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運動は万能薬?免疫力アップを含む身体への好影響を整理

看護師国家試験 第109回 午前 第2問 / 必修問題 / 健康の定義と影響要因

国試問題にチャレンジ

109回 午前 第2問

運動習慣が身体機能にもたらす効果はどれか。

  1. 1.肺活量の減少
  2. 2.耐糖能の低下
  3. 3.免疫力の向上
  4. 4.中性脂肪の増加

対話形式の解説

博士 博士

今日は運動習慣が体にもたらす効果について学ぶぞ。運動が健康に良いのは皆知っておるが、どの指標がどう変わるかを正確に説明できるかな?

アユム アユム

肺活量とか血糖値とか、なんとなく改善するイメージはあります。

博士 博士

まず肺活量じゃ。呼吸筋や肺胞の働きが鍛えられて最大換気量が増えるから、肺活量は増加する方向に動く。

アユム アユム

じゃあ「肺活量の減少」は間違いですね。

博士 博士

その通り。次に耐糖能。これは血糖値を正常に保つ能力のことじゃ。骨格筋が収縮するとインスリンに依存せずにブドウ糖を取り込めるし、インスリン感受性も高まる。

アユム アユム

つまり運動すると血糖値が下がりやすくなるんですね。糖尿病の人に運動療法を勧めるのはそういう理由ですか?

博士 博士

その通りじゃ。運動は食事療法と並んで糖尿病治療の基本となる。だから「耐糖能の低下」も誤りじゃな。

アユム アユム

では中性脂肪は?

博士 博士

中性脂肪は余ったエネルギーの貯蔵形態じゃ。運動すると消費エネルギーが増えて、肝臓や脂肪組織に溜まった中性脂肪が分解される。つまり減少するのじゃ。

アユム アユム

残るは「免疫力の向上」ですね。これが正解ですか?

博士 博士

その通り!適度な運動はNK細胞やリンパ球の活性を高め、感染抵抗性を向上させることが明らかになっておる。自律神経のバランスが整うことも免疫機能に良い影響を与えるのじゃ。

アユム アユム

ただし、やりすぎはダメなんですよね?

博士 博士

よく知っておるな。激しい運動の直後は一時的に免疫機能が低下する「オープンウィンドウ」と呼ばれる現象がある。マラソンランナーが試合後に風邪をひきやすいのはこのせいじゃ。

アユム アユム

「適度」というのがポイントですね。具体的にはどのくらいの量が良いんですか?

博士 博士

厚生労働省のガイドでは、成人は1日60分以上の歩行相当の身体活動、週に2〜3回の筋トレが推奨されておる。座りっぱなしを減らすことも大切じゃ。

アユム アユム

看護師としても、患者さんに運動を勧めるときは病態や体力に合わせた強度の調整が必要なんですね。

博士 博士

その通り。心疾患や整形疾患がある人には医師と相談のうえで運動処方を行う。運動は万能薬に近いが、処方は個別化が基本じゃ。

POINT

適度な運動習慣は肺活量の増加、耐糖能の改善、中性脂肪の減少、そして免疫力の向上という多彩な効果をもたらします。特に免疫に関してはNK細胞活性の亢進やリンパ球数の増加が報告されており、自律神経のバランスが整うことで免疫調節機能も改善します。一方で過度な運動は一時的に免疫を低下させるため、強度・頻度の調整が不可欠です。看護師は患者個々の状態に応じて安全で継続可能な運動を提案し、生活習慣病予防やフレイル予防を支援する重要な役割を担います。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:運動習慣が身体機能にもたらす効果はどれか。

解説:正解は 3 です。定期的な運動習慣は心肺機能・代謝機能・免疫機能など多方面に好影響をもたらす。特に適度な有酸素運動はNK細胞や好中球などの免疫細胞の活性化やリンパ球数の増加を促し、感染抵抗性の向上につながることが示されている。また自律神経のバランスが整うことで免疫調節機能も改善する。

選択肢考察

  1. × 1.  肺活量の減少

    運動習慣により呼吸筋が鍛えられ最大換気量が増加し、肺活量はむしろ増加する。減少は誤り。

  2. × 2.  耐糖能の低下

    耐糖能とは血糖を正常範囲に保つ能力のこと。運動は骨格筋のインスリン感受性を高めブドウ糖の利用を促すため、耐糖能は向上する。

  3. 3.  免疫力の向上

    適度な運動はNK細胞活性を高め、リンパ球数を増やして感染抵抗性を向上させる。自律神経が整うことも免疫機能に好影響を与える。

  4. × 4.  中性脂肪の増加

    運動はエネルギー消費を増やし脂質代謝を亢進させるため中性脂肪は減少する。高中性脂肪血症の治療でも運動療法が推奨される。

健康日本21(第三次)でも身体活動・運動は重点領域に位置付けられている。ただし過度な運動は一時的に免疫機能を低下させることが知られており(オープンウィンドウ説)、アスリートの激しいトレーニング後には上気道感染が増えるとの報告もある。適度な強度・頻度が重要であり、厚生労働省の『健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023』では、成人は1日60分(週300分)以上の歩行またはそれと同等以上の身体活動を推奨している。

運動習慣が身体機能に与えるポジティブな効果を理解しているかを問う基礎問題。肺活量・耐糖能・中性脂肪・免疫力それぞれが運動によってどう変化するかを整理しておくことがカギ。