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防衛機制を整理する

看護師国家試験 第107回 午前 第80問 / 精神看護学 / 精神保健の基本

国試問題にチャレンジ

107回 午前 第80問

難病患者が自分の病気について学ぶことで不安を解消しようとする防衛機制はどれか。

  1. 1.否認
  2. 2.昇華
  3. 3.知性化
  4. 4.合理化
  5. 5.反動形成

対話形式の解説

博士 博士

今回は防衛機制の問題じゃ。難病患者が病気について学ぶことで不安を解消しようとする心理を問うておる。

アユム アユム

防衛機制というのはフロイトが提唱した概念ですよね。

博士 博士

その通り。不安や葛藤、受け入れがたい感情から自我を守るために無意識的に働く心理メカニズムじゃ。娘のアンナ・フロイトがさらに体系化した。

アユム アユム

たくさん種類がありますよね。

博士 博士

代表的なものだけでも10種類以上ある。今回の選択肢にある5つを整理していこう。

アユム アユム

まず「否認」はどんな防衛機制ですか。

博士 博士

現実そのものを認めない防衛機制じゃ。例えば家族の死を認めず「寝ているだけ」と言ったり、がんの診断を「誤診だ」と拒絶したりすることじゃ。

アユム アユム

キューブラー・ロスの死の受容過程の第1段階にも否認がありますね。

博士 博士

そうじゃ。次に「昇華」は、社会的に受け入れられない衝動を建設的な活動に変える防衛機制じゃ。攻撃性をボクシングで発散するとか、性的欲求を芸術作品で表現するとかじゃ。

アユム アユム

最も成熟した防衛機制の一つと言われますね。

博士 博士

その通り。ヴェイラントの分類では成熟防衛に位置づけられる。

アユム アユム

「知性化」はどうですか。

博士 博士

情緒的に耐えがたい体験を、知的・理論的思考で扱うことで感情的動揺を避ける防衛機制じゃ。難病患者が病気について調べ尽くすのが典型例じゃ。

アユム アユム

知識で武装して感情から距離を取るイメージですね。

博士 博士

そうじゃ。知的理解は現実的対処につながるから必ずしも病的ではないが、感情と向き合うことを避ける手段として過剰に使われると悲嘆の過程が進まないこともある。

アユム アユム

「合理化」はどんな例がありますか。

博士 博士

受け入れがたい事態にもっともらしい理由をつけて正当化することじゃ。イソップ寓話の「酸っぱい葡萄」が有名じゃな。手の届かない葡萄を「どうせ酸っぱいだろう」と納得する。

アユム アユム

人間の日常によくある心理ですね。

博士 博士

そうじゃ。失敗したとき「これで良かったんだ」と納得するのも合理化じゃ。

アユム アユム

最後に「反動形成」は。

博士 博士

抑圧した感情の正反対の態度を過度に示す防衛機制じゃ。嫌いな上司に過剰に愛想よくしたり、好きな人についついそっけない態度を取ったりすることじゃ。

アユム アユム

思春期の照れ隠しとかまさにそうですね。

博士 博士

その通り。他にも抑圧、投影、退行、同一視、置き換え、隔離など多くの防衛機制がある。

アユム アユム

投影はどんな例ですか。

博士 博士

自分の感情を他者に帰属させることじゃ。自分が相手を嫌っているのに「相手が自分を嫌っている」と感じるような現象じゃ。

アユム アユム

防衛機制は無意識で働くというのが共通点ですね。

博士 博士

そうじゃ。意識的なコーピングとは区別されるのが特徴じゃ。

アユム アユム

各防衛機制の定義と具体例をセットで覚えるのがコツですね。

POINT

防衛機制は無意識的に自我を守る心理メカニズムで、フロイトによって提唱され多くの種類があります。難病患者が病気について学び知識で不安を処理するのは「知性化」の典型例で、情緒的問題を知的思考で扱い感情的動揺を避ける機制です。否認は現実の拒絶、昇華は衝動の建設的転換、合理化は理由づけによる正当化、反動形成は正反対の態度の表出と区別されます。定義と具体例を結びつけて押さえておくことが国試対策の基本です。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:難病患者が自分の病気について学ぶことで不安を解消しようとする防衛機制はどれか。

解説:正解は3です。防衛機制はフロイトが提唱した概念で、不安・葛藤・受け入れがたい感情から自我を守るために無意識的に働く心理メカニズムです。「知性化」は、情緒的で耐えがたい体験を、抽象的・理論的思考によって扱うことで、感情的動揺を軽減し心理的距離を保つ防衛機制です。難病と診断された患者が自分の病気について詳しく学び、病態や治療を知識として理解することで、漠然とした不安を整理し対処可能なものに変換しようとする営みは、まさに知性化の典型例です。知識による客観視は現実的な対処行動につながることも多く、必ずしも病的ではなく適応的に働くこともあります。ただし、感情と向き合うことを回避する手段として過度に使われると、悲嘆の過程が進まないこともあり注意が必要です。

選択肢考察

  1. × 1.  否認

    受け入れがたい現実そのものを認めない防衛機制。「診断は間違っている」「自分はその病気ではない」など事実の拒絶が特徴です。

  2. × 2.  昇華

    社会的に受け入れられない衝動(攻撃性や性的欲求など)を芸術・スポーツ・学問など社会的価値のある活動に転換する防衛機制です。

  3. 3.  知性化

    情緒的な問題を知的・理論的に捉えることで感情的動揺を避ける防衛機制。病気を学ぶことで不安を抑える行動がこれに該当します。

  4. × 4.  合理化

    受け入れがたい事態にもっともらしい理由をつけて正当化する防衛機制。イソップ寓話の「酸っぱい葡萄」が典型例です。

  5. × 5.  反動形成

    抑圧された欲求や感情と正反対の態度を過度に示す防衛機制。嫌いな相手に過剰に丁寧に接するなどが該当します。

代表的な防衛機制には他に、抑圧(意識化しない)、投影(自分の感情を他者に帰属)、退行(幼児的行動)、同一視(他者との一体化)、置換え(対象を別物に向ける)、隔離(感情と思考の切り離し)などがあります。ヴェイラントは防衛機制を未熟〜成熟の階層に分類し、知性化・昇華などは比較的成熟した防衛とされます。

防衛機制の種類と具体例を結びつける問題。「知的理解で不安を処理=知性化」という対応を確実に覚えましょう。