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敗血症性ショックの本質を押さえよう

看護師国家試験 第113回 午前 第84問 / 成人看護学 / 急性期・救急・クリティカルケア

国試問題にチャレンジ

113回 午前 第84問

敗血症性ショック(septic shock)について正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 1.血圧は上昇する。
  2. 2.血中の乳酸濃度は低下する。
  3. 3.エンドトキシンが原因である。
  4. 4.最重症の臨床像は多臓器不全である。
  5. 5.コールドショック(cold shock)からウォームショック(warm shock)に移行する。

対話形式の解説

博士 博士

今回は敗血症性ショックじゃ。重症感染症で全身の血管が拡張し血圧が崩れる状態じゃよ。

アユム アユム

血圧は上がりそうなイメージがありましたが違うんですね。

博士 博士

うむ、末梢血管抵抗が急激に下がるから血圧はむしろ低下するのじゃ。

アユム アユム

血液の乳酸値はどうなるのでしょうか。

博士 博士

組織に酸素が届かず嫌気代謝になるから乳酸は上昇するぞ。治療効果の指標にもなるのじゃ。

アユム アユム

原因菌で代表的なものは何ですか。

博士 博士

グラム陰性桿菌のエンドトキシンが古くから有名じゃな。サイトカインの嵐を起こすのじゃ。

アユム アユム

進行するとどうなるのですか。

博士 博士

腎臓や肝臓、肺など複数臓器が同時に倒れる多臓器不全に至る。これが最重症像じゃよ。

アユム アユム

ウォームショックとコールドショックの順序はどちらが先ですか。

博士 博士

成人ではウォームが先でコールドが後、と覚えておくとよい。

アユム アユム

qSOFAスコアで早期発見が大切と学びました。

博士 博士

その通り、1時間バンドルと呼ばれる初期対応を怠らぬことじゃ。

POINT

敗血症性ショックは血圧低下と乳酸上昇を伴う分布性ショックであり、エンドトキシンなどによる全身性炎症反応が背景にあります。最終的には多臓器不全に進展し、死亡率が高い病態です。看護師は意識・呼吸数・血圧の変化を察知し、迅速な輸液と抗菌薬投与に備える役割が重要です。ウォームショックからコールドショックへの移行順序も鑑別ポイントとして押さえておきましょう。

解答・解説

正解は 3 4 です

問題文:敗血症性ショック(septic shock)について正しいのはどれか。2つ選べ。

解説:正解は3と4です。敗血症性ショックはグラム陰性桿菌のエンドトキシンなどによる全身性炎症反応を背景として循環不全が起こり、未治療のまま進行すると多臓器不全(MODS/MOF)に至る極めて重篤な病態です。

選択肢考察

  1. × 1.  血圧は上昇する。

    敗血症性ショックでは血管拡張と血管透過性亢進によって有効循環血液量が低下し、収縮期血圧は90mmHg未満、あるいは平均血圧65mmHg未満に下がります。昇圧薬を使っても維持困難な低血圧が診断の鍵となります。

  2. × 2.  血中の乳酸濃度は低下する。

    組織灌流低下で嫌気性代謝が進み乳酸が蓄積するため、血中乳酸値は2mmol/Lを超えて上昇します。乳酸値はショックの重症度指標として治療効果判定にも用いられます。

  3. 3.  エンドトキシンが原因である。

    大腸菌や緑膿菌などグラム陰性桿菌の細胞壁成分であるエンドトキシン(リポ多糖)がサイトカインストームを誘発し、敗血症性ショックの主たる引き金となります。グラム陽性菌や真菌でも起こり得ますがエンドトキシンは代表的要因です。

  4. 4.  最重症の臨床像は多臓器不全である。

    循環不全の遷延により腎・肝・肺・凝固系など複数臓器が同時に機能不全に陥る多臓器不全が最重症像です。DICやARDSを合併しやすく、集中治療管理が必要となります。

  5. × 5.  コールドショック(cold shock)からウォームショック(warm shock)に移行する。

    成人では順序が逆で、血管拡張で皮膚が温かいウォームショックが先行し、進行して末梢循環が破綻すると皮膚冷感を呈するコールドショックへ移行します。

qSOFAスコア(意識障害・呼吸数22回以上・収縮期血圧100mmHg以下のうち2項目以上)で敗血症を早期スクリーニングし、1時間以内の抗菌薬投与と晶質液30mL/kgの急速輸液が推奨されます。乳酸値とSvO2を指標に蘇生を継続することが重要です。

敗血症性ショックの血行動態特性(血圧低下・乳酸上昇・ウォームからコールドへ)と、病因(エンドトキシン)および終末像(多臓器不全)を整理できるかを問う問題です。