疾患と確定診断検査の正しい組合せ
看護師国家試験 第105回 午前 第58問 / 精神看護学 / 精神疾患・障害の特徴と看護
国試問題にチャレンジ
疾患と確定診断のために用いられる検査との組合せで最も適切なのはどれか。
- 1.脳炎(encephalitis) ―――――――――――― 脳脊髄液検査
- 2.パニック障害(panic disorder) ――――――― 脳波検査
- 3.特発性てんかん(idiopathic epilepsy)―――― 頭部MRI
- 4.パーソナリティ障害(personality disorder) ― 頭部CT
対話形式の解説
博士
今回は疾患ごとの確定診断に用いる検査の組合せを問う問題じゃ。検査の使い分けを整理するのに良い題材じゃよ。
アユム
主な中枢神経系の検査の役割を教えてください。
博士
頭部CTは出血の迅速診断、つまりくも膜下出血や脳出血、外傷が得意じゃ。頭部MRIは脳梗塞(特に早期の拡散強調像)や脳腫瘍、脱髄疾患など脳実質病変の詳細評価に優れる。脳波はてんかんや意識障害、脳死判定。脳脊髄液検査は髄膜炎・脳炎、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群などの確定診断に使うんじゃ。
アユム
正解は何番ですか?
博士
正解は選択肢1「脳炎―脳脊髄液検査」じゃ。脳炎はウイルスや細菌が脳実質に炎症を起こす疾患で、腰椎穿刺による髄液検査で細胞数増加(リンパ球優位)、タンパク上昇、糖正常〜軽度低下を確認し、PCRでHSV-DNAなどの病原体を同定して確定診断するのじゃ。
アユム
選択肢2の「パニック障害―脳波検査」は?
博士
パニック障害は器質的疾患ではなく機能性疾患じゃから、脳波では診断できん。DSM-5やICD-10の診断基準に基づく臨床診断じゃよ。脳波検査はてんかんの診断に使うのじゃ。
アユム
選択肢3の「特発性てんかん―頭部MRI」は?
博士
特発性てんかんの確定診断は脳波じゃ。棘波、鋭波、棘徐波複合などのてんかん波を検出する。MRIは器質的病変の除外目的で補助的に使うだけじゃ。
アユム
選択肢4の「パーソナリティ障害―頭部CT」は?
博士
パーソナリティ障害もDSM-5の診断基準に基づく臨床診断で、画像診断は効かんのじゃ。頭部CTはくも膜下出血や脳出血の診断に使うもので、精神疾患の診断ツールではない。
アユム
髄液検査で他にわかる疾患はありますか?
博士
くも膜下出血のCT陰性例でキサントクロミー確認、多発性硬化症のオリゴクローナルバンド、ギラン・バレー症候群の蛋白細胞解離などじゃ。脳圧の測定もできるぞ。
アユム
脳炎の原因ウイルスで多いのは?
博士
日本では単純ヘルペスウイルス(HSV)脳炎が重要で、抗ウイルス薬アシクロビルの早期投与が予後を左右する。髄液PCRでHSV-DNAを検出することが確定診断になるのじゃよ。
アユム
疾患と検査の対応を整理して覚えます。
博士
臨床診断か器質的診断かを区別し、画像・脳波・髄液の守備範囲を押さえるとよいぞ。
POINT
本問は疾患と確定診断検査の組合せを問う問題です。脳炎は髄液検査(細胞数・タンパク・PCR)で確定、てんかんは脳波、くも膜下出血は頭部CT、脳梗塞・脳腫瘍は頭部MRI、精神疾患(パニック障害、パーソナリティ障害、うつ病等)はDSM/ICDなどの臨床診断基準で診断されます。検査の守備範囲と機能性疾患・器質性疾患の区別を押さえることが重要です。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:疾患と確定診断のために用いられる検査との組合せで最も適切なのはどれか。
解説:正解は 1 です。脳炎はウイルス(単純ヘルペス、日本脳炎、インフルエンザなど)や細菌、自己免疫機序により脳実質に炎症が生じる疾患で、発熱・頭痛・意識障害・けいれん・異常行動などを呈します。確定診断には腰椎穿刺による脳脊髄液検査が必須で、細胞数増加(リンパ球優位)、タンパク上昇、糖は正常〜軽度低下などの所見を確認し、さらにPCR検査で病原体(HSV-DNAなど)を同定します。画像検査(頭部MRI)や脳波も補助的に用いられますが、病原体診断を含む確定診断は髄液検査によります。
選択肢考察
-
○ 1. 脳炎(encephalitis) ―――――――――――― 脳脊髄液検査
脳炎の確定診断には腰椎穿刺による脳脊髄液検査が必須です。細胞数・タンパク・糖の確認に加え、PCRで病原体を同定します。正しい組合せです。
-
× 2. パニック障害(panic disorder) ――――――― 脳波検査
パニック障害は器質的疾患ではなく、DSM-5やICD-10などの診断基準に基づく臨床診断です。脳波検査はてんかんの診断に用いられます。
-
× 3. 特発性てんかん(idiopathic epilepsy)―――― 頭部MRI
特発性てんかんの確定診断は脳波検査です。棘波・鋭波・棘徐波複合などのてんかん波の検出が重要で、頭部MRIは器質的病変(脳腫瘍、梗塞など)の除外目的で補助的に用いられます。
-
× 4. パーソナリティ障害(personality disorder) ― 頭部CT
パーソナリティ障害はDSM-5などの診断基準に基づく臨床診断で、画像検査では診断できません。頭部CTは脳出血やくも膜下出血などの診断に用いられます。
主な中枢神経系検査の役割分担を整理しましょう。頭部CT:出血性病変(くも膜下出血、脳出血、外傷)の迅速診断に優れる。頭部MRI:脳梗塞(特に早期の拡散強調像)、脳腫瘍、脱髄疾患など脳実質病変の詳細評価。脳波:てんかん(特発性、症候性)、意識障害、脳死判定。脳脊髄液検査:髄膜炎・脳炎、くも膜下出血(CT陰性例のキサントクロミー)、多発性硬化症(オリゴクローナルバンド)、ギラン・バレー症候群(蛋白細胞解離)などの確定診断。精神疾患(パニック障害、パーソナリティ障害、うつ病、統合失調症など)は機能性疾患であり、臨床症状と診断基準に基づいて診断されます。
中枢神経系・精神疾患それぞれに適した確定診断検査を区別できるかを問う問題です。
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