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精神障害者をめぐる法律マップ、自立支援医療はどこに属す?

看護師国家試験 第112回 午前 第67問 / 精神看護学 / 精神保健医療福祉の変遷と法・施策

国試問題にチャレンジ

112回 午前 第67問

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律<障害者総合支援法>に基づき、精神障害者に適用されるのはどれか。

  1. 1.障害基礎年金
  2. 2.一定割合の雇用義務
  3. 3.精神障害者保健福祉手帳
  4. 4.自立支援医療(精神通院医療)

対話形式の解説

博士 博士

今日は障害者総合支援法じゃ。精神障害者に関する制度はいろいろあるが、根拠法がバラバラで混乱しやすいのう。

サクラ サクラ

自立支援医療、障害基礎年金、手帳、雇用義務、どれもなんとなく聞いたことがあります。

博士 博士

それぞれの根拠法を整理するのがこの問題のカギじゃ。まず正解の自立支援医療から。

サクラ サクラ

自立支援医療は医療費の補助制度ですね。

博士 博士

左様。精神通院医療、身体障害者への更生医療、障害児への育成医療の3本柱で、いずれも障害者総合支援法に基づく公費負担医療制度じゃ。精神通院医療では外来の自己負担が原則1割に軽減される。

サクラ サクラ

所得に応じた月額上限もあるんですね。

博士 博士

うむ。低所得世帯は月額上限が低く抑えられるなど配慮がある。統合失調症、気分障害、てんかんなど、継続通院が必要な精神疾患の治療を経済的に下支えする重要な制度じゃ。

サクラ サクラ

選択肢1の障害基礎年金は別の法律ですよね。

博士 博士

国民年金法に基づく公的年金じゃ。初診日に加入していた年金や納付要件、障害の程度に応じて障害基礎年金または障害厚生年金が支給される。障害年金は精神障害にも適用され、統合失調症や気分障害でも申請可能じゃ。

サクラ サクラ

選択肢2の雇用義務はどうですか。

博士 博士

障害者雇用促進法の規定じゃ。民間企業の法定雇用率は2024年4月から2.5%、2026年7月からは2.7%に段階的引き上げられておる。精神障害者も2018年から算定対象に含まれるようになった。

サクラ サクラ

選択肢3の精神障害者保健福祉手帳は。

博士 博士

これは精神保健福祉法じゃ。一定以上の精神障害を証明する手帳で、1級から3級まで区分される。税制優遇、公共料金割引、就労支援などのサービスにつながる。

サクラ サクラ

似た名前で、障害者手帳もありましたよね。

博士 博士

身体障害者手帳は身体障害者福祉法、療育手帳は行政通達による運用じゃ。3種類の手帳の根拠法を区別できるようにしておくとよい。

サクラ サクラ

障害者総合支援法の中身をもう少し教えてください。

博士 博士

自立支援給付と地域生活支援事業に大別される。自立支援給付には介護給付、訓練等給付、自立支援医療、補装具、計画相談支援がある。訓練等給付には就労移行支援、就労継続支援A型・B型などが含まれ、精神障害者の社会参加を幅広く支える。

サクラ サクラ

2013年に障害者自立支援法から改正されたと聞きました。

博士 博士

そうじゃ。自立支援法時代の応益負担への批判などを受け、障害者総合支援法に改正され、対象に難病等も追加された。2024年の改正では共同生活援助や就労支援の強化も進んでおる。

サクラ サクラ

制度ごとに根拠法を押さえると、精神障害者をめぐる支援の全体像が見えてきますね。

POINT

障害者総合支援法は2013年に施行された精神障害者を含む障害者・難病者の総合的な福祉を担う法律で、自立支援給付(介護給付、訓練等給付、自立支援医療、補装具、計画相談支援)と地域生活支援事業からなります。自立支援医療(精神通院医療)はこの法律に基づく公費負担医療制度で、自己負担を原則1割に軽減し継続的な精神科通院治療を経済的に支えます。一方、障害基礎年金は国民年金法、精神障害者保健福祉手帳は精神保健福祉法、法定雇用率は障害者雇用促進法と根拠法が異なり、制度ごとに区別して覚えることが重要です。看護師は対象者の権利擁護者として、利用可能な制度を的確に紹介・調整し、医療・生活・就労の各側面から精神障害者の地域生活を支える役割を担います。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律<障害者総合支援法>に基づき、精神障害者に適用されるのはどれか。

解説:正解は 4 です。自立支援医療(精神通院医療)は障害者総合支援法に基づく公費負担医療制度で、精神疾患で通院治療を継続する必要がある人を対象に、医療費の自己負担を原則1割に軽減する仕組みである。身体障害者の更生医療、障害児の育成医療とあわせて「自立支援医療」と総称される。

選択肢考察

  1. × 1.  障害基礎年金

    国民年金法に基づく公的年金の一つ。傷病により日常生活や仕事に一定以上の制限がある場合に支給される。障害者総合支援法による制度ではない。

  2. × 2.  一定割合の雇用義務

    障害者雇用促進法に基づき、一定規模以上の事業主や国・地方公共団体に対して法定雇用率以上の障害者雇用を義務づけるもの。根拠法が障害者総合支援法ではない。

  3. × 3.  精神障害者保健福祉手帳

    精神保健福祉法に基づき交付される手帳で、一定の精神障害の状態にあることを認定し、各種支援を受けやすくする。根拠法は障害者総合支援法ではない。

  4. 4.  自立支援医療(精神通院医療)

    障害者総合支援法に基づく公費負担医療制度で、通院精神医療の自己負担を原則1割に軽減する。所得に応じた月額上限も設定され、継続的な精神科通院治療を経済的に支える。

障害者福祉の根拠法は複数あり整理が必須である。障害者総合支援法=自立支援給付(介護給付、訓練等給付、自立支援医療、補装具、計画相談支援)と地域生活支援事業、精神保健福祉法=精神障害者保健福祉手帳、措置入院・医療保護入院など、障害者雇用促進法=法定雇用率と合理的配慮、国民年金法・厚生年金保険法=障害年金、障害者基本法=障害者施策の基本理念、障害者差別解消法=不当な差別的取扱いの禁止と合理的配慮の提供。障害者総合支援法は2013年に障害者自立支援法を改正してできた法律で、対象に難病等も加えられた。

障害者福祉に関わる制度ごとの根拠法を正しく識別できるかを問う問題。特に自立支援医療が障害者総合支援法に基づくことを押さえたい。