精神医療審査会の役割を押さえよう
看護師国家試験 第108回 午前 第67問 / 精神看護学 / 精神保健医療福祉の変遷と法・施策
国試問題にチャレンジ
精神医療審査会で審査を行うのはどれか。
- 1.精神保健指定医の認定
- 2.入院患者からの退院請求
- 3.退院後生活環境相談員の選任
- 4.心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律による処遇の要否
対話形式の解説
博士
今日は精神医療審査会について学ぶぞ。精神保健福祉法に基づく重要な第三者機関じゃ。
サクラ
博士、精神医療審査会ってどんな組織ですか?
博士
都道府県や政令指定都市に設置される第三者機関で、精神科病院に入院している患者の人権を守るために、入院の必要性や処遇の妥当性を審査する機関じゃ。
サクラ
具体的にはどんな業務をしているんですか?
博士
大きく3つあるぞ。①定期病状報告書の審査、②医療保護入院の入院届審査、③退院請求・処遇改善請求の審査じゃ。今回の正解は2番「入院患者からの退院請求」じゃ。
サクラ
退院請求はどうやって行うんですか?
博士
入院中の患者本人または家族等が「退院させてほしい」「処遇を改善してほしい」と請求できる。精神医療審査会が第三者的立場から判断するんじゃ。
サクラ
選択肢1の「精神保健指定医の認定」は?
博士
これは厚生労働大臣の権限じゃ。精神保健福祉法第18条に基づき、一定の精神科実務経験と法律研修を終えた医師が指定される。審査会の業務ではないぞ。
サクラ
選択肢3の「退院後生活環境相談員の選任」は?
博士
これは2014年施行の改正精神保健福祉法で、精神科病院の管理者に義務づけられた選任なんじゃ。医療保護入院者の退院支援を担う重要な役割じゃ。
サクラ
選択肢4の「医療観察法による処遇の要否」は?
博士
これは別の制度じゃ。心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に対しては、地方裁判所で裁判官1名と精神保健審判員1名による合議体が処遇を決定するんじゃ。
サクラ
制度がいくつも混在していて混乱しそうです。
博士
整理するとよいぞ。精神保健指定医の指定は厚生労働大臣、退院後生活環境相談員の選任は病院管理者、医療観察法の処遇決定は地方裁判所、入院の妥当性審査は精神医療審査会じゃ。
サクラ
精神医療審査会の委員構成はどうなっているんですか?
博士
委員5名で、医療委員(精神科医)2名以上、法律家委員1名以上、有識者委員1名以上からなる合議体じゃ。多職種による審査で公正性を担保しておる。
サクラ
入院形態についても教えてください。
博士
入院形態は5つ。任意入院、医療保護入院、措置入院、緊急措置入院、応急入院じゃ。これらの患者すべてが退院請求・処遇改善請求の対象になるぞ。
サクラ
精神医療は人権に深く関わる領域なんですね。
博士
その通り。非自発的入院を伴うからこそ、第三者機関による審査が不可欠なんじゃ。看護師も患者の権利擁護の視点を持つことが重要じゃぞ。
POINT
精神医療審査会は精神保健福祉法に基づく第三者機関で、入院の必要性・処遇の適正性を審査し、患者や家族からの退院請求・処遇改善請求を審査します。精神保健指定医の指定は厚生労働大臣、退院後生活環境相談員の選任は病院管理者、医療観察法の処遇決定は地方裁判所と権限主体がそれぞれ異なります。看護師は患者の人権擁護の視点で精神医療システムを理解することが重要です。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:精神医療審査会で審査を行うのはどれか。
解説:正解は 2 です。精神医療審査会は精神保健福祉法に基づき都道府県・政令指定都市に設置される第三者機関で、入院の必要性や処遇の適正性を審査するのが主な役割であり、具体的には①定期病状報告書の審査、②医療保護入院の入院届審査、③入院患者本人や家族からの退院請求・処遇改善請求の審査を行います。
選択肢考察
-
× 1. 精神保健指定医の認定
精神保健指定医の指定権限は厚生労働大臣にあります(精神保健福祉法第18条)。精神医療審査会の業務ではありません。
-
○ 2. 入院患者からの退院請求
入院患者本人または家族等からの退院請求・処遇改善請求は、精神医療審査会が審査する中核業務です。入院の必要性・処遇の妥当性を第三者的立場から判断します。
-
× 3. 退院後生活環境相談員の選任
退院後生活環境相談員の選任は精神科病院の管理者の義務です(2014年4月施行の改正精神保健福祉法)。精神医療審査会の業務ではありません。
-
× 4. 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律による処遇の要否
医療観察法による処遇の要否は、裁判官1名と精神保健審判員1名による合議体(地方裁判所)が決定します。精神医療審査会とは別の制度です。
精神医療審査会は委員5名(医療委員2名以上、法律家委員1名以上、有識者委員1名以上)で構成され、合議体で審査します。精神保健指定医の指定は厚生労働大臣、退院後生活環境相談員の選任は病院管理者、医療観察法の処遇決定は地方裁判所と、それぞれ主体と役割を混同しないよう整理が必要です。入院形態(任意入院・医療保護入院・措置入院・緊急措置入院・応急入院)との関連もあわせて押さえましょう。
精神医療審査会の役割と権限を、類似の制度・組織と区別して理解しているかを問う問題です。
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