産後うつ病とマタニティブルーズの鑑別
看護師国家試験 第105回 午後 第55問 / 母性看護学 / 分娩期・産褥期の看護
国試問題にチャレンジ
産後うつ病(postpartum depression)について正しいのはどれか。
- 1.一過性に涙もろくなる。
- 2.スクリーニング調査票がある。
- 3.日本における発症頻度は約40%である。
- 4.産後10日ころまでに発症することが多い。
対話形式の解説
博士
この問題はマタニティブルーズと産後うつ病を正しく区別できるかがカギじゃ。
サクラ
両者はどう違うのですか。
博士
マタニティブルーズは産後3〜10日に出現する一過性の情緒不安定で、涙もろさや軽い抑うつが特徴じゃ。産婦の約30〜50%が経験するが、2週間以内に自然軽快するんじゃよ。
サクラ
産後うつ病は。
博士
産後うつ病は産後2週間以降、多くは産後1〜3か月に発症する本格的な抑うつ障害で、2週間以上抑うつ気分・興味喪失・不眠・自責感などが続くんじゃ。日本の頻度は10〜15%じゃ。
サクラ
正解はどれになりますか。
博士
正解は2番『スクリーニング調査票がある』じゃ。エジンバラ産後うつ病自己評価票、略してEPDSが広く使われているんじゃ。
サクラ
EPDSの使い方は。
博士
10項目を4段階で自己評価し、合計点で判断する。日本では9点以上を陽性として、医療・保健につなげるんじゃ。
サクラ
1番の『一過性に涙もろくなる』はなぜ違うのですか。
博士
それはマタニティブルーズの特徴で、本格的な産後うつ病とは別物じゃ。引っかけ選択肢じゃな。
サクラ
3番の40%は。
博士
40%はマタニティブルーズの頻度に近い数字で、産後うつ病は10〜15%じゃ。桁違いの誤りじゃぞ。
サクラ
4番はどうでしょうか。
博士
産後10日までに発症するのはマタニティブルーズ。産後うつ病はもう少し遅れて発症するのが特徴なんじゃ。
サクラ
リスク因子には何がありますか。
博士
うつ病既往、経済的困窮、育児支援の不足、望まぬ妊娠、児の障害やNICU入院などじゃ。妊娠中から拾い上げる必要があるぞ。
サクラ
看護の役割は。
博士
産後2週間健診と1か月健診でEPDSを活用し、陽性者には保健師訪問・産後ケア事業・精神科連携につなげる。児への影響や自殺リスクもあるから早期介入が命じゃ。
サクラ
しっかり区別して覚えます。
POINT
産後うつ病は産後2週〜数か月以内に発症する抑うつ障害で、日本の頻度は約10〜15%、スクリーニングにはEPDSが用いられます。産後3〜10日の一過性の情緒不安定はマタニティブルーズであり、両者は経過と重症度が異なります。正解は2番で、自殺リスクや乳児への影響を考えると早期発見と多職種連携が重要です。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:産後うつ病(postpartum depression)について正しいのはどれか。
解説:正解は 2 です。産後うつ病は産後2週〜数か月以内(多くは産後1〜3か月)に発症する本格的なうつ病で、日本での有病率は約10〜15%です。スクリーニングツールとして『エジンバラ産後うつ病自己評価票(EPDS)』が広く使われ、9点以上を陽性としています。一過性に涙もろくなるのは産後3〜10日のマタニティブルーズで、両者は経過と重症度が異なります。
選択肢考察
-
× 1. 一過性に涙もろくなる。
これはマタニティブルーズの特徴です。産後3〜10日に出現し数日〜2週間以内に自然軽快するもので、治療を要する産後うつ病とは区別されます。
-
○ 2. スクリーニング調査票がある。
エジンバラ産後うつ病自己評価票(EPDS)という10項目の自己記入式調査票が国際的に使われ、日本では9点以上を陽性として精査します。
-
× 3. 日本における発症頻度は約40%である。
日本の発症頻度は約10〜15%であり、40%は誤りです。40%程度になるのはマタニティブルーズの頻度です。
-
× 4. 産後10日ころまでに発症することが多い。
産後10日までに出現するのはマタニティブルーズです。産後うつ病は産後1〜3か月ごろに発症することが多いです。
産後うつ病はDSM‐5では『周産期発症』の特定用語で定義されます。リスク因子はうつ病既往、サポート不足、経済困窮、望まぬ妊娠、児のハイリスク出生など。放置すると母子関係・児の発達・乳児虐待・自殺リスクに影響するため、産後2週間・1か月健診でのEPDS活用と、産後ケア事業・保健師訪問への連携が重要です。
マタニティブルーズと産後うつ病の区別、EPDSというスクリーニング調査票の存在を知っているかを問う問題です。
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