精神科入院形態4種を迷わず整理する
看護師国家試験 第112回 午前 第88問 / 精神看護学 / 精神保健医療福祉の変遷と法・施策
国試問題にチャレンジ
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律<精神保健福祉法>に基づく入院形態で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 1.応急入院は72時間以内に限られている。
- 2.緊急措置入院中の患者は本人と家族が希望すれば退院できる。
- 3.措置入院中の患者は精神医療審査会へ退院請求を申し出ることができる。
- 4.精神保健指定医は任意入院中の患者について入院継続を必要と判断しても、退院を制限できない。
- 5.医療保護入院のためには入院の必要性に関する2名の精神保健指定医の一致した判断が必要である。
対話形式の解説
博士
今日は精神保健福祉法の入院形態じゃ。国試頻出で、毎年手を変え品を変え出題されるから、4つの形態を体系的に理解しよう。
アユム
まず4種類を教えてください。
博士
任意入院、医療保護入院、応急入院、措置入院の4つじゃ。措置入院には緊急措置入院という派生形態もある。
アユム
任意入院はどんな形ですか?
博士
本人の同意で入院するもので、原則いつでも退院できる。ただし精神保健指定医が入院継続を必要と判断すれば72時間に限り退院を制限できるのじゃ。
アユム
医療保護入院は?
博士
本人の同意が得られないが医療・保護が必要な場合に、精神保健指定医1名の診察と家族等1名の同意で入院させる形態じゃ。2022年改正で家族同意が得られない場合は市町村長同意も認められた。
アユム
応急入院は何が違うんですか?
博士
本人も家族も同意が得られない、あるいは家族と連絡が取れない急性期に、指定医1名の診察で72時間以内に限って認められる入院じゃ。応急入院指定病院でのみ実施できる。
アユム
措置入院と緊急措置入院の違いは?
博士
どちらも自傷他害の恐れがあり都道府県知事の命令で行われる行政処分じゃ。措置入院は指定医2名の診察結果一致が必要、緊急措置は指定医1名で可能だが72時間までに限られる。
アユム
じゃあ入院中の患者の権利は?
博士
精神保健福祉法38条の4で、入院患者本人または家族等は精神医療審査会に退院請求・処遇改善請求ができる。これは措置入院中でも保障される大切な権利じゃ。
アユム
精神医療審査会って何ですか?
博士
都道府県に設置される第三者機関じゃ。医療委員、法律家委員、有識者委員で構成され、入院の適否や処遇の妥当性を審査する。
アユム
隔離や身体拘束のルールはありますか?
博士
12時間を超える隔離は精神保健指定医の判断が必要。身体拘束は常に指定医の判断が必要で、必要最小限の時間にとどめる。開始と解除の時刻、理由、状態観察を記録することが義務付けられておる。
アユム
書信や電話は制限できますか?
博士
信書の発受は制限できない。電話・面会は医療上必要な場合に限り制限できるが、都道府県や弁護士、人権擁護機関との通信は制限できないのじゃ。
アユム
選択肢の判定をまとめると?
博士
応急入院は72時間以内で正しい。緊急措置入院は本人・家族希望だけで退院できないので誤り。措置入院中も退院請求可能で正しい。任意入院は72時間退院制限できるので誤り。医療保護入院は指定医1名で十分なので誤り。正解は1と3じゃ。
アユム
2022年改正のポイントも押さえておいた方がいいですね。
博士
その通り。医療保護入院への市町村長同意、入院中の意思決定支援、入院者訪問支援事業などが整備されたぞ。
POINT
精神保健福祉法に基づく入院形態は、任意入院、医療保護入院、応急入院、措置入院(緊急措置入院を含む)の4種類で、それぞれ対象、同意要件、必要な指定医数、期間が異なる。応急入院は本人・家族の同意が得られない場合に指定医1名の診察で72時間以内行われ、措置入院は自傷他害の恐れに対し2名の指定医一致と都道府県知事命令で行われる行政処分である。入院形態を問わず、患者本人と家族等は精神医療審査会へ退院請求・処遇改善請求を行う権利が保障されており、これは患者の人権を守る柱となる。看護師は各入院形態の違いと患者の法的権利を正確に理解し、インフォームドコンセント、処遇観察、適切な情報提供を通じて、治療的環境と人権擁護の両立を支える必要がある。
解答・解説
正解は 1 ・ 3 です
問題文:精神保健及び精神障害者福祉に関する法律<精神保健福祉法>に基づく入院形態で正しいのはどれか。2つ選べ。
解説:正解は 1 と 3 です。精神保健福祉法の入院形態は、任意入院、医療保護入院、応急入院、措置入院(緊急措置入院を含む)の4種類。応急入院は本人・家族の同意が得られないが直ちに医療保護が必要な場合に、精神保健指定医1名の診察で72時間以内に限り行われる。措置入院中の患者本人や家族は、精神医療審査会に退院請求・処遇改善請求を行うことができる。
選択肢考察
-
○ 1. 応急入院は72時間以内に限られている。
応急入院は本人・家族の同意を得られない急性期患者に対し、精神保健指定医1名の診察で72時間以内の緊急的入院を可能にする形態。応急入院指定病院でのみ実施できる。
-
× 2. 緊急措置入院中の患者は本人と家族が希望すれば退院できる。
緊急措置入院は自傷他害の恐れがある患者に対し指定医1名の診察で72時間以内実施される行政処分であり、退院には都道府県知事の判断が必要。本人や家族の希望のみでは退院できない。
-
○ 3. 措置入院中の患者は精神医療審査会へ退院請求を申し出ることができる。
入院患者本人またはその家族等は、精神医療審査会に対して退院請求・処遇改善請求を行う権利が保障されている(精神保健福祉法第38条の4)。措置入院中も例外ではない。
-
× 4. 精神保健指定医は任意入院中の患者について入院継続を必要と判断しても、退院を制限できない。
任意入院は本人同意による入院だが、精神保健指定医が入院継続の必要性を認めた場合に限り72時間(特定医師の場合は12時間)の退院制限が可能。
-
× 5. 医療保護入院のためには入院の必要性に関する2名の精神保健指定医の一致した判断が必要である。
医療保護入院は精神保健指定医1名の診察と家族等1名の同意で行える。2名の指定医の判断を要するのは措置入院。
4つの入院形態を整理すると、任意入院(本人同意、制限72時間可)、医療保護入院(指定医1名+家族等同意、2022年改正で家族等同意を得られない場合は市町村長同意可、原則6か月ごとに入院要件の確認)、応急入院(指定医1名、72時間)、措置入院(指定医2名一致+都道府県知事命令、自傷他害の恐れ)、緊急措置入院(指定医1名、72時間、自傷他害の恐れ)。精神医療審査会は都道府県に設置され、医療委員・法律家委員・有識者委員で構成される。入院患者は退院請求・処遇改善請求、書信の自由、12時間以内の隔離は指定医不要などの処遇規定も頻出論点。
精神保健福祉法の4つの入院形態と、必要な診察医数・同意・期間・患者の権利(退院請求権)の違いを正確に押さえているかを問う。
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