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ナルコレプシーの四主徴を症例で見抜こう

看護師国家試験 第108回 午後 第62問 / 精神看護学 / 精神疾患・障害の特徴と看護

国試問題にチャレンジ

108回 午後 第62問

Aさん(24歳、男性)は、昼間の過剰な眠気を主訴に来院した。半年前に居眠り運転で交通事故を起こした。入眠時の幻視や睡眠と覚醒の移行期に体を動かせなくなることがある。また、笑ったり、怒ったりしたときに脱力してしまうこともある。 最も考えられる疾患はどれか。

  1. 1.睡眠時遊行症(sleepwalking《somnambulism》)
  2. 2.ナルコレプシー(narcolepsy)
  3. 3.睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome)
  4. 4.睡眠・覚醒スケジュール障害(sleep-wake schedule disorders)

対話形式の解説

博士 博士

今日は24歳男性Aさんが昼間の強い眠気で受診したケースじゃ。居眠り運転で事故、入眠時の幻視、金縛り、笑った時の脱力…症状のキーワードが盛りだくさんじゃな。

アユム アユム

博士、過眠を起こす病気っていくつもありますよね。どう見分ければいいんですか?

博士 博士

ポイントはAさんに出ている症状の組合せじゃ。『日中の過眠』『情動脱力発作』『入眠時幻覚』『睡眠麻痺』の4つがそろったら、ほぼナルコレプシーと考えてよい。

アユム アユム

なるほど、この四主徴を覚えるんですね。正解は2番のナルコレプシーですか?

博士 博士

その通りじゃ。ナルコレプシーは覚醒維持に関わるオレキシン(ヒポクレチン)神経の脱落が原因とされ、10代後半に発症しやすい過眠症じゃよ。

アユム アユム

他の選択肢も確認させてください。1の睡眠時遊行症はどうですか?

博士 博士

睡眠時遊行症はノンレム睡眠中に無意識で歩き回るもので、小児に多い。情動脱力や入眠時幻覚は出ないから不正解じゃ。

アユム アユム

3の睡眠時無呼吸症候群は?居眠り運転の事故はよく聞きますけど。

博士 博士

確かに日中の過眠と事故は一致するが、主症状はいびきと無呼吸、肥満の中年男性に多いのが特徴じゃ。情動脱力や鮮明な入眠時幻視は説明できんな。

アユム アユム

4の睡眠・覚醒スケジュール障害はどうでしょう。

博士 博士

これは交代勤務や時差で体内時計と社会的な生活リズムがずれる疾患で、概日リズム睡眠障害とも呼ばれるぞ。幻覚や脱力発作は特徴ではないから外れる。

アユム アユム

四主徴のどれか一つでも欠けたら違う病気の可能性が高くなるんですね。

博士 博士

その通り。診断は反復睡眠潜時検査(MSLT)で平均入眠潜時8分以下、入眠時レム睡眠が2回以上見られることが重要な所見じゃ。HLA-DQB1*06:02との関連も有名じゃぞ。

アユム アユム

治療はどうするんですか?

博士 博士

眠気にはモダフィニルやメチルフェニデート、情動脱力発作には三環系抗うつ薬やSNRIを用いる。生活指導として計画的な短時間仮眠と、居眠り運転を防ぐ運転制限が看護の要じゃよ。

POINT

ナルコレプシーは『日中の過眠・情動脱力発作・入眠時幻覚・睡眠麻痺』の四主徴を呈する過眠症で、オレキシン神経の脱落が関与する。10代後半発症が多くHLA-DQB1*06:02との関連が知られる。診断にはMSLTでの入眠潜時短縮とSOREMPが重要で、治療は中枢神経刺激薬と抗うつ薬が中心となる。居眠り運転防止など安全指導も看護の要点である。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:Aさん(24歳、男性)は、昼間の過剰な眠気を主訴に来院した。半年前に居眠り運転で交通事故を起こした。入眠時の幻視や睡眠と覚醒の移行期に体を動かせなくなることがある。また、笑ったり、怒ったりしたときに脱力してしまうこともある。 最も考えられる疾患はどれか。

解説:正解は 2 です。ナルコレプシーは、日中の耐え難い眠気発作(睡眠発作)、情動脱力発作(カタプレキシー)、入眠時幻覚、睡眠麻痺(金縛り)を四主徴とする過眠症です。オレキシン(ヒポクレチン)神経の変性・脱落により覚醒維持機構が障害されることで生じるとされ、好発年齢は10代後半です。Aさんは若年男性で、日中の過眠、居眠り運転による事故、入眠時幻視、睡眠麻痺、情動による脱力発作がそろっており、典型的なナルコレプシーの臨床像です。

選択肢考察

  1. × 1.  睡眠時遊行症(sleepwalking《somnambulism》)

    ノンレム睡眠中(特に睡眠前半の深睡眠期)に無意識で歩き回る小児に多い睡眠時随伴症で、情動脱力発作や入眠時幻覚は伴いません。

  2. 2.  ナルコレプシー(narcolepsy)

    日中の強い眠気に加え、情動脱力発作・入眠時幻覚・睡眠麻痺といったレム睡眠関連症状が一通りそろっており、Aさんの病像に合致します。

  3. × 3.  睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome)

    日中の眠気や居眠り運転は合致しますが、いびき・無呼吸・中年肥満男性に多いなどの特徴があり、情動脱力や入眠時幻視は通常みられません。

  4. × 4.  睡眠・覚醒スケジュール障害(sleep-wake schedule disorders)

    交代勤務や時差などで概日リズムと社会的な睡眠時間帯がずれる疾患であり、情動脱力や入眠時幻覚は特徴になりません。

ナルコレプシーはオレキシン欠乏が関与し、HLA-DQB1*06:02との強い関連が知られます。診断には反復睡眠潜時検査(MSLT)で平均入眠潜時8分以下かつ2回以上の入眠時レム睡眠(SOREMP)が重要です。治療はモダフィニルやメチルフェニデートで眠気を抑え、情動脱力発作には三環系抗うつ薬やSNRIが用いられます。居眠り運転防止など安全管理も看護の要点です。

ナルコレプシーの四主徴(日中の過眠・情動脱力発作・入眠時幻覚・睡眠麻痺)を症例から判別できるかを問う問題です。