破水したらまず何をする?胎児の命を守る優先順位
看護師国家試験 第109回 午後 第63問 / 母性看護学 / 分娩期・産褥期の看護
国試問題にチャレンジ
順調に分娩が進行している産婦から「腟から水っぽいものが流れ、下着が濡れた」と看護師に訴えがあった。流出したものを確認すると、量は少量で、羊水特有の臭いを認めた。 その時の産婦への対応で優先されるのはどれか。
- 1.更衣を促す。
- 2.体温を測定する。
- 3.食事摂取を勧める。
- 4.胎児心拍数を確認する。
対話形式の解説
博士
今回は分娩期の破水対応について学ぶぞ。破水は自然な分娩経過の一部じゃが、対応を誤ると胎児の命に関わるのじゃ。
サクラ
産婦さんが「水っぽいものが流れた」と言っていて、羊水の臭いがするなら破水ですよね。
博士
そう判断してよい。羊水特有の臭いや、pH試験紙でアルカリ性を示すことで確認できる。破水には時期による分類があるのじゃ。
サクラ
時期によって違うんですか?
博士
うむ。陣痛開始前に破れると前期破水、分娩開始後で子宮口全開前なら早期破水、全開大から児娩出直前なら適時破水じゃ。今回は順調に分娩が進行している途中じゃから、適時破水に近い状況じゃな。
サクラ
じゃあリスクは低そうですが、それでも何かすべきことはあるんですか?
博士
いちばん怖いのは臍帯脱出じゃ。羊水と一緒に臍帯が子宮外に出てしまうと、児頭と産道の間で臍帯が圧迫されて胎児循環が途絶えるのじゃ。
サクラ
えっ、それは急いで対応しないといけませんね。
博士
そう。だから破水したらまず胎児心拍数を確認する。CTGで徐脈や遅発一過性徐脈があれば胎児機能不全を疑って緊急対応じゃ。
サクラ
体温測定は感染予防の観点では大事ですよね?
博士
もちろん大事じゃが、優先順位としては胎児心拍数確認の後になる。破水後は上行性感染による絨毛膜羊膜炎のリスクがあり、発熱は重要な観察項目じゃ。
サクラ
更衣や食事はどうですか?
博士
更衣は清潔保持の点で必要じゃが、緊急性は低い。食事は分娩中の嘔吐や誤嚥、緊急帝王切開の可能性を考慮して基本的には勧めないのじゃ。
サクラ
優先順位を整理すると、まず胎児の安全を確認、次に感染や清潔、そして分娩の進行を見る、という流れですね。
博士
その通り。看護ではABC(気道・呼吸・循環)のような優先順位の判断が常に求められる。周産期では母体とともに「胎児」の安全評価を忘れないことが鍵じゃ。
サクラ
分娩介助のときは、羊水の色も重要ですよね。
博士
よく覚えておるな。羊水混濁、特に緑色の胎便混濁は胎児機能不全のサインじゃ。量・色・臭い・時刻を必ず記録するのじゃ。
POINT
分娩進行中の破水では、羊水特有の臭いによる確認と同時に、まず胎児心拍数モニタリングで胎児wellbeingを評価することが最優先です。破水直後に起こりうる最も重篤な合併症は臍帯脱出で、発見が遅れると胎児循環障害から胎児死亡に至る可能性があります。また上行性感染による絨毛膜羊膜炎のリスクもあるため、体温・脈拍・羊水の性状(混濁・血性)の観察を継続的に行います。更衣は清潔保持、食事摂取は緊急帝王切開や誤嚥リスクの観点から原則勧めないといった看護の基本もあわせて押さえましょう。産婦と胎児、二つの命を同時にアセスメントするという周産期看護の根本姿勢が問われる設問です。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:順調に分娩が進行している産婦から「腟から水っぽいものが流れ、下着が濡れた」と看護師に訴えがあった。流出したものを確認すると、量は少量で、羊水特有の臭いを認めた。 その時の産婦への対応で優先されるのはどれか。
解説:正解は 4 です。羊水特有の臭いがあることから破水と判断できる。破水後は臍帯脱出や胎盤機能の急激な変化により胎児の状態が悪化するリスクがあるため、まず胎児心拍数を確認して胎児wellbeingを評価することが最優先となる。順調に進行している分娩での破水は適時破水に近い状況と考えられるが、それでも胎児の安全確認が最優先事項である。
選択肢考察
-
× 1. 更衣を促す。
清潔保持は必要だが、破水直後の最優先行動ではない。胎児の状態を確認した後に行うべき対応であり、優先順位は低い。
-
× 2. 体温を測定する。
破水後は上行性感染のリスクがあり発熱の観察は重要だが、順調な分娩経過で破水したばかりの段階では感染徴候より先に胎児の状態評価が優先される。
-
× 3. 食事摂取を勧める。
分娩進行中は緊急帝王切開や嘔吐による誤嚥リスクを考慮し、固形食の摂取は原則として勧めない。現場では軽い補水のみ許可されることが多い。
-
○ 4. 胎児心拍数を確認する。
破水直後は臍帯脱出や胎児機能不全が起こりうるため、胎児心拍数モニタリングが最優先。CTGや胎児心音の確認で胎児の安全を評価する。
破水は発生時期によって分類される。①適時破水:子宮口全開大〜児娩出直前、②早期破水:分娩開始後〜子宮口全開大前、③前期破水(PROM):陣痛発来前、さらに妊娠37週未満の破水を前期早産破水(preterm PROM)という。破水の確認は羊水特有の臭い、pH試験紙(アルカリ性を示す)、AFPテスト、内診で行う。破水後のリスクは①臍帯脱出、②胎児機能不全、③上行性感染(絨毛膜羊膜炎)、④分娩遷延。看護としてはまず胎児心拍数確認、次に陰部の清潔保持、体温・脈拍・羊水の性状(混濁・血性)の観察、臍帯脱出の有無、陣痛の強度などを総合的に評価する。
破水直後の看護の優先順位を問う。まず胎児の安全(心拍数確認)、次に感染・清潔・分娩進行の観察という順序を押さえることが重要。
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