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知的障害の原因疾患を整理しよう

看護師国家試験 第108回 午後 第61問 / 精神看護学 / 精神疾患・障害の特徴と看護

国試問題にチャレンジ

108回 午後 第61問

知的障害(intellectual disability)<精神遅滞> (mental retardation)の原因となる疾患はどれか。

  1. 1.統合失調症(schizophrenia)
  2. 2.フェニルケトン尿症(phenylketonuria)
  3. 3.Alzheimer<アルツハイマー>病(Alzheimer disease)
  4. 4.Creutzfeldt-Jakob<クロイツフェルト・ヤコブ>病(Creutzfeldt-Jakob disease)

対話形式の解説

博士 博士

今日は知的障害の原因となる疾患について学ぶぞ。

サクラ サクラ

知的障害ってどう定義されるんですか?

博士 博士

発達期、つまり18歳未満に生じた知的機能(IQなど)と適応行動の両方における制約とされる。後天的な認知機能低下とは区別されるんじゃ。

サクラ サクラ

選択肢の正解は?

博士 博士

正解は2のフェニルケトン尿症じゃ。

サクラ サクラ

どんな病気ですか?

博士 博士

フェニルアラニン水酸化酵素が先天的に欠損し、必須アミノ酸フェニルアラニンがチロシンに変換されず体内に蓄積する先天性代謝異常症じゃ。

サクラ サクラ

なぜ知的障害が生じるんですか?

博士 博士

フェニルアラニンが脳内に蓄積するとミエリン形成や神経伝達物質合成を阻害し、重度の知的障害、けいれん、行動障害を来す。

サクラ サクラ

治療法はありますか?

博士 博士

新生児マススクリーニング(タンデムマス法)で早期発見し、低フェニルアラニン食事療法を行えば正常発達が可能じゃ。

サクラ サクラ

他の選択肢はなぜ違うんですか?

博士 博士

1の統合失調症は思春期以降に発症する精神障害で、幻覚・妄想などの陽性症状と陰性症状が主。知的機能そのものを失うわけではなく、発達期の制約でもない。

サクラ サクラ

アルツハイマー病は?

博士 博士

通常60歳以降に発症する認知症じゃ。獲得した認知機能を失う疾患で、発達期の知的障害とは別概念じゃな。

サクラ サクラ

クロイツフェルト・ヤコブ病は?

博士 博士

異常プリオン蛋白による中高年発症の進行性脳症じゃ。ミオクローヌスと急速進行性認知症が特徴で、発達期疾患ではない。

サクラ サクラ

知的障害の原因にはどんなものがありますか?

博士 博士

出生前では染色体異常(ダウン症候群)・先天性代謝異常(フェニルケトン尿症)・胎内感染(風疹など)、周産期では低酸素・頭蓋内出血、出生後では髄膜炎・頭部外傷などじゃ。

サクラ サクラ

マススクリーニングの意義が大きいですね。

博士 博士

そうじゃ。フェニルケトン尿症、先天性甲状腺機能低下症などは早期発見・治療で予後が劇的に改善する。

サクラ サクラ

看護の役割は?

博士 博士

食事療法の継続支援、家族教育、定期受診の促し、長期的な発達支援じゃ。

サクラ サクラ

よく理解できました。ありがとうございます。

POINT

知的障害は発達期の知的機能と適応行動の制約であり、フェニルケトン尿症は無治療なら重度知的障害を来す代表的な先天性代謝異常です。新生児マススクリーニングと食事療法で予防可能なため早期発見が重要です。統合失調症・アルツハイマー病・クロイツフェルト・ヤコブ病は発症時期や機序が異なり、知的障害の原因には該当しません。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:知的障害(intellectual disability)<精神遅滞> (mental retardation)の原因となる疾患はどれか。

解説:正解は 2 です。知的障害は発達期(18歳未満)に生じる知的機能と適応行動の両方における制約と定義されます。フェニルケトン尿症はフェニルアラニン水酸化酵素の先天的欠損により体内にフェニルアラニンが蓄積する先天性代謝異常症で、無治療では脳障害を来し重度の知的障害を生じます。新生児マススクリーニング(タンデムマス法)による早期発見と低フェニルアラニン食事療法で予防可能です。

選択肢考察

  1. × 1.  統合失調症(schizophrenia)

    統合失調症は幻覚・妄想などの陽性症状と意欲低下などの陰性症状を主とする精神障害で、発症は思春期以降が多く知的障害の原因疾患ではありません。

  2. 2.  フェニルケトン尿症(phenylketonuria)

    フェニルアラニン水酸化酵素欠損による先天性アミノ酸代謝異常で、無治療ではフェニルアラニンの脳内蓄積により重度の知的障害を生じます。新生児マススクリーニング対象疾患です。

  3. × 3.  Alzheimer<アルツハイマー>病(Alzheimer disease)

    通常60歳以降に発症する進行性の認知症で、後天的に獲得された認知機能が低下します。発達期の制約ではないため知的障害の原因ではありません。

  4. × 4.  Creutzfeldt-Jakob<クロイツフェルト・ヤコブ>病(Creutzfeldt-Jakob disease)

    異常プリオン蛋白による進行性の脳症で中高年に発症し、認知症・ミオクローヌスを呈します。発達期疾患ではなく知的障害の原因ではありません。

知的障害の原因は、出生前(染色体異常・先天性代謝異常・胎内感染など)、周産期(低酸素・頭蓋内出血)、出生後(髄膜炎・頭部外傷など)に大別されます。ダウン症候群、フェニルケトン尿症、先天性甲状腺機能低下症などは新生児マススクリーニングや早期療育で予後改善可能な代表例です。

知的障害の定義(発達期の知的機能と適応行動の制約)と、発達期に発症して知的障害を来す代謝異常症の理解を問う問題です。