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常位胎盤早期剥離―妊娠高血圧症候群との関連

看護師国家試験 第105回 午前 第56問 / 母性看護学 / 分娩期・産褥期の看護

国試問題にチャレンジ

105回 午前 第56問

常位胎盤早期剝離(premature abruption of normally implanted placenta)のリスク因子はどれか。

  1. 1.肥満
  2. 2.妊娠糖尿病(gestational diabetes mellitus)
  3. 3.帝王切開術の既往
  4. 4.妊娠高血圧症候群(pregnancy-induced hypertension)

対話形式の解説

博士 博士

今回は常位胎盤早期剥離の問題じゃ。母児ともに生命を脅かす産科救急疾患で、そのリスク因子を問うておる。

アユム アユム

常位胎盤早期剥離ってどんな病態なんですか?

博士 博士

正常な位置、つまり子宮体部に付着していた胎盤が、胎児娩出前に子宮壁から剥がれてしまう病態じゃ。母体は大出血とDIC、胎児は急激な低酸素で胎児機能不全や胎児死亡に至る危険な疾患なのじゃよ。

アユム アユム

なるほど、正解は何番ですか?

博士 博士

正解は選択肢4「妊娠高血圧症候群」じゃ。最大のリスク因子で、早期剥離の約半数に合併する。高血圧で脱落膜の血管が変性・血栓形成を起こし、胎盤後血腫ができて剥離するというメカニズムじゃ。

アユム アユム

選択肢1の「肥満」はなぜ誤りですか?

博士 博士

肥満自体は直接のリスク因子ではないのじゃ。ただし肥満は妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病を合併しやすいから、間接的にはリスクを高める可能性があるのう。

アユム アユム

選択肢2の「妊娠糖尿病」は?

博士 博士

妊娠糖尿病は巨大児、羊水過多、妊娠高血圧症候群、胎児奇形などのリスクになるが、早期剥離の直接的な主要リスク因子には挙げられておらんのじゃ。

アユム アユム

選択肢3の「帝王切開の既往」は?

博士 博士

帝王切開既往は前置胎盤、癒着胎盤、子宮破裂のリスク因子としては有名じゃが、常位胎盤早期剥離の主要因子ではない。混同しやすいから注意するのじゃ。

アユム アユム

早期剥離の症状はどんなものですか?

博士 博士

持続する下腹部痛、子宮の板状硬直、性器出血、胎児心拍異常が四徴じゃ。ただし内出血が多い場合は外出血が軽度のこともあるから、痛みと子宮硬直で判断するのじゃ。

アユム アユム

前置胎盤との鑑別はどうするんですか?

博士 博士

国試頻出ポイントじゃな。前置胎盤は「無痛性」の性器出血が特徴で、早期剥離は「有痛性」じゃ。痛みの有無で大まかに鑑別できるんじゃよ。

アユム アユム

合併症は何に注意が必要ですか?

博士 博士

DICが高頻度に起こる。子宮筋層への出血浸潤でCouvelaire子宮となることもある。治療は速やかな娩出、多くは緊急帝王切開じゃ。

アユム アユム

妊娠高血圧症候群の管理が予防につながるんですね。

博士 博士

その通り。妊娠高血圧症候群の早期発見・管理が、母児の命を守る鍵じゃ。

POINT

本問は常位胎盤早期剥離のリスク因子を問う問題で、正解は妊娠高血圧症候群です。高血圧による脱落膜血管の変性・血栓形成が胎盤後血腫を作り剥離を引き起こし、早期剥離の約半数に高血圧症候群が合併します。症状は有痛性の性器出血・子宮板状硬直・胎児機能不全で、無痛性の前置胎盤と鑑別が必要です。母体はDICを高頻度に合併するため、緊急帝王切開など速やかな娩出が救命の鍵となります。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:常位胎盤早期剝離(premature abruption of normally implanted placenta)のリスク因子はどれか。

解説:正解は 4 です。常位胎盤早期剥離とは、正常な位置(子宮体部)に付着した胎盤が、胎児娩出前に子宮壁から剥離する病態で、母体はDIC(播種性血管内凝固)や出血性ショックに陥り、胎児は急激な低酸素により胎児機能不全・胎児死亡となる産科救急疾患です。最大のリスク因子は妊娠高血圧症候群で、約半数に合併するとされます。これは高血圧による脱落膜血管の変性・血栓形成が胎盤後血腫を形成し剥離を引き起こすためです。その他、既往歴、腹部外傷、喫煙、薬物使用、羊水過多、多胎妊娠、高齢妊娠、前期破水なども危険因子となります。

選択肢考察

  1. × 1.  肥満

    肥満自体は常位胎盤早期剥離の直接的リスク因子ではありません。ただし肥満は妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病を合併しやすいため、間接的にリスクを高める可能性はあります。

  2. × 2.  妊娠糖尿病(gestational diabetes mellitus)

    妊娠糖尿病は巨大児、羊水過多、妊娠高血圧症候群、胎児奇形などのリスクとなりますが、常位胎盤早期剥離の直接的リスク因子には挙げられていません。

  3. × 3.  帝王切開術の既往

    帝王切開の既往は前置胎盤、癒着胎盤、子宮破裂のリスク因子ですが、常位胎盤早期剥離の主要リスク因子ではありません。混同しないよう注意が必要です。

  4. 4.  妊娠高血圧症候群(pregnancy-induced hypertension)

    妊娠高血圧症候群は常位胎盤早期剥離の最大のリスク因子であり、約半数に合併します。高血圧による脱落膜血管の変性・血栓形成が胎盤剥離を引き起こします。

常位胎盤早期剥離の典型症状は持続する下腹部痛、子宮の板状硬直(子宮収縮がほどけず硬い)、性器出血(内出血のため外出血は軽度のこともある)、胎児心拍異常です。超音波検査で胎盤後血腫を確認し、確定診断は娩出後の胎盤所見によります。母体合併症として消費性凝固障害(DIC)が高頻度で起こり、Couvelaire子宮(子宮筋層への出血浸潤)を伴うこともあります。治療は速やかな娩出(多くは緊急帝王切開)で、母体・胎児ともに救命を目指します。類似疾患の前置胎盤との鑑別(前置胎盤は無痛性の性器出血が特徴)は国試頻出です。

常位胎盤早期剥離の病態とリスク因子、特に妊娠高血圧症候群との関連を理解しているかを問う問題です。