敗血症の病態を総ざらい
看護師国家試験 第110回 午前 第28問 / 成人看護学 / 急性期・救急・クリティカルケア
国試問題にチャレンジ
成人の敗血症( sepsis )について正しいのはどれか。
- 1.徐脈となる。
- 2.高血圧となる。
- 3.血管透過性が低下する。
- 4.全身炎症性反応を認める。
対話形式の解説
博士
敗血症は救急・集中治療の要じゃ。しっかり整理するぞ。
アユム
感染症が重症化した状態ですよね。
博士
そうじゃ。感染に対する宿主反応が制御不能となり臓器障害が生じるのじゃ。
アユム
循環動態はどうなりますか?
博士
末梢血管が拡張し、透過性亢進で血漿が漏出するから血圧は下がるぞ。
アユム
脈拍は頻脈ですか徐脈ですか?
博士
基本は頻脈じゃ。体温上昇と血管拡張を心拍で代償するためじゃよ。
アユム
全身炎症反応というのが本態ですね。
博士
その通り、SIRS基準や現在のSOFA・qSOFAで評価するのじゃ。
アユム
qSOFAの項目を教えてください。
博士
意識変容、収縮期血圧100mmHg以下、呼吸数22回/分以上の3つじゃ。
アユム
初期のショックの特徴はありますか?
博士
皮膚が温かく紅潮する「ウォームショック」が有名じゃな。
アユム
進行するとどうなりますか?
博士
末梢冷感と冷汗を伴う「コールドショック」に移行し危険な状態となる。
アユム
治療の基本は?
博士
感染源の制御、早期の抗菌薬投与、十分な輸液、必要なら昇圧薬じゃ。
アユム
早期発見が鍵ですね。
博士
その通り、敗血症は時間との勝負じゃよ。
POINT
敗血症は感染を契機とした全身炎症反応と臓器障害を本態とし、頻脈・低血圧・血管透過性亢進といった循環異常を伴います。qSOFAやSOFAスコアで早期に把握し、感染源制御と抗菌薬、輸液、昇圧薬を迅速に開始することが予後を左右します。ウォームショックからコールドショックへの移行を見逃さない観察力が重要です。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:成人の敗血症( sepsis )について正しいのはどれか。
解説:正解は4です。敗血症は感染を契機に生じる全身の炎症反応と、それに伴う臓器障害が特徴で、全身性の炎症所見(発熱や白血球増多、頻脈、頻呼吸など)を認めるのが典型です。
選択肢考察
-
× 1. 徐脈となる。
敗血症では発熱・血管拡張・末梢灌流低下を代償するため、通常は頻脈を呈します。徐脈になるのは末期の循環破綻時や小児・高齢者の一部など例外的です。
-
× 2. 高血圧となる。
敗血症では炎症性サイトカインにより末梢血管が拡張し、血管透過性亢進で血漿成分が血管外へ漏出するため、血圧はむしろ低下します。敗血症性ショックでは平均動脈圧の維持に昇圧薬が必要になります。
-
× 3. 血管透過性が低下する。
サイトカインストームによって血管内皮が障害され、血管透過性は亢進します。その結果、血漿が間質に移動し浮腫や循環血液量減少を招きます。「低下」は逆の記載です。
-
○ 4. 全身炎症性反応を認める。
敗血症は「感染に対する制御不能な宿主反応による生命を脅かす臓器障害」と定義され、全身に炎症反応が及ぶのが本態です。発熱や低体温、頻脈、頻呼吸、白血球異常といったSIRS基準やqSOFA、SOFAスコアで評価されます。
現在の国際定義(Sepsis-3)では、敗血症は感染+SOFAスコア2点以上の上昇と定義されます。ベッドサイドでは意識障害・収縮期血圧100mmHg以下・呼吸数22回/分以上のうち2項目を満たすqSOFAで疑い、早期に抗菌薬と輸液、必要に応じて昇圧薬を開始します。初期は皮膚が温かく紅潮する「ウォームショック」、進行すると冷汗・末梢冷感の「コールドショック」に移行します。
敗血症の全身性炎症と循環動態の特徴を問う問題です。頻脈・低血圧・血管透過性亢進・全身炎症という病態セットを理解しているかがポイントです。
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