本語が話せるため、緊急時の通訳確保よりもまず身体的安全を確保する対応が優先されます。
選択肢考察
-
× 1. 外国語が話せる医師を呼びに行く。
日常会話程度の日本語でやりとりが可能であり、身体症状への対応のほうが先行する。言語支援は状態安定後に手配すれば間に合う。
-
× 2. 付き添ってきた友人に通訳を依頼する。
友人通訳はプライバシーや医療用語精度の問題があり、必要なら医療通訳者の手配を検討する。ここではまず体位確保が先。
-
○ 3. Aさんに外来の処置室で横になってもらう。
立っていられないほどの倦怠感とめまいがある状況で、臥位を確保し転倒を予防しながらバイタル観察を行うことが最優先対応。
-
× 4. Aさんの母国語で書かれた問診表を取りに行く。
問診の補助として有用だが、身体症状が緊急性を帯びる場面では後回しで差し支えない。
外来トリアージではABCDE(気道・呼吸・循環・意識・環境)で生命徴候を素早く評価し、次いで主訴と病歴をとる。外国人患者では言語・宗教・生活習慣の違いに配慮しつつ、緊急対応の順番は日本人と同様に身体安全を最優先する。医療通訳は電話通訳・映像通訳・多言語問診票など整備が進んでおり、必要に応じて院内の体制を活用する。
外国人患者の急変様対応で、言語支援と身体安全確保のどちらを優先するかを問う設問。
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