抗精神病薬20年服用後の口腔不随意運動を見極める
看護師国家試験 第104回 午後 第79問 / 精神看護学 / 精神疾患・障害の特徴と看護
国試問題にチャレンジ
Aさん(60歳、男性)は、統合失調症(schizophrenia)で20年前から抗精神病薬を服用している。常に口を動かしているため、何か食べていないか看護師が口の中を確認するが、何も口には入っていない。Aさんは「勝手に口と舌が動いてしまう」と言う。 Aさんに現れている症状はどれか。
- 1.被害妄想
- 2.作為体験
- 3.カタレプシー
- 4.遅発性ジスキネジア
- 5.静座不能〈アカシジア〉
対話形式の解説
博士
今日は60歳のAさん、統合失調症で20年抗精神病薬を服用じゃ。
サクラ
口を常に動かしていて、本人も勝手に動くと訴えているんですね。
博士
これは何の症状か考えてみよう。選択肢1の被害妄想は?
サクラ
それは思考内容の障害ですから、身体の動きとは違いますね。
博士
作為体験はどうじゃ?
サクラ
操られている感覚で、これも自我障害ですね。
博士
カタレプシーは?
サクラ
姿勢を保持し続ける緊張病症状なので、当てはまりません。
博士
アカシジアは?
サクラ
じっとしていられない、足のむずむず感が中心ですよね。
博士
その通り、口腔症状の特徴とは異なる。
サクラ
残るは遅発性ジスキネジアですね。
博士
うむ、20年の長期服用と口・舌の不随意運動が一致するのじゃ。
サクラ
これは錐体外路症状の一つですね。
博士
急性期にはアカシジアやパーキンソニズム、ジストニアが出やすい。
サクラ
遅発性は名の通り遅れて出現するんですね。
博士
治療は原因薬剤の調整やVMAT2阻害薬じゃ。
サクラ
食事中に確認する看護師の視点も大切ですね。
博士
誤嚥や食事困難につながることもあるからのう。
POINT
遅発性ジスキネジアは抗精神病薬の長期服用後に出現する錐体外路症状で、口・舌・顔面の反復性不随意運動が特徴です。本人の意思では止められず、誤嚥や食事困難の原因にもなります。被害妄想や作為体験などの陽性症状、カタレプシーやアカシジアと混同しないよう、発症時期と症状部位で鑑別することが重要です。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:Aさん(60歳、男性)は、統合失調症(schizophrenia)で20年前から抗精神病薬を服用している。常に口を動かしているため、何か食べていないか看護師が口の中を確認するが、何も口には入っていない。Aさんは「勝手に口と舌が動いてしまう」と言う。 Aさんに現れている症状はどれか。
解説:正解は4です。長期の抗精神病薬服用後に口・舌・顔面に出現する不随意運動は遅発性ジスキネジアです。特に口をもぐもぐ動かす、舌を突き出すなどの動きが特徴で、本人の意思では止められません。
選択肢考察
-
× 1. 被害妄想
被害妄想は他者から害を加えられているという確信的な妄想で、思考内容の障害です。Aさんに見られる身体の不随意運動とは異なります。
-
× 2. 作為体験
作為体験は自分の思考や行動が他者に操られているという自我障害で、統合失調症の陽性症状の一つです。本症例の口腔の不随意運動は薬剤副作用であり該当しません。
-
× 3. カタレプシー
カタレプシーは他者にとらされた姿勢を保持し続ける緊張病症状で、口の不随意な動きとは別物です。
-
○ 4. 遅発性ジスキネジア
抗精神病薬の長期服用により出現する錐体外路症状の一つで、口・舌・顔面の反復性不随意運動が特徴。20年服用というAさんの病歴と症状像が一致します。
-
× 5. 静座不能〈アカシジア〉
アカシジアは下肢のむずむず感やじっとしていられない感覚を伴う運動症状で、抗精神病薬開始早期に多く見られます。口の不随意運動とは異なります。
抗精神病薬の錐体外路症状には、急性期に生じるアカシジアやパーキンソニズム、ジストニア、長期服用後の遅発性ジスキネジアがあります。発症時期と症状部位で鑑別し、遅発性ジスキネジアは原因薬剤の減量・変更や、近年はバルベナジンなどVMAT2阻害薬が用いられます。
抗精神病薬の副作用である錐体外路症状、特に長期服用で出現する遅発性ジスキネジアの典型像を識別できるかを問う問題です。
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